文科省:国立大交付金を重点配分へ 機能強化・競争促す
毎日新聞 2014年12月01日 21時57分(最終更新 12月02日 00時24分)
国立大学(全国86大学)を運営するため国が毎年各大学に支給している「運営費交付金」について、文部科学省の有識者会議は1日、地域活性化など大学の教育・研究の内容によって重点配分する改革案をまとめた。運営交付金の配分にメリハリをつけ、大学間の競争を促して改革を加速化させるのが狙い。同省は2016年度予算からの適用を目指す。
現在の運営費交付金は、教員数や学生数といった大学の規模などに基づき、支給額が決まる。だが、使途は指定されておらず大学の裁量で使うことができることから「渡しきり」との指摘があった。
改革案では、運営費交付金の一部を「改革経費」として位置づける。各大学の教育研究の機能強化と学長のリーダーシップ強化の取り組み状況によって、差をつけて配分する。
機能強化の取り組みの対象は、地域活性化▽特定分野に重点を置いた研究力強化や人材育成▽世界最高水準の教育研究拠点−−の三つ。各大学にはこのうちいずれかを選んでもらい、結果を毎年評価する。高い評価が得られれば、配分額が増える。地域活性化の指標としては、地元企業への人材供給、地域行政や産業との連携状況などが想定されている。
学長のリーダーシップについては、学長裁量による組織改革や学内の予算配分がどれだけ進んでいるかを定期的に評価する。
受託研究収入など各大学が独自に外部から獲得した資金に関しては、収入が増加しても運営費交付金は減額しない方針は継続するとした。
大学改革を巡っては、文科省は13年11月、教育研究強化など、取り組むべき内容を盛り込んだ「国立大学改革プラン」を公表。今年6月には教授会の権限を制限し、学長権限を強化することを柱とした改正法が成立した。【三木陽介】
【ことば】運営費交付金
2004年度に国立大学が独立法人化されたことを受け、各大学の収入不足を補うために国が支給する補助金。人件費や光熱費に充てられている。13年度予算では総額1兆792億円で、最も多く交付されている東京大は785億円。04年度以降、年々減少傾向にあり、14年度予算では1兆1123億円(04年度は1兆2415億円)となっている。