私が初めて(個人で)電子書籍を出したのは 1年前。 内容はブログ運営記で、自作の表紙が初々しい(?)この本でした ↓
「Chikirinの日記」の育て方
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ちきりんブックス
(2013-11-26)
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電子書籍といえば、
・Sonyのリーダーや 紀伊國屋書店のサービスなどは以前からあり、アメリカでの盛り上がりもあって、何年もの間、「日本でも、今年こそ電子書籍元年か??」と言われ続けていたものの、
・日本で本格的なブームが始まったのは、楽天が kobo を始めるぞー!とぶち上げた 2012年の 7月
・その後、アマゾンが急遽 kindle 端末を日本で発売開始 ( 2012年 10月)。同時に、キンドルでの個人出版も可能になりました。
・そこで私も、2013年(去年) 11月に初めてのオリジナル電子書籍を発売したわけです。
・この 2年間は、「誰でも電子書籍が出せる時代が来た!」という興奮の声が起こったり、無名著者の小説がたくさん売れたと話題になった一方で、「いやいや、セルフパブリッシングなんて全く売れないよ」という体験談も多くあり、
・結局のところ電子書籍は売れるのか、売れないのか。儲かるのか、儲からないのか。いまでも様々な意見が入り乱れている
という状況です。
今月で、私の出した本もちょうど一年になるし、結果がどうだったのか、関心をお持ちの方もあると思うので、、文藝春秋から紙書籍化もされた この機会に、電子書籍セルフパブリッシング(個人出版)の決算報告をしておきましょう。
↓
結果発表)オリジナル電子書籍である「Chikirinの日記の育て方」は、
・部数としては、発売から 1年間で約 1万部がダウンロードされ
・印税収入は 450万円強
となりました。
これを、同じ著者(あたし)が出版社経由で出している紙の本と比べると、
(紙の本は複数出しており、売れ行きもバラバラなので、その平均と比べた場合)
・部数は“かなり”少ない ( 3分の1から 5分の 1) が、
・印税収入は“やや少ない程度” まで達しています
この数字をどう見るか、ですけど、
1)販売部数(ダウンロード数)
販売部数が紙の本よりかなり少ないのは、今の時点では当然でしょう。
紙の上に印刷された日本語を読める人(=大人の人口と同じ)に比べて、「スマホやタブレットで本を読む人・一度でも読んだことのある人」はまだまだ限定的です。
特に、ある程度の長文を読むには、スマホではなくタブレットがないと厳しいのですが、こちらは世帯普及率でもまだ 2割とかなんですよね。(スマホで長文を読めるのは、かなり若い人だけじゃないかな)
今の電子書籍市場では、1万ダウンロードがあれば「ベストセラー」と呼ばれるようですが、紙だと最低でも 5万、もしくは 10万部くらいでないとベストセラーとは言いにくいので、この辺からみても、だいたい市場は 10分の1程度なのだろうと思います。
<書籍および電子書籍の市場規模について>
とはいえ、タブレットやスマホの普及率、そして、電子書籍を読む人の比率は今後確実に拡大するので、今の時点(=電子書籍元年から 2年の時点)でこれくらいなら、決して悪くはありません。
私の本に関して言えば、数年以内には「紙の書籍でも電子書籍でも、売れる冊数は同じ。もしくは電子書籍のほうが多い」って感じになるかもしれない。
著者属性により、読者の電子書籍選択比率が異なるわけですが、私はもともとブロガーなので、相当にその比率も高いはずです。
2)印税率
個人で出す電子書籍の場合、紙の本より印税率が(かなり)高いのですが、この率はプラットフォーム企業の判断に左右されるため、数年後も、こんなに高いかどうかはわかりません。
(紙の本の一般的な印税率は 10%です。ただし著者と出版社の個別契約なので、それより低い場合や高い場合もあります。電子書籍では、プラットフォーム側の取り分は 30%から 70%までいろいろですが、大半の場合、書き手の取り分は 10%よりは高くなるでしょう)
今後の印税率に関しては、テキスト作品をマネタイズするためのプラットフォームが、独占状態に陥らないことが(書き手にとっては)非常に重要であり(独占状態になれば、印税率は紙の本と同じくらいまで下がる可能性があります)
