(サイレン)
(刑事)ご苦労さまです。
靴カバーです。
(鑑識)よし。
下ろすよ。
ゆっくりね。
よし。
このままこのまま。
(相田)パス。
あっ。
警部。
(神林)何?いやいや。
(牛尾)警部。
検視の結果を待たないと分かりませんが今のところ殺しより自殺の方が可能性が高いと思われます。
ああ。
君さぁ。
少しは掃除してくんないと。
ちょっとはこっちの身にもなってくんないとさぁ。
俺のこと殺す気かよ?
(神林)霊媒師じゃあるまいし死体相手に説教してる場合か。
すいません。
(神林)ったく。
あーっ!ちょっと!
(神林)何だ?ちょっと!おい!何やってんだよ?これ。
(神林)何だよ?おい。
除菌除菌。
じょ…除菌。
(神林)何やってんだ?おい。
(鑑識)あーっ!
(神林)相田!牛尾。
こいつつまみ出せ!
(牛尾)はい。
ああっ。
牛尾。
牛尾。
ああっ。
警部。
警部も。
警部も除菌しといた方がいいんじゃないですか?ホ…ホント。
おい。
ちょっと放せってば。
ちょっ…。
ちょっと待って。
お前らのその手袋。
現場でばっちいもん触った手袋なんじゃないのか?おい。
ちょっと。
ホントお願い。
ホントお願い。
俺ばっちいの駄目なんだって。
(牛尾)駄目です。
いや。
ちょっと。
放して。
みんなで除菌してください。
(速水)
彼の名前は相田亮平
何を隠そう刑事なのです
汚えだろここ。
(神林)いったい何考えてんだ!刑事のくせに捜査妨害するのか。
あんな不潔なとこで捜査なんてできるわけないでしょ。
(神林)毎回毎回現場をアルコール消毒ってお前はホシか!警部だって見ましたよね?あのぐちゃぐちゃな部屋。
あれこそが凶器でしょうが。
ばい菌にまみれた刑事より清潔なホシの方がまだましですって。
(神林)少しばかり事件を解決したからっていい気になりやがって。
まったく。
刑事課の面汚しもいいとこだ。
いいか?お前など…。
おい!どこ行くんだ?どこって家に決まってんでしょ。
シャワー浴びて着替えもしなきゃなんないし忙しいんです。
(神林)何!?あっ。
そうだ。
さっきのホトケさんあれ自殺なんかじゃありませんから。
どういうことだ?いや。
いくら人生丸投げだからって8本だけマニキュア塗って自殺する女はそうそういないと思うんですよね。
それから水切りに置かれてたコーヒーカップ。
あの洗い方は間違いなく別の人間の仕業です。
しかもぬれ具合からみて洗ったのはわれわれが踏み込む少し前。
ってことで俺は消えます。
(神林)おい。
(神林)何?何だ?うわーっ!ちょっと警部。
(神林)あっ。
わっ。
何だ?はいはい。
これで大丈夫です。
じゃあ失礼します。
もう我慢ならん。
そんなに消毒したけりゃ満員電車で一生やってろ!チキショー。
あのゴリラ警部のやつホントに満員電車に押し込みやがって。
おおーっ。
おっとっとっと。
(せき)ううーっ。
(せき)おい。
電車ん中で化けんのやめろ!
(女性)何よ?どこで化粧したって私の勝手でしょ。
おい。
お前なんかな化粧したって大して変わんないんだよ!
(せき)
(長坂)何なんだよ?あいつは。
(黒木)刑事課でどれだけすご腕だったか知らないけどただの変わり者じゃねえか。
あんなやつに生安が務まってたまるかよ。
・
(生徒)キャーッ!ちょっと。
この手は何?
(生徒)皆さん!この男痴漢です。
変態です。
変態!
(女性)変態?
(黒木)すいません。
私臨海署の生活安全課黒木です。
この男は私が連行いたしますので。
(生徒)はい。
(黒木)ちょっと。
またお前かよ。
申し遅れましたが私の名は速水悠太郎
カワイイ女子高生につかまれてるのは私の腕だったりするわけで…
(黒木)まったく。
何考えてんだ?お前。
警察の恥だ。
(黒木)毎回毎回何だって痴漢に間違えられんだ?お前の仕事は痴漢を捕まえることだろうが!
(速水)あっ。
誠に申し訳ありません。
恥ずかしながら私刑事なのです
(黒木)次から次へと問題児ばっかり集まりやがって。
(黒木)ここはお荷物預かり所かよ。
そうだ。
(黒木)速水君。
は…はい。
(黒木)これからは相田君の指導を君に任せることにしよう。
いや。
あっ。
承知いたしました。
生活安全課の向上のために心血を注いで働かせていただきます。
(黒木)うん。
しっかり頼むな。
あっ。
はい。
失礼します。
(長坂)大丈夫なんですか?速水に指導なんかさせて。
(黒木)刑事課の面汚しに生安の面汚し。
(黒木)どうせ問題起こすに決まってんだからそしたら2人まとめて飛ばせばいいんだよ。
あっ。
速水です。
相田さんにずっと憧れてたんです。
一緒に仕事ができるなんて光栄です。
あっそう。
お噂どおり奇麗好きなんですね。
あっ。
では失礼します。
後ほど。
あっ。
どうぞ。
ちょっと待て。
えっ?君は運び屋か?はっ?今床に落ちていたばい菌まみれのボールペンを俺の神聖なデスクの上に運んだよね?はあ。
しかもこれは俺のものではない!すいません。
こうして私たち名コンビが誕生
おい!はい?
…したのでしょうか?
