警察は午後10時30分ごろ、モーテルにやって来た女に15万ウォン(約1万5000円)を渡し、女が風呂に入っている間に外で待機していた別の捜査員に連絡した。約10分後、警察官らが一斉に中に入った。女は「服を着る間、しばらく外に出てほしい」と言った。だが、5分たっても女が出てこないので不審に思い、部屋に戻ると、女はいなかった。捜査員がモーテル6階の窓から下を見ると、女が倒れていた。女は病院に搬送されたが、26日未明に死亡した。
こうした状況から「警察の取り締まりのせいで女は死亡したのではないか」という批判が起きている。慶尚南道女性人権相談所のチョ・ヨンスク所長は「売春あっせん業者や買春した人物ではなく、売春女性をターゲットにしたおとり捜査により(女が)死亡した」と主張した。しかし、警察は「女に売春の意思があったのだから、おとり捜査ではない。担当捜査官を監察する予定もない」としている。
法律関係者によると、犯罪をする意思がないのに捜査機関が誘導したり、そそのかしたりして犯行をさせる「犯意誘発型」ならおとり捜査に当たるという。例えば、麻薬を買う意思がない人をそそのかして買わせるのはおとり捜査だというわけだ。しかし、今回の件は既に犯罪の意思がある者に対して犯行の機会を与える「機会提供型」なのでおとり捜査に当たらない、と警察では主張している。刑事が民間人を装ってズボンの後ろポケットに厚い財布を入れ、すりが多い繁華街を歩き回り、財布に手を出したら摘発するのが「機会提供型」だ。この「機会提供型」という捜査手法は、2010年に韓国の裁判所で「おとり捜査ではない」と判断されている。
警察関係者は「今回の取り締まりチームに女性警官がいなかった点は問題があったかもしれない。容疑者を摘発した際にすぐ手錠を掛けて連行するのではなく、『服を着る間、しばらく時間が欲しい』『たばこを1本吸う時間をくれ』などの要望を受け入れてしまい、容疑者が衝動的に自殺することを防げなかったのも問題だ」と話している。