「反財務省」vs.「財務省依存」の選挙
民主党は、政策論争でも分が悪い。雇用で、就業者数で6257万人(2012年12月)から6366万人(2014年9月)と約100万人増加、有効求人倍率では0.83倍(2012年12月)から1.09倍(2014年9月)と22年ぶりの高水準で47都道府県すべてでアップとなると、雇用重視の左派政党である民主党のお株を奪っている。
いくら非正規雇用が多いと、民主党が批判しても、これは正規の定年退職があったからなどと説明できる。なにより、無職の人が働けるようになったのは、評価できる。無職からいきなり正規になるのも無理があるので、非正規になってから正規に順次移行するものだ。
海江田代表は、正社員の求人倍率が0.69と批判したつもりだが、安倍首相は民主党政権の時より高く、これまでで一番高いと的確に反論していた。
こうした経済政策の根本的な差は、金融政策が雇用政策であることを理解できているかどうかだ。2年前の総選挙で、本コラムでは「安倍自民の勝因は争点を金融政策にしたこと」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34351)と書いた。民主党は、まだこれを学習していないようだ。
筆者は、2010年ごろの民主党政権下、当時野党の安倍さんにも、連合会長の古賀さんにも、金融政策で雇用を拡大できることを説明したことがある。民主党のデフレ脱却議連でも同じことを話した。その後、結果として、自民党は金融政策を取り入れ、民主党はしなかった。その頃が議論の分かれ道だっただろう。
安倍さんは、金融政策について、①多方面に大きな影響があること(マクロ経済政策の重要性)、②日銀人事をしっかりやったとは任せられること(日銀の手段の独立性)、③左派政策を取り込めること(政治的優位性)から、その重要性をしっかり理解していたようだ。
いずれにしても、マクロ経済政策で明らかに、安倍首相と海江田代表では差がある。この差は、反財務省の経済主義なのか、それとも財務省依存の財政主義なのかという違いにもつながっている。
今回の総選挙は、反財務省の経済主義か財務省依存の財政主義のどちらを国民は選ぶのかという選挙でもある。
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