すいません。
すいません。
ああっ!痴漢行為を見抜くコツはまず加害者はやたら周りを気にする。
いい例がほら。
あそこの彼。
不自然な揺れや密着。
そして被害者の女性はうつむいて耐えている。
(男性)ハハハ。
(女性)何?今びっくりしちゃった。
あっあのう。
体の密着は何かあるということです。
うわーっ。
危ない危ない危ない。
危なっ。
危なっ。
危なっ。
バカバカバカ。
放せよ。
お前何触ってんだよ?いや。
危ないから。
今度俺のこと勝手に触ったら逮捕すっからな。
いやいや。
た…逮捕って。
(一同)何?気持ち悪い。
いや。
違う違う。
いやいやいや。
そういうんじゃないんですよ。
違う。
そっちじゃないです。
何で手すりにつかまらないんですか?いいですか?私が見本をお見せしますから。
アウト。
盗撮の現行犯で逮捕します。
(松崎)ふざけるなよ。
盗撮だって?だったら俺の携帯見てみろ。
何か映ってるのか?女の下着でも映ってるのか?いやらしいビデオでもあるのか?そんなバカな。
(松崎)このぼんくらが。
車内で携帯をいじっちゃいけないのか?名誉毀損で訴えてやるからな。
だいたいお前な…。
もういいや。
ところが数日後…
余計なことしないでいいんだよ。
あろうことか私が誤認逮捕した男が殺されてしまったのです
まさかあのときの男が殺されるなんて。
速水君。
いくら悔しかったからってさ何も殺すことないだろ。
君も案外やんちゃだな。
いや。
私じゃありませんよ。
おい。
そんなことよりぼけっとしてないでとっとと捜査するぞ。
いやいやいやいや。
だけどいいんですか?われわれ生安が首突っ込んで。
あの日マルガイの動きは確かに妙だった。
ずっと誰かを気にしてるようにも見えたし。
そのことと今回の殺し。
何か関係があんのかもしんないだろ。
いや。
そりゃそうですけど。
いいか?疑問に思ったら迷わず捜査すんのがデカってもんなんだよ。
それに刑事課も生安も関係あるか。
確かに。
いやぁ。
それにしてもこんなすがすがしい現場他にあるか?ソファの位置とタイルの目がきっちり合ってる。
犯人と争ったはずなのに家具や置物じゅうたんそれに血痕の付いた衣服まで乱れは一切なし。
まさに芸術じゃないか。
いや。
そんなことよりしっかり死体を観察してくださいよ。
自慢じゃないけど俺は死体に近づいちゃいけないっていう接近禁止命令が出てんだよ。
死体に接近禁止って…。
ホント肝っ玉のちっちゃい連中だよな。
すいません。
忘れてました。
相田刑事は現場をアルコール消毒する常習犯
われわれへのみんなの視線が殺気立ってるのもうなずけます
おっ。
おーっ。
完璧完璧。
なあ。
見てみろよ。
このタオルの置き方。
折り目の方向も揃って実にきちんとしてるだろ。
どうかしました?いや。
まさか。
そんなわけないか。
・
(神林)相田!何でお前がいるんだ?これはこれは警部殿。
ここはもうお前の仕事場じゃないだろ。
除菌スプレーまきたきゃ満員電車行け。
それが残念ながらわれわれは関係者なんです。
どういう意味だ?本ボシ連れてきてるんですよ。
何!?マルガイに恥かかされたってそりゃ恨んでましてね。
ああ見えて結構凶暴なんですよ。
あの男。
・相田さん。
相田さんのせいで2時間も事情聴取されたんですからね。
勘弁してくださいよ。
なあ。
君のその眉毛の下の細くてちっちゃいの。
それ空気穴?目ですよ一応。
目!だったら状況見てみろよ。
いいか?俺は刑事課を追われた身なんだぞ。
それでなくてもあの警部俺のこと親の敵みたいに思ってんだからさ。
君が捕まってくんないと俺は情報を得られないの。
分かる?いや。
そりゃそうなんですけど。
で?少しは松崎のこと聞き出せたのか?殺された松崎は全国に居酒屋チェーン店を展開するやり手の実業家で敵もかなり多かったようなんです。
死因は刺殺か?はい。
背後から鋭利な刃物で刺されていておそらく失血死じゃないかと。
なあ。
君気付いたか?あの現場犯人が移動したと思われるところだけ異常に奇麗なんだ。
感動するぐらいに。
奇麗好きな犯人ってことですか?そのネーミングいいね。
それ好き。
あっ。
そういやさっき表にすげえ車止まってたろ?あれ松崎の?車が趣味らしくて高価な外車を何台も所有してて移動も運転手に任さず自分でやってたみたいなんですね。
いや。
ちょっと待てよ。
だったら何であの日松崎。
電車乗ってたんだ?妙ですね。
ところが事件はさらに妙な展開を見せるのです
(理沙)どうぞ。
(神林)すいません。
あんな立派な家があるのに娘は一人でマンション暮らし。
何かあるんですかね?それをこれから探るの。
は…はい。
あっ。
ありましたありました。
ここだ。
はい。
何か私たち怪し過ぎませんか?仕方ねえだろ。
死体だけじゃなくて事件の関係者にまで接近禁止出ちまったんだから。
ったくよ。
あのゴリラ警部。
いや。
ゴリラってそんな…。
(神林)お父さんのことは大変お気の毒でした。
(神林)これがお父さんが殺された部屋のくず入れから見つかったんですが。
(神林)あなたの結婚式の招待状ですよね?
(理沙)私が殺しました。
(神林)えっ?嘘…。
私が…。
私が父を殺したんです。
詳しく話してもらえませんか?実は父とは事情があって疎遠になっていたんですけど結婚相手の橘さんの強い希望で父とも和解して…。
(響子)《ホントにいいお嬢さまで》《雅斗にはもったいない。
ホントによろしいんですか?》
(橘)《お母さん》《こちらこそふつつかな娘ですがよろしくお願いします》《こちらこそよろしくお願いします》《松崎さん。
頭を上げてください》
(理沙)両家の顔合わせの席で式の日取りも決まっていたというのに。
突然父に破談にされてしまったんです。
破談?
(理沙)父も喜んでくれてると思ってたのに。
反対の理由を聞いても答えてくれず。
昨日の夜もそのことで口論になりついかっとなって父を刺してしまったんです。
どうしたんですか?ふーん。
えっ?何なんですか?父一人娘一人。
まさかあんな奇麗な人が父親を殺すだなんて。
よっぽど結婚したかったんでしょうね。
彼女は嘘をついている。
ホントですか?見ろよここ。
えっ?スポンジ一つしかないじゃん。
ええええ。
それが何か?お願いしますよ。
いいか?スポンジっていうのは食器用油用シンク用って最低3つは必要なの。
そうなんですか?それにさっき洗面所で見たタオル。
松崎の家のタオルと違って折り目の方向が不揃いなんだよな。
ということはだ。
一見美しくは見えるがあの松崎家の芸術的な現場には遠く及ばない。
よって彼女はホシではない。
いや。
そんな理由で。
じゃあ伺いますけど彼女は何で自供したんですか?まあ普通でいえば本ボシをかばってってことになるな。
かばうって…。
婚約者?
