Financial Times

白人男性による市場支配を絶たねばならない理由

2014.12.01(月)  Financial Times

(2014年11月22/23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

本稿は、まず断り書きから始める必要がある。筆者は白人で、男性だ。この事実に驚く人はいないだろう。それも、紙面に添えられた顔写真から、筆者の性別と民族性がかなり明白なためだけではない。金融界と、例えば金融ジャーナリズムなどの周辺分野が今なお驚くほどの白人男性クラブだからだ。

 これは不平等だとする議論はたくさんあるし、介入すべきでないとする議論もたくさんある。だが、この重要な議論は本稿のテーマではない。むしろ要点は、投資家がより良い結果を求めるのであれば、多様性のあるチームによって資本が配分された方が投資家のためになる、ということだ。

 そして、これは単に白人男性だけの問題ではない。どんな民族であれ、チームや市場が1つの民族に占められているときには、そうでない場合よりもまずい判断を下す傾向があるのだ。

 行動心理学者はだいぶ前に、市場というものが群れ行動と集団思考に陥りやすいことを証明している。均質なチームの方がこうした問題に陥りやすいことは、筋が通っている。このほど、遠く離れた米テキサスとシンガポールで行われた学術実験で、その効果が驚くほど見事に実証された。

均質な市場の方が多くの判断ミスを犯す理由

 学者のチームはテキサスとシンガポールの双方でトレーディングシミュレーションを企画した。トレーダーたちに与えられた数字は、ファンダメンタルな価値と比べて投資対象をどうプライシング(値決め)するかを正確に把握できるようになっていた。

 一部のグループは均質に保たれ、市場に参加するトレーダー全員がその地域の支配的な民族で構成された。一方、他の市場は多様になるよう構成された。トレーダーたちは他のトレーダーを見ることができ、皆が似たような知識とスキルを持っているよう、ふるいにかけられた。

 結果はこうだ。多様性のある市場では、トレーダーは他者の行動をより注意深く観察し、価格が妥当だと想定する可能性が低かった。一方、均質な市場では、トレーダーたちは他者を信頼した。

 論文の執筆陣の1人であるマサチューセッツ工科大学(MIT)のエバン・アプフェルバウム氏は言う。「これは多様性がパフォーマンスを高めるという話ではなく、均質性がパフォーマンスを落とすという話だ。白人の成果を上げさせる、ということだ」

 その効果の度合いは驚くほどだった。プライシングの正…
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