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監禁延長20年に - 『オールド・ボーイ』(2013) - 1953ColdSummer

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監禁延長20年に - 『オールド・ボーイ』(2013)


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ールド・ボーイ(2013)
OLDBOY
2014(2013)/アメリカ/R15+ 監督/スパイク・リー 出演/ジョシュ・ブローリン/エリザベス・オルセン/シャールト・コプリー/サミュエル・L・ジャクソン/他 原作/土屋ガロン/嶺岸信明/『オールド・ボーイ』
おまえは誰だ?
なぜ、俺を20年監禁した?



 しがない駄目人間が唐突に拉致監禁されて脱出の見込みも無いとなると、そりゃとりあえず筋トレと書き物でも始めますわな。

 土屋ガロンの原作でもパク・チャヌク版の方でも監禁された一室で男は筋トレに励んでいたのだが、最近は刑務所内でも筋トレは禁止されているとかいないとか聞いた事があるというのはまあどうでもよくて、復讐に備えた身体を作るジョシュ・ブローリン演じるジョー・デュセットのビルドアップに復讐者としての悲哀が湛えられているかというとそこんとこは割とポップで、当初はズリネタにしていた室内テレビのエアロビ番組(?)で一丁鍛え始めるかという軽快なサワリに抑えられている。
 こういう軽快さが『オールド・ボーイ』スパイク・リー版リメイクのカラーであり、賛否が別れるところであると思うのだが、個人的には楽しめた。

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「個人的には楽しめた」なんて姑息な防衛線を枕にしておいてこういう事を抜かすのも気が引けるが、あっ「気が引ける」なんてのも姑息な防衛線ッスね、知るか。で話を進めると、パク・チャヌクの復讐三部作は恐らく、自分が一番能動的に映画を観るのが楽しかった時期の作品で、中でも『オールド・ボーイ』には一家言も二家言も、あったらかっこがついたのだろうが、一番好きなのは『復讐者に憐れみを』なのでかっこがつかない事おびただしく、だがハンマー片手におほほほほと長回しで暴れるチェ・ミンシクの姿には胸を打たれないものでもなくて、儒教の国ならではのえげつないラストの改変や、『復讐者に憐れみを』の水中で傷口パクパクにもひけをとらぬ痛覚直撃描写には身体の中心の辺り、具体的に言うと丹田の下がヒュンっとしたものだが、そうした韓国暗黒暴力映画の因業を此度のリメイクでリーさんところのスパイクがヨイショっと背負ってくれたのかと言いますと、笑って首を横に振らざるを得ない。

 おいおい「楽しめた」だの「首を横に振らざるを得ない」だのどっちなんだよチャッチャッと答えやがれあまり人を漫画にしとったら首斬って塩塗り込むぞと思われる向きもあるかも知らんが、うむ。首を斬って塩を塗り込むシーンや、金槌の釘抜きの方を頭蓋に突き刺すシーンなんかはとても良い。餃子だって美味そうだし肝のセックス・シーンのボカシの大きさなんて『ドラゴン・タトゥーの女』(感想)のソレを思い出して笑けてくる程だ。形ばかりのフォローではない毒性の強さに、オリジナルへのリスペクトがとても強く感じられる。

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 が、「何故20年間も監禁されるハメに陥ったのか」(パク・チャヌク版では15年)というオリジナルにもあった要の部分にまつわる杜撰さに、メスを入れるどころかホンの段階から構築し直すことすらしていない虚飯を食らうがごとき所業や、ダブルミーニングとしての「復讐者」の、あっさりと劇的に真相を諳んじる態度などに、韓国映画の泥臭さとはかけ離れたスタイリッシュに色目を使う媚態が見て取れてしまうのだ。
 それをポップと許容する行為を決して否定するものではないが、私としてはもっと粘性のある泥臭さを求めていたのでアクションにせよドラマパートにせよ、スタイリッシュな振る舞いによるポップさよりもブギー・ポップ(不気味な泡)を期待していたわけで、『サマー・オブ・サム』――サムの夏は遠くになりけりと一人勝手に落胆してしまった事をここに告白したい。

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 郊外型因果と暴力映画の世界的標準にならんと韓国映画が台頭してきている事を鑑みれば、パク・チャヌク監督なんてその道のビッグネームの作品に手を入れる行為など恐ろしくて思いもよらんが、スパイク・リーなら、て気持ちと、スパイク・リーが? て気持ちがリメイク発表当初に胸中に飛来したのは紛れもない事実であるし、本作に関してイイ仕事をしているかと問われれば、ともすれば他所行きの表情で「イイ仕事をしていますよ」と返答する。だがその後にタコの踊り食いもありませんしアメリカらしいテレビを駆使したなにがしがありますよと言の葉に乗せるのが、私にとっては辛いのだ。
 しかしそんな一個人の感情的な辛さが世に問われた作品の面白さ/面白くなさを規定するかっつうと「なわけー!」と手をクイッとやりながら否定されるのが世の常ひいては映画の常であり、畢竟、私はスパイク・リーの『オールド・ボーイ』は面白かったですよと微笑んで映画話として消費し続けるのみなのである。


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