衆院選:アベノミクス解散…将来どう呼ばれるのか

毎日新聞 2014年11月22日 01時05分(最終更新 11月22日 02時43分)

 解散の名称は、その後の衆院選を性格づけるとされる。安倍晋三首相は21日、解散後の記者会見で「アベノミクス解散」と名付け、アベノミクスは道半ばとして継続を訴えた。これに対し、野党は「大義なき解散」と批判を強める。過去の解散にはさまざまな名称が付けられているが、今回の解散は歴史的にどう呼ばれるか−−。

 今回の解散は2012年12月の第46回衆院選から1年11カ月での解散になる。現憲法下で23回目の解散となるが、過去に衆院議員の任期4年の折り返し前の解散は、(1)なれあい解散(1948年)(2)バカヤロー解散(53年)(3)天の声解散(55年)(4)ハプニング解散(80年)(5)郵政解散(05年)−−の5回しかない。

 「なれあい」「バカヤロー」「ハプニング」は衆院で内閣不信任案が可決され、解散に至った。「天の声」は鳩山一郎首相が就任時に左右社会党に「早期解散」を約束しており、主体性を発揮したとは言い難い。55年11月の保守合同による自民党結党以前に3回が集中しているのは、当時の不安定な政治状況の反映とみられる。

 時の首相の決断で解散に踏み切った例は、05年の小泉純一郎首相による「郵政解散」だけで、結果は自民党の大勝だった。安倍首相は郵政解散を手本にしたとされる。

 その解散を、公明党の山口那津男代表は「デフレ脱却推進解散」と命名。甘利明経済再生担当相も、首相発言を引用し「この道しかない解散」と名付けた。

 山谷えり子国家公安委員長は「日本の底力を発揮する解散」、山口俊一沖縄・北方担当相も「アベノミクス止めるな解散」とし、首相の解散判断を擁護した。

 手厳しいのは野党だ。民主党の枝野幸男幹事長は「大義なき解散」と改めて位置付け、川端達夫国対委員長も「アベノミクス失敗隠し解散」と批判。維新の党の江田憲司共同代表は「経済失政解散」とし、松浪健太国対委員長は「逃げノミクス解散」と、アベノミクスをもじった。

 与党内からも、小泉進次郎復興政務官が「解散への理解がない状況の中で一言では言えない」と語るなど、「アベノミクス解散」への戸惑いの声も聞かれた。【高山祐】

最新写真特集