(落ちる音)
(神林)お前…。
すいません。
(理沙)《お母さん。
お母さん》《ねえお母さん。
しっかりして。
お願い》《ねえしっかりして。
お願い。
お母さん》
(理沙)《お父さん》《お母さんは?》《駄目だった》《そうか》《何ですぐ来てくれなかったの?》《私何度も…》《どうしてあの女がここにいるわけ?》《愛人なんか連れてきてお母さんがかわいそうだと思わないの!》
(松崎)《理沙。
大きな声出すのやめなさい》
(理沙)《覚えといて。
私この日のことを忘れない》《あなたのこと一生恨んでやるから》松崎理沙の婚約者は橘雅斗といって何と国会議員の先生だそうです。
あっそう。
橘は親の地盤を受け継ぐ二世議員で橘家は近隣の広大な土地を所有する有名な旧家だそうです。
えっ。
ちょっ。
ちょっちょっ…。
ちょっ。
おっと。
(くしゃみ)ちょっ。
いや。
(くしゃみ)ちょっちょっ…。
パス!パスパス!ちょっとちょっと。
パスって。
まだじゅうぶん乗れますよ。
乗れ…。
乗れますよ。
えっ?もしかしてエレベーターも駄目なんすか?いや。
全然大丈夫だよ。
ですよね?俺専用ならね。
何なんだ?このビルいったい。
後から後から団体客が来やがって。
分かってるとは思いますけどオフィスは19階なんですからね。
文句があるなら衛生管理の悪いエレベーターに言ってくれ。
そういえば相田さんバツイチだそうですね。
離婚の原因聞いてもいいですか?それが今回のヤマと何か関係があんのか?あっいや。
実は私もバツイチなもんで。
家に帰ったら妻がいたから。
えっ?今君が聞いてきたんだろ?何だよ。
俺も君の離婚理由聞いた方がいいの?あっいや。
私はお構いなく。
ハァー。
よいしょ。
私の場合は家に帰ると別の男がいたから
おい。
そこのらっきょう頭。
何思い出して涙目になってんだよ?いや。
泣いてませんよ。
あ痛たた。
よいしょ。
うーっ。
速水君。
はい。
今何階だ?そろそろ着いてもいいころなんじゃないのか?分かんないです。
もう分かんない。
もう限界。
ああーっ。
ああーっ!?汚いと注意する気力もなし。
ハァー。
何ですか?その格好。
エア椅子に腰掛けながら休息中。
難儀な人生ですね。
・
(物音)・
(奈緒美)これ以上あなたのために汚れ仕事はしない。
二度とごめんだわ!
(ミカ)ではこちらでお待ちください。
へえー。
ずいぶん奇麗にしてるな。
私はこういうところちょっと苦手です。
(橘)ああ。
お待たせしました。
あっ。
どうも。
橘です。
臨海署の速水です。
お座りください。
生活安全課の刑事さんがどんなご用件で?いや。
実はですね松崎さん…。
松崎さんが殺された夜9時から11時までの間どこで何をしていたか教えていただけませんか?それでしたら刑事課の刑事さんにお話ししたはずですが。
教えていただけませんか?ハァー。
事務所で仕事をしていました。
一人でしたのでそれを証明することはできませんが。
じゃあ亡くなられた松崎さんが突然結婚に反対された理由は何だったんですかね?まあ政治家の妻というのは精神的にハードですからね。
親としては心配だったんでしょう。
えっ?でも結婚が決まった当時からあなたは議員だったわけで急に反対したのは何か他に特別な理由があったんじゃないのかなって。
それは松崎さんの事業が悪化したからじゃないですか?えっ?えっ?ホントに?あれ?おかしいな。
その情報はわれわれもつかんだばっかりだったんですけどね。
もうご存じとはね。
ああ。
(せきばらい)
(橘)それは急な話だったし私も仕事柄いろんな情報が入ってきますので。
いずれにしろこれ以上刑事さんにお話しすることはありませんので。
それならどうして松崎さんに招待状送ったんですか?はっ?招待状?お二人の結婚式の招待状です。
中止になった式の招待状など送るわけないでしょ。
確かに。
松崎の事業ホントに悪化してたんですかね?それを聞き出すのが君の仕事だろ?えっ?もうすぐ刑事課から抗議が来るぞ。
「バカ野郎!何で生安がしゃしゃり出んだ!」って。
そしたら君は絞られついでに情報収集すんじゃないの?だって相田刑事も一緒にいたじゃないすか。
何だって私だけ?だって俺名刺渡してないもん。
あっ!相手は議員先生だ。
あの警部権力に弱いからな。
あっ。
もしかしたら君今夜帰れないかもね。
そんな…。
よし。
俺も俺専用エレベーターが来るまで帰らないぞ。
いや。
ちょっと待ってくださいよ。
(牛尾)バカ野郎!何だって生安がしゃしゃり出るんだ?ホントだ。
言った。
(牛尾)何?あっいや。
ごめんなさい。
(神林)どうせ陰で相田が動き回ってんだろう?それで?あいつは橘を疑ってんのか?何かつかんだんだろ?おい!どうなんだよ?情報交換といきますか?お前…。
橘が言ってたとおり松崎は手を広げ過ぎたのか業績は悪化の一途。
どうやら倒産は時間の問題だったようですね。
けどそのことは娘の理沙でさえ知らなかったんだろ?はい。
橘は何で知ってたんですかね?で凶器のナイフ見つかったの?はい。
松崎理沙は近くの川に捨てたって言ってるようなんですが今のところ見つかってないです。
招待状の件は?それがおかしなことに誰にも出してないみたいなんですよ。
しかも届いたのは松崎だけで。
松崎だけ?変ですよね。
普通花嫁の父親は出す方で。
そのことと松崎が殺された理由。
何か関係があんのかもしんないな。
こうなったら議員先生マークするしかないか。
11時半か。
橘のやつ今夜は動きそうもないな。
ですね。
あいつの部屋家宅捜索すりゃ必ず何か出てくんのに。
あのゴリラ警部さ融通利かないじゃん?いや。
ゴリラって。
仕方ない。
捜査の基本に戻るか。
うえ。
うっ。
徹夜でごみと格闘するのは私。
そう。
私ただ一人
あのう。
捜査の基本はいいんですけどこんなにたくさんの中から橘のごみ袋探すのは無理ですよ。
やつは俺たちの訪問でうろたえてやましいものは全部処分した。
絶対何か出てくる。
いや。
いや。
そりゃそうかもしれませんけど。
誰かに通報されたらどうするんですか?痴漢に続いて今度はごみ泥棒って。
私の人生かわいそ過ぎますよ。
何訳の分かんないことぼやいてんだよ。
えっ?いや。
っていうか相田さん。
今どちらにいるんですか?こっちも重要な聞き込み中。
(不通音)あら?聞き込み?あら。
カワイイワンちゃんだね。
(女性)ありがとうございます。
男の子ですか?女の子ですか?
(女性)女の子なんですよ。
女の子。
はい。
お幾つかな?
(女性)8つになります。
あなたお幾つですか?
