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 県立埋蔵文化財センターと県教委文化財課は14日、南九州市知覧町郡の地域高規格道路「知覧道路」の建設現場で、明治末期~昭和初期の水車を使った金鉱石の精錬所跡が見つかった、と発表した。近代の産業遺産として貴重なため、県は遺跡にかかる道路の橋長を約30メートル延ばし、遺跡を保存することにした。

 埋文センターなどによると、見つかったのは赤石鉱山(南九州市知覧町塩屋)の金銀鉱石を精錬するため、鉱山の北東約8キロの麓川(ふもとがわ)沿いに設けられた「宮内鉱山轟(とどろき)製錬所」跡。今年5月からの調査で、岩盤や河川の地形を利用した導水路や水車坑、石垣などが発掘された。1900年前後から35年の廃止まで利用されていたとみられる。

 新田栄治・鹿児島大名誉教授(考古学)によると、県内の金山は江戸期には4カ所だけだったが、明治期に入ると民間業者が各地で金採掘を手がけるようになった。