星賀亨弘
2014年11月29日15時02分
「ONE PIECE(ワンピース)」の尾田栄一郎さん、「あさりちゃん」の室山まゆみさん、「バガボンド」の井上雄彦さん……。熊本県は、ゆかりのマンガ家が多いことで知られる。でも実は、第一線のマンガ研究者や著名なコレクターが輩出している、もうひとつの「マンガ王国」でもある。
東京都中野区の明治大学で10月下旬、「『熊本』のマンガ凝集力」と題した公開講座が開かれた。企画したのは、熊本県出身の藤本由香里教授(55)=マンガ文化論=だ。マンガ家だけでなく、編集者や研究者にも熊本出身者が目立つことに気づいたからだ。
なぜ熊本なのか。藤本さんが思いあたるのは、「貸本屋が身近だった」こと。
「自宅の近くにも1軒あり、4歳から借りていた。週1冊と親と約束していたので、作品がたくさん読める雑誌を借りました」。大学進学で移り住んだ横浜市では近くに貸本屋がなく、環境の違いに戸惑ったという。
明治大学にはマンガやマンガ関連の蔵書7万冊がある米沢嘉博記念図書館(東京都千代田区)がある。熊本県出身のマンガ評論家でコミックマーケット創設メンバーでもある米沢さんが2006年に亡くなり、蔵書を寄贈されて設立した。
藤本さんは、生前の米沢さんと地元の思い出話をしたことがある。「熊本の貸本屋や古書店を自転車で回っていたと聞きました。そこには仲間や競い合うライバルがいて、今のコミックマーケットのようだったんじゃないですかね」
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