(女性)えっと。
27歳になります。
あっ。
ちょっとすいません。
何だよ?だから聞き込み中だって言ったろ!緊急事態なんです。
すぐに来てください。
えっ?ああ。
管理人さんには手帳を見せてもう少し待ってもらうことになったんですけどもうそろそろ住人も起きてくるころだし私一人じゃ無理です。
間に合いません。
えっ?まさか俺に手伝えって言ってんの?はい。
冗談やめてよ。
パスに決まってんでしょ。
憧れの相田さんにこんなこと言いたくありませんけど。
係長に聞きましたよ。
ここをしくじったらもう後がないんだと。
そういえば離島の駐在所に一人空きがあるそうですよ。
あっ。
あったあったあった。
ねえねえ。
この青い封筒。
あっ。
これ差出人確認して。
はいはい。
あれ?これ名刺じゃないの?これ名刺名刺名刺。
これねお持ち帰り行き。
これ持ち帰り。
分かりました。
こっち何だろう?これ。
うわ!?いや。
いや…。
これ地上から抹殺!これ。
うーって。
どうでもいいですけどいちいち傘で確認するのやめてもらえませんか?第一それ私の傘だし。
君のだから使ってんだろ。
早く捨てなさいよ!はいはい。
橘の職業柄名刺が多いのは分かるけどそれにしてもやけに不動産屋の名刺が目につくな。
確かに多いですね。
しかもこの不動産屋の住所共通点があるだろ。
共通点ですか?あっ。
全て東京じゃないってことですか?何かにおうよな。
(店主)確かに橘さんの不動産の査定を頼まれましたけどかなり売却を急いでいたみたいでうちでは対応できなかったんです。
売却?
(店主)ええ。
橘家の不動産の売却私のとこでやらせてもらいましたよ。
ちなみにどれぐらいの金額になったんですかね?
(店主)ざっと3億ぐらいかな。
3億?
(店主)あそこは相当な不動産持ってたけど土地の価値も下がってるし何より売り急いでたからね。
早く現金に換えたがってたってことですかね?
(店主)うん。
普通ならこっちも商売だからもう少し値を下げたかったんだけどね彼女なかなか手ごわくて。
彼女?
(店主)ええ。
(店主)ああ。
秘書の女性ですよ。
確か名刺もらったはずだけどね。
ちょっと待ってください。
えっとね。
あっ。
これこれ。
あっ。
秘書か。
橘は何で現金が必要だったんですかね?理由はともかく人に知られずしかも早急に大金が必要だったってことは確かだよな。
今日はわれわれ専用でいけそうですね。
19階?19階。
(アナウンス)ドアが閉まります。
(ミカ)あのう。
刑事さんたちですよね?今日は何か?秘書の野村奈緒美さんにお会いしたいんですが。
・
(奈緒美)私が野村ですけど。
(ミカ)あっ。
奈緒美さん。
おかえりなさい。
君は…。
非常階段の美人。
(奈緒美)先生にご用でしたら明日には地方から戻る予定ですけど。
いやいや。
今日はあなたに伺いたいことがありまして。
(奈緒美)私に分かることでしたら。
どうぞお掛けになってください。
じゃあ失礼して。
えーと。
実は橘家所有の不動産売却の件なんですけど。
選挙が近いわけでもないのにどうして急にあんな大金が必要だったのかなって。
(奈緒美)生活安全課の刑事さんにお答えする理由を教えていただけますか?あれ?奇麗な顔してこの人結構言うね。
じゃこちらも遠慮なく。
つまり不動産売却もあなたにとっては汚れ仕事の一つってことですか?
(奈緒美)えっ?先日非常階段でのあなたかなりエキサイトされてましたもんね。
(奈緒美)《これ以上あなたのために汚れ仕事はしない。
二度とごめんだわ!》
(奈緒美)ああ。
お二人はあのときの。
でもそれは誤解です。
先生も私も仕事の話となるとついかっとなってしまって過激になっちゃうんです。
ってことは争ってた相手は先生?橘さんだったんですか?ああ。
あっ。
申し訳ありませんが後援会の方がおみえになりますのでそろそろお引き取り願えますか?まさかここで非常階段の美人に会うとはね。
ってことはいわゆる彼女が金庫番ってわけですかね。
まあいずれにしろ先生には謎が多いってことだな。
(橘)《ああー》《ああ。
そうだ》《これ。
結婚決まったんだ》
(奈緒美)《松崎理沙って確か香川事務所の秘書の子よね》《いつの間に》
(橘)《招待客のリスト急ぎで頼むよ》《その前に私に何か言うことがあるんじゃない?》《えっ?》《大丈夫。
私笑って別れてあげるから》《別れるって?》《何とぼけてんの?私たちのことじゃない》《金が必要になったのか?》
(奈緒美)《お金のことなんか言ってないわ》
(橘)《だったら何で?》
(奈緒美)《何でって》《だって俺たち別れるとか何とかっていう関係じゃないだろ》
(橘)《とにかく至急リストを作ってくれ》速水君。
はい。
疑問点を整理しようか?はい。
松崎はなぜ突然橘との結婚を破談にしたのか?松崎の業績の悪化と関係あるんですかね?業績っていやぁ秘書が橘の不動産処分したのも気になるよな。
急に現金が必要になったみたいですしね。
それから松崎に送られた招待状。
誰が何のために中止になった招待状を送ったのか?変ですよね。
あれ?あっ。
橘じゃないですか?さっき秘書の野村さん今日は地方だって言ってませんでしたっけ?・
(女性)あー。
ちょっとちょっと。
どいてどいてどいて!おっ。
(女性)ちょっと。
ちゃんと周り見て歩きなさいよ。
ったく。
転んだらケガすんでしょうよ。
ちょっと待て。
(女性)はいはいはい。
そこのオレンジ色が恐ろしく似合わないおばさん!ああ。
ちょっと。
相田さん。
相田さん。
何で隠れないんですか?俺は道の真ん中しか歩かない。
そんな汚いとこ行けるわけないだろ。
いや。
行けるわけないでしょって。
いいですか?われわれは今尾行の真っ最中なんですよ。
道なんか選んでられますか。
君はちょいちょい理解不能なこと言うよね。
すいません。
それにしても橘のやつやけに警戒してんな。
向かう先はよっぽど内緒にしときたい場所なんでしょうね。
(黒木)おい。
今りんかい線に痴漢の通報だ。
直ちに向かうぞ。
(長坂)はい。
(黒木)おい。
相田と速水どうした?
(長坂)来てないようです。
(黒木)何?相田に電話してとっとと来させろ。
(長坂)はい。
切られました。
(黒木)な…何だと?生安なめやがって。
お前出るまでかけ続けろよ!