換言すれば、書き手にはコントロールできない部分に、今後の収入を大きく左右する要因があるとも言えます。
私みたいに実験的にやっている人はともかく、これを本業としてやっていこうという人には、この点が最大の不安要素(不確定要因)かもしれません。
3)本の販売価格
印税“率”に加え、収入“額”を左右するのが、本の販売価格です。
一時期は 100円とか 200円の本ばかりがランキング上位に入っていましたが、最近は 1000円前後の本でも売れるモノは売れる(し、売れないものは安くても売れない)という傾向になっています。
今後は他の商品同様、高価格帯、中価格帯、格安商品と、複数の価格帯の市場が並立する形になるんじゃないでしょうか。
100円本ばかり出す著者、100円本ばかり出す出版社にたいして、500円から1000円あたりの、中価格帯の本を出す人&出版社、
そして、1500円以上など、高価格帯の本を出す著者&出版社。最後のは、それなりの人が書く専門書とかプレミアム系の写真集とか。
また、一部を無料(もしくは格安)で読ませて、「残りを読みたければ 700円」といった、これまで書籍の世界では存在しなかったプライシングの工夫も始まるでしょう。
個人的には、ビジネス書や自己啓発本などは、発売からの時期や売れ行きに応じて、柔軟に価格を見直すのが本来の在り方だと思っているのですが、紙の本では難しかった、そういった柔軟な価格変更も、電子書籍では容易に実現できます。
今回の本も 2回ほどセールを行い、売上げへの影響を調べてみましたが、本に関しても洋服などと同様、「欲しいモノは欲しいと思った時に買う!」という人の他、「欲しくてもセールを待って買う人」、さらには「セールになっていたら、要らないモノまで買ってしまう人」まで、様々なタイプの消費者がいるってことじゃないかと思いました。
さて、以上の販売部数、印税率、書籍の価格という 3要素を掛け合わせると、「電子書籍って儲かるの?」の答がでるわけですが、この初オリジナル電子書籍に関しては、そこそこ成功と言える結果になりました。これくらいの収入になるなら、ある程度の時間をかけて執筆しようと考える人もいるでしょう。
今後は価格や印税率が下がる分を、電子書籍を読む人の裾野が広がることで、どの程度カバーできるのかが、ポイントになるのかな。私もまた( 2年後くらいに?)もう一冊出してみて、市場の拡大具合を確認してみたいと思います。
今回、紙の書籍になったものがこちら↓ タイトルが変わり、過去の代表的なエントリも追加しました。
「自分メディア」はこう作る! 大人気ブログの超戦略的運営記
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文藝春秋
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★★★
さて上記は、出版社を使わず、個人で出した電子書籍についてですが、最近は、出版社経由で出した本の売れ行きでも、電子版が紙版を凌ぐ勢いになってきました。
こちらの印税率はそんなに高くないのですが、それでも、過去に出版社経由で出した、すべての本の電子書籍印税の合計は、総額で 300万円を超えてきました。
まだ紙版の印税総額には遠く及びませんが、著作を数多く抱える著者にとっては(私のレベルではなく、過去に数十冊とか、100冊を超えるような著者にとっては)、絶版もなく、話題になる限りいつまでも売れ続ける電子書籍の印税は、総額ではそれなりの収入源なんじゃないでしょうか。(この人とかね・・)
ちなみに下記は、電子書籍(マンガ)の個人出版で成功されている漫画家の鈴木みそさんの本。マンガの世界でも、今後は出版社を介さない個人出版の作品が増えていきそう。
電子書籍で1000万円儲かる方法
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学研パブリッシング
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新市場が大好きな私には、とっても楽しみな未来です。
そんじゃーね!
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