(長坂)はい。
ああ。
うるさいなもう。
・
(女性)ちょっとどいてどいてどいて。
ほら。
危ない危ない。
どきなさい!ちょっちょっちょっ…。
何やってんの!ちょっちょっちょっ…。
(女性)危ない危ない…。
危ないだろ!あっ。
またお前か。
(女性)あっ?あのね。
私ちゃんと左側通行守ってんのよ。
おい。
何よ?顔に謙虚さがない。
(女性)失礼しちゃう。
何?この人。
やだやだ!あーあ。
日本もおしまいだな。
どいつもこいつも何様だと思ってんだ。
1億総勘違いときてる。
その点君は謙虚さがないというよりはこの上なく貧相な顔立ちしてるよね。
だったら自分は何だっていうんですか?何か言いたいことあるのかな?すいません。
ああー。
もう。
この忙しいときにピーピーピーピー。
しつこい。
(着信を切る音)ああ。
招集かもしれないです。
大丈夫ですか?こっちだって大事な仕事だろ。
ああ。
バカ。
橘にバレんだろ。
すいませんすいません。
もう。
うるさいんだから。
うるさくて悪かったな。
ったく。
君のせいで橘見失っちまったじゃないか。
いや。
私だけのせいですかね?何なんだ?その反抗的な態度は。
いや。
いや。
すいません。
何か文句あんのか?うん?いやいや。
ない。
ないです。
ないです。
すいません。
あれ?えっ?いや。
覚えてないか?あの日…。
松崎は車内の乗客気にしてたよな?はい。
そんな感じでした。
あのとき松崎の携帯に何が映ってたんだよ?それが車内から撮った外の景色だけだったんですね。
何であんなもの撮ってたんでしょうね。
こりゃあこんなことやってる場合じゃないな。
はっ?よし。
痴漢逮捕はベテランの君に任せよう。
えっ?いやいや。
ちょっ…。
ちょっと待ってください。
(黒木)おい。
何やってんだ?あっ。
あの日松崎は橘尾行してたんだな。
ああ。
松崎が怪しく見えたのは携帯で橘を隠し撮りしようとしてたからなんですね。
昨日橘は地方に行くって嘘ついてまで普段乗らない電車使って移動してる。
まあよっぽど行き先を知られたくなかったってことだ。
あれ?こっからなら改札見張れんな。
ああ。
ここで張り込みってわけですね?ああ!チッチッチッ。
何ですか?えっ?あっ。
レジャーシート。
そんなものが入ってるんですか?はい。
はい。
はい。
これでよし。
失礼します。
さあ今日こそは絶対秘密の場所暴いてやるぞ。
橘は現れますかね。
今日来なかったらあした。
あした来なかったらあさって。
まあそのうち必ず来んだろう。
どうせここらは生安の仕事場だし一石二鳥じゃん。
飲まれますか?はい。
買っときました。
おっ。
サンキュー。
よいしょ。
えっ?うん?ああ。
えっ?拭こうよ。
いや。
いや。
私はこれで…。
はい。
はい。
よいしょ。
ああ。
丁寧に拭こうよ。
いや。
拭きましたよ。
えーっ。
はい。
これで気持ちよく飲めるでしょ?さあ。
はい。
(速水・相田)よいしょ。
乾杯。
(女性たち)フフフ。
(女性)仲良くレジャーシートなんかひいてる。
(女性)何かお似合いだよね。
ちょっ。
ちょっと待ちなさい。
君たち今何て言った?お似合いとか言わなかったか?俺とこいつのどこがお似合いだっつうんだ?言ってみろ!誤解するにも程があんだろ。
おい。
ちょっちょっ…。
相田さん。
いいから。
今大事なとこなんだよ。
相田さん。
相田さん。
橘来ました。
えっ?どこまで行く気ですかね?アウト。
盗撮現行犯で逮捕する。
まさか。
ホントにまさかの逮捕でした
カメラには証拠の映像がばっちり残ってるんですから。
だんまりを決め込んでも無駄ですよ。
言ったでしょ。
弁護士が来るまで何も話さないと。
松崎に盗撮の現場見られたんだろ?あっそっか。
それでゆすられて不動産処分したんだ。
俺さ見えないところでこそこそばい菌まき散らすやからが大嫌いなんだよね。
まずゴキブリだろ。
それから痴漢に盗撮魔。
ああ。
入ってる。
けどお宅の場合ランクはゴキちゃん以下だから。
フゥー。
(神林)それで?橘がげろしないから助けを求めに来たってわけか。
フッ。
助けが欲しいのは警部の方じゃないんですか?いや。
分かってますって。
松崎理沙の自供はあっても心証は限りなくシロに近い。
物証もない。
そろそろ何か突破口が欲しいころですもんね。
だったら彼女に橘の本性見せてやりゃいいんです。
いくら彼女でもゴキブリ男かばうようなまねはしないでしょ。
その代わり接近禁止命令解いてもらいますから。
(奈緒美)《松崎さんに知られたわ》《そんな。
まさか》
(奈緒美)《偶然電車であなたを目撃したみたいなの》《それで世間に公表してほしくなかったら理沙さんとの結婚を破談にして3億円払えって》《調べたら松崎さんの事業相当危ないみたいなのよね》
(牛尾)松崎さんが電車内で撮影した橘です。
そしてこれが橘が盗撮したものです。
(神林)松崎さんはこの事実を知って結婚を破談にしたのではないでしょうか。
(理沙)亡くなった父は女癖が悪く母の思い出といったら泣いてる姿ばかり。
だから私は昔から結婚に憧れることなどなかった。
だけど橘さんと出会って全てが変わりました。
父と対極に生きる男性。
それが橘さんだったんです。
父の反対があったからとはいえ破談に納得がいかずあの日私は橘さんの帰りを待ってました。
(理沙)《雅斗さん》
(理沙)手に付いた血が橘さんの血だと思い父にケガをさせられたのではと心配になった私は父に会いに行ったんです。
(理沙)《お父さん!》
(理沙)父はすでに息を引き取ってました。
すぐに警察を呼ぶべきでしたが橘さんの仕業だと思って。
(神林)それで橘をかばったんですか?
(理沙)橘さんが私との結婚を頼みに行って父に冷たく拒否されてそれでかっとなって殺してしまったんだと思ったんです。
私への愛情からつい殺してしまったんだと。
それなのに。
ものすごいびんたが言葉以上に彼女の気持ちを表していた気がします
それで松崎殺しの件で追及したところ橘は盗撮同様黙秘を通してるとのことです。
確かに松崎に盗撮現場を目撃されたとするならば橘には松崎を殺す動機があるよな?はい。
けど何か妙なんだよなぁ。
妙といいますと?普段電車に乗らない松崎がたまたま電車に乗ってたまたま橘の盗撮現場を発見した。
何か都合よ過ぎない?偶然過ぎますよね?松崎に送られた招待状といい今回のヤマ何か別の人物の作意を感じるんだよな。
悪意といってもいい。
つまり誰かが松崎に橘の盗撮の件を知らせたってことですか?さあ。
どうですかね?ただだとするならばだ。
その人物がどうやって橘の性癖を知ったかってことだよな。
ああ。
あっ。
性癖っていやぁ秘書が汚れ仕事って言ってたよね?
(奈緒美)《これ以上あなたのために汚れ仕事はしない》彼女橘と何か訳ありみたいでしたしね。
彼女だったら橘の性癖を知り得たしそれを松崎にちくることが可能だったかもしれない。
早急に彼女に会っといた方がいいみたいですね。
退職した?
(ミカ)そうなんです。
ちょうど刑事さんたちが帰られた後急に辞表を出して。
おとといから先生とも連絡が取れないままだっていうのに。
彼女の連絡先教えてくれるかな?あっはい。
どうかしましたか?いやぁ。
どうぞ。
あっ。
ここが自宅です。
携帯は出ないと思いますよ。
私もずっとシカトされてるから。
ありがとう。
こっちですね。
こっちじゃない。
あっ。
住所によるとこのマンションです。
あっ。
ここだ。
(チャイム)いないみたいですね。
出直すか。
いや。
1回携帯でかけてみてくんない?あっ。
はい。
やっぱり出ませんね。
ちょっ。
えっ?切るな。
これ着信音だよな?鳴ってるよね?鳴ってますね。
こういう場合考えられるのは?居留守か携帯忘れて外出中。
ちょっと管理人呼んできます。
ちょっと待て。
えっ?もう一つあるでしょ?あっ。
開いた。
・野村さん。
あっ。
ハァー。
死んでるんですかね?だろうね。
やっぱり。
あっ。
あっ。
相田さん。
そこに血痕が。
ここにわずかな血痕が残っているということはマルガイは何らかの形でここに頭をぶつけたってことだよな?そうだ。
署に電話しなきゃ。
ちょっ。
君の頭は中身までラッキョウなのか?あっ。
ああ。
だってこれどう見たって殺人でしょう?だからだろ。
誰にも邪魔されずに現場検証できるチャンスなんてめったにないんだから。
いや。
そりゃそうですけど。
そんなことよりもここ見て何か気付かないか?ここは松崎が殺害された現場とおんなじなんだよ。
ぶつかって動いたはずのテーブルは直され衣服に乱れはなく髪まで整えられてる。
争った形跡が見事に消されてるんだよなぁ。
おそらくホシは犯行後ここで手を洗った。
水切りの食器は乱雑だがシンクはすっきりと奇麗になってる。
どこもかしこもホシが触ったと思われるところはきっちりしてるんだよなぁ。
いや。
きっちりした殺人現場って言われても。
検視の結果が出てみないと確かなことは言えないが死亡推定時刻は遺体の状況から見て昨日の夜。
あっ。
マルガイの携帯の履歴洗っといて。
あっ。
はい。
うん?はあー。
そっか。
松崎のときと違うのはホシはここで何か捜してたってことなんだ。
そんなことまで分かるんですか?普通捜した場所はぐちゃぐちゃになるもんだがこのホシの場合神経質なまでに奇麗にするってのが特徴なんだよな。
なるほどね。
えっ?彼女は表面上は奇麗にしてるけど肝心の見えないところの整理整頓は苦手だったみたいだな。
そっか。
ということはだ。
逆に奇麗になってるところが犯人の動線と思えばいいんじゃん。
えっ?どういうことですか?ホシが捜していたものは書類や手紙などの小さなものではなくもっと大きな何か。
ここだ。
ここに置いてあったんだ。
このスペースに収まる箱とか段ボールとか。
じゃあ犯人がこれをどこかに持ってったってことですか?ホシが捜してたものがここに置いてあったのは確かだよな。
マルガイが一番連絡を取り合っていたのが森川めぐみなんだよな?はい。
一番最後にメールしてるのも彼女だったので電話して住所を確認しました。
さっき相田さんが言ってた同じ現場ってつまり同一犯人ってことですか?まっそういうことになるよね。
でも現場が奇麗になってることだけで決められないでしょう?速水君。
はい。
松崎のときも野村奈緒美のときも現場には同じ残り香があったんだ。
残り香?うん。
あっ。
でもそれはたまたま使ってた消臭剤が一緒だ…。
間違えるはずがないんだ。
あの香りを俺が間違えるはずがないんだ。
あの香りは俺の死んだおふくろが使ってた香水と同じものなんだから。
どっかでもう一度嗅いだはずなんだけどな。
どうしても思い出せないんだよね。
あっ。
ここですね。
森川。
(チャイム)
(めぐみ)さっき電話いただいた刑事さんですよね?はい。
私臨海署の速水…。
(めぐみ)それで奈緒美に何があったんですか?えっ?まさかあの男に。
橘に殺されたんじゃないんでしょう?いや。
それはまだ。
(めぐみ)だからやめろって言ったのに。
バカよ奈緒美は。
どうして橘に殺されたって思うんですか?最後に奈緒美と会ったとき。
(めぐみ)《ねえ?奈緒美。
あんな男やめちゃいなよ?》《あいつの病気のことついこの間まで親友の私にさえ内緒にしてたじゃない》《そうやってあいつをずっと支えてきたのにいきなり結婚するなんて》《ついに爆弾を落としたわ》《えっ?》《結婚相手の父親に匿名で手紙を出したの》《火曜日か水曜日の午前中りんかい線を見張っていれば橘の裏の顔が目撃できますって》
(めぐみ)《本当に?でもなぜ父親に?》
(奈緒美)《父親なら社会的制裁を加えてくれるし橘が一番気にするメンツもずたずたになる》《父親にあいつの性癖がバレて結婚は破談になった》《彼女にも匿名で手紙を出すつもりだし》
(めぐみ)《えっ?》《そしてこれが仕上げの爆弾》《私きっと橘に殺されるわ》《橘に殺されるの》
(めぐみ)変だと思われるでしょうがそのとき思ったんです。
奈緒美は橘に殺されたいんじゃないかって。
でもまさか本当に殺されるなんて。
残念ながら橘に奈緒美さんを殺すことはできないんです。
(めぐみ)えっ?橘に殺されたんじゃないんですか?はあ?何言ってんの?君だってアリバイの証人だろ?私が?拘束中の橘が人を殺せるのか?あっ。
ああ。
(めぐみ)でもじゃあ誰が殺したんですか?それはまだ分かりません。
お役に立てるかどうか分かりませんが奈緒美から預かっているものがあるんです。
(めぐみ)はい。
(雪の泣き声)うん?どうした?うん?大丈夫だよ。
どうしたの?抱いたらうれちいの?あら。
いい子だ。
泣きやんじゃったね。
相田さん。
だ…大丈夫なんですか?ねえ?何が?いやあの。
カワイイ顔してこう立派な運び屋ですよ。
君はホントに訳の分かんないこと言う男だね。
邪心のない子供にばい菌がついてるわけがないだろう?ねえ?おかちなこと言うおじちゃんでちゅね。
いい子だね。
何だか不思議な光景でした
相田刑事を理解するには私はまだまだ修業が足らないのかもしれません
はい。
ママ戻ってくるよ。
大丈夫。
(めぐみ)あっ。
すいません。
ありがとうございます。
こちらです。
これってまさか。
奈緒美さんの部屋で犯人が捜してたものだろうな。
うん?どちた?どちたの?早く。
ちょっちょっと待ってください。
もう片っぽがなかなか。
早く。
入りました入りました。
それは橘が盗撮した証拠のDVDでした
あらー。
こりゃ橘の指紋がごっそり出てきそうだな。
これで橘が常習者だと立件できますね。
おっ。
速水君。
はい。
見過ぎだよ。
えっ。
(リポーター)民友党の橘雅斗議員が盗撮容疑でただ今送検されていくところです。
橘容疑者は茨城県に地盤を持つ有名な旧家橘家の長男で二世議員として地元から支持を集めていました。
少なくともこれで橘の政治生命は終わりだな。
野村奈緒美が松崎に橘の性癖をバラした気持ちは何となく分かるんですがわざわざ招待状を送ったのはなぜなんでしょうね?確かに今回のヤマ招待状が鍵かもしれないな。
松崎理沙は自白を撤回したし橘に秘書の奈緒美は殺せない。
2つの事件が同一犯の仕業だとしたら犯人はいったい誰なんでしょうね?何だか事件は暗礁に乗り上げたって感じですね。
ならもう一人の手掛かりに会いに行くか?えっ?
(理沙)ちょっと散らかってますけど。
あっ。
すいません。
確か橘さんを逮捕した刑事さんですよね?先日橘さんの秘書のマンションで会いましたよね?えっ?匿名の手紙に父が橘さんをゆすっていたと書いてあったんです。
ホントに父がそんな卑劣なことをしていたのか橘さんの秘書の方なら何か知ってるんじゃないかと思って彼女に会いに行ったんです。
それで彼女には?だけどまさか殺されていたなんて。
片付け物ですか?あっ。
橘さんから頂いたものを処分しようと思いまして。
ちょっと拝見。
相田さん!?相田さんにはデリカシーってもんがないんですか?思い出の品なんですよ。
うん?これは?それは橘さんが自分が一番好きな香りだからって。
橘?そうだ。
あそこだ。
えっ?いや。
この香り橘のオフィスでしてたんだよ。
えっ?そうでしたっけ?この間秘書の人の連絡先聞いたじゃない。
あのとき君以外に誰かお客さん。
女性のお客さんいなかった?
(ミカ)女性客。
ああ。
そういえば先生のお母さまがみえてましたけど。
どっち?この奥だと思います。
ここ上がったとこ?いや。
そこ…。
曲がったとこです。
こっち?はい。
機嫌悪いの?いや。
そんなことないですよ。
へえー。
(女性)こちらです。
すいません。
ちょっとお手洗いを拝借してもよろしいでしょうか?
(女性)あちらです。
はい。
漏れちゃう。
(女性)こちらでお待ちください。
はい。
(戸の開く音)・
(戸の開く音)思ったとおり素晴らしい。
これは遺書ですか?すてきな香りですよね?私事なんですが僕の亡くなった母の人生は笑うよりも泣くことの方が多かったと思うんです。
それでも香水をつけてるときの母のうれしそうな顔は今でも忘れません。
僕のために全てを犠牲にして育ててくれた母のたった一つのぜいたくが香水だったんです。
ですからこの香水は僕にとって母そのものなんです。
そうだったんですか。
お母さまも同じ香水を?ええ。
お恥ずかしい話ですが夫は体面だけを大事にする人で経済的には何不自由のない暮らしでしたが私の心の中にはいつも風が吹いてました。
そんな私を慰めようと思ったんでしょう。
私の好きな香りと知りまだ小さかった雅斗がお小遣いをためてプレゼントしてくれたのがこの香水でした。
失礼かとは思ったんですが先ほどお部屋の方を拝見させていただきました。
2件の殺害現場同様完璧な空間でした。
2人を殺したのは息子さんのためですか?私が雅斗の病気を知ったのは17年ほど前のことでした。
(橘の父)《何だ!これは》
(響子)《あっ》
(橘の父)《自分のやってることが分かってるのか!》《恥を知れ!》
(響子)《やめて。
やめて》《もうやめて。
やめてよ》《ねえ?この子は病気なんです》《私が絶対になおしますから。
やめさせますから》《ねえ。
お願い》
(橘の父)《どきなさい!》
(響子)あの日初めて雅斗の性癖を知りました。
それでも私はまだ信じてはいませんでした。
何かの間違いだと思ったのです。
(響子)ところがそれはまるで白昼夢のようでした。
いえ。
夢であったらと願わずにはいられないおぞましい光景でした。
(響子)悩みぬいた末私が出した結論は雅斗を殺して自分も死ぬ。
(橘)《お母さん。
僕を殺すの?》《僕を殺して》《もう僕生きていたくない》《こんな自分にうんざりなんだ》
(響子)《雅斗》《殺して。
お願いだから僕を殺して》《雅斗!雅斗!》《雅斗…》
(響子)あの日から私たち親子の修羅が始まったのです。
(響子)《雅斗…》
(響子)それでも亡き夫の地盤を継いで国会議員に当選。
理沙さんとの結婚も決まってもしかしたらこれでまともになってくれるのではってそう願った最後の期待も…。
(橘)《な…何するんですか?》《約束どおり金は用意してきたじゃありませんか》《誰が金をよこせと言ったんだ?》《倒産するからってバカにするなよ》
(橘)《でも秘書に金を要求してきたのは松崎さんの方じゃありませんか》
(松崎)《ふざけるな!》《俺がそんなことするか。
だいたいなお前の秘書なんか会ったこともないんだ》
(橘)《えっ?じゃあ》《いいか?理沙の目を覚ますためにもお前の変態ぶりを世間にぶちまけてやるからな》
(響子)《やめて!やめてください!》
(松崎)《うっ。
あっ》
(響子)気が付いたときには松崎さんの背にナイフを刺していたのです。
(橘)《松崎さん?松崎さん?松崎さん?あっ。
ああ…》《後のことはお母さんに任せて》《あなたはすぐに帰りなさい》《ぼ…僕が自首するよ》《何もかも僕のせいなんだ。
何もかも僕が悪いんだ》《しっかりしなさい。
いい?》《私たちに引き返す道はないのよ》《2人で修羅の道を歩くしかないの》《分かったわね?》
(響子)本当はその足で警察に行くべきでしたがこのことが世間に知れれば雅斗の性癖も暴露されてしまう。
それが恐ろしくて。
しかし今度は秘書に脅されるようになってしまったんですね。
私も知らなかったんですが秘書の奈緒美さんは理沙さんとの結婚が決まるまで雅斗と付き合っていたそうなんです。
その恨みもあったんでしょう。
雅斗の部屋の合鍵を作りあの忌まわしいDVDを持ち出したんです。
あの日…。
《私が呼び出したのはあいつなのに》《最後まで自分の手は汚さないつもりなのね》《お願い。
DVDを返してください》《あんなものが世間に出たら雅斗が盗撮の常習犯だと分かってしまいます》
(奈緒美)《私があいつの表の顔を守るために今まで何をやってきたか分かりますか?》《接待だと言われ他の議員と寝たことだってあるし》《それこそやれることは何だってやってきた》《それなのにあいつ別れ話一つまともにしてくれなかった》《悪いけど今のお母さんとの会話録音させていただきました》《あっ。
お願い。
返して》
(奈緒美)《いや》
(響子)《返してよ。
ねえ。
お願いだから返して》《ねえ?お願いよ》
(奈緒美)《やめて!あっ!?》
(響子)《ねえ?お願いよ》
(奈緒美)《やめて!》《あっ!?あーっ!?》《奈緒美さん。
ねえ。
ねえ?奈緒美さん》《今すぐ救急車呼ぶからしっかりして。
ねえ?》《私あいつに愛してもらえないならせめて殺すほど憎んでほしかった》《そんな形でさえあいつの心に残りたかったなんて…》《ホント私バカみたい》《奈緒美さん?ねえ?》《ねえお願い。
死なないで。
許して。
許してください》
(響子)何もかも私たち親子が招いたことだったんです。
いつか雅斗の病気もなおるだろう。
いつか。
いつか…。
そうした揚げ句に人さまをあやめるようなことになってしまって本当に申し訳なく思っております。
橘響子を見送った私たちには最後の仕事が残っていました
父の遺書ですか?現場に残されていたものを橘響子がひそかに持ち帰り理沙さんに渡してほしいと頼まれまして。
余計なことかもしれませんがお父さまの最後の言葉に耳を傾けてあげてもいいんじゃないですか?
(松崎)「5年ぶりにお前が私を訪ねてきたのは橘との結婚がきっかけだった」「あんな変質者にお前はやれない」
(松崎)「だがだからといって橘の正体を知ったらお前はどうなるだろう?」「こんなにもいちずに橘を慕うお前にそんな残酷なことが告げられようか?」《おお。
どうしたんですか?》
(橘)《何なんですか!》《理沙には何も言わないで結婚をやめろ》《お前が変質者だってことは黙っててやる》《分かったな?》
(松崎)「それなのにあいつは挑戦的に招待状を送ってきた」
(松崎)「父親として娘のお前に最後にしてやれること」「それは私の命を懸けてでも橘を殺して全てを終わらせることだけだった」
(松崎)「橘を殺したら今度こそお前は私を許さないだろう」「それでもいいから約束してほしい」「新しい誰かに出会ってまたあのころのように無邪気に笑ってくれると」あの日父は橘さんを殺すつもりだったんですね。
それもこれも全て私のためだった。
それなのに私は最後まで父に優しい言葉一つ掛けてあげられなかった。
許して。
お父さん。
(理沙)父を殺され一緒に生きていきたいと願った相手にはあんなひどい裏切りをされて。
私が望んだのは平凡なささやかな幸せだったのに。
小さなほころびから何もかも失い私の人生にはもう何も残ってないと思ってました。
けれども私のことを心から思ってくれていた父のおかげでこれからは笑って生きていける。
そんな気がします。
(理沙)《いっぱいやって。
もっともっと》《もっとやって》
(松崎)《はい》
(理沙)《もっともっと》
(松崎)《はいはい》
(理沙)《もっといっぱい》
(橘)お母さん。
(橘)お母さん。
(橘)《お母さん》
(響子)《うん?》
(橘)《これプレゼント》
(響子)《えっ?》《あっ。
香水?》
(噴く音)
(響子)《うわー。
いい香り》《雅斗ありがとう。
お小遣いなくなっちゃったんじゃないの?》《うん?ありがとう。
いい匂い》《ありがとね雅斗》何だかやるせない事件でしたね。
痴漢や盗撮は人を殺すまでには至らないが被害者だけでなく自分の家族や愛する人の人生を殺しちまったりするんだよな。
そのために2つの家庭が壊れてしまうなんて。
絶対に許せないですよね。
何か普通に生きることの難しさ感じるよね。
君さ何かの妖怪に似てるって言われたことない?何かに似てんだよな。
何ですか?
あれ以来相田刑事がお母さんについて語ることはありません
いつか私に話してくれるときがあるのでしょうか?
相田さん。
ねえ?ちょっと。
何に?ごちそうさまでした。
何が?いや。
今相田さんがトイレに立ってる間それ一口頂いたんですよ。
うまかったな。
いやいや。
うまかったって?えっ?君がこれ飲んだの?はい。
でその後に俺が今飲んだ?はい。
しっかりと。
大丈夫ですか?大丈夫ですか?触るな!ばい菌がうつるだろ。
ばい菌って失礼な。
君なこの罪は重いぞ。
えっ?今後俺の半径3m以内接近禁止だからな。
いや。
そんなこと言ったら捜査できない…。
だいたいね君は普段から身だしなみがなってないんだよ。
身だしなみ?君こそ除菌しよう。
はい。
除菌。
除菌。
除菌って失礼な!
(黒木)おい!何やってる?また痴漢の被害が出たんだ。
すぐ行くぞ。
ああ。
はいはい。
すいません。
今から病院行って腸内洗浄したいんですけど。
そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。
行きますよ。
私と相田刑事の戦いはまだまだ続く
…って感じでしょうか?
2014/09/26(金) 21:00〜22:52
関西テレビ1
金曜プレステージ・潔癖クンの殺人ファイル[字]
潔癖すぎて殺人現場を消毒する…前代未聞の刑事(坂上忍)と痴漢に間違えられる…情けない痴漢係(温水洋一)。「所轄の面汚し」二人が合体!連続殺人事件に挑む
詳細情報
番組内容
この事件はとんでもない事件だった。死体に送られた、届くはずのない招待状…見え隠れする黒い秘書…そして殺人現場に残る見えない刻印…次から次へと起こる予想外の展開に、殺人課の敏腕刑事と言われる彼も頭を抱える始末。そして事件は衝撃の結末へ!
彼の名は相田亮平(坂上忍)。驚きの検挙率を誇りながら度肝を抜く潔癖と毒舌が災いして生活安全課・通称痴漢係へ回される。だがそこでコンビを組むのは、生安のお荷物・
番組内容2
速水悠太郎(温水洋一)なのであった!
そしてここは満員電車。相田にとって電車はバイ菌の運び屋そのもの。決死の覚悟で乗り込む相田を横目に、速水は余裕で盗撮魔を逮捕…したはずが、これがとんだ濡れ衣!男に怒鳴り散らされ、ホームで恥をかかされる速水。だが、あろう事か、その男が刺殺死体となって発見されるのである。そして事件は、更なる衝撃を呼ぶ。相田は潔癖ゆえの洞察力で二つの事件の関係性に気付く。
出演者
相田亮平: 坂上忍
速水悠太郎: 温水洋一
松崎理沙: 酒井美紀
橘雅斗: 金子昇
野村奈緒美: 井上晴美
松崎潤一郎: 片桐竜次
橘響子: 丘みつ子
他
スタッフ
【編成企画】
情野誠人
【脚本】
南千尋
【プロデュース】
挾間忠行
【監督】
鶴巻日出雄
【制作】
フジテレビ
【制作著作】
ジャパンプロデュース
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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