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子どもの運動能力 持久力向上も握力など最低
11月29日 18時38分

子どもの運動能力 持久力向上も握力など最低
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文部科学省が全国の小中学生の体力や運動能力を調べたところ、男女ともに持久力が向上している一方、ボール投げと握力の結果は小中学生ともにこれまでで最も低くなりました。

この調査は文部科学省が平成20年度から小学5年生と中学2年生を対象に行っているもので、今年度は214万人余りが参加しました。
調査は50メートル走など8つの種目で行われ、小学生は男子が上体起こしや反復横とびなど4種目の結果がこれまでで最も高かったほか、女子は5種目で最も高くなりました。
なかでも、決められた時間内に20メートルを何回走りきれるかで持久力を測る「20メートルシャトルラン」は男子の平均が51.7回とこの5年で2.3回増え、女子は40.3回と1.6回増えました。
一方で、握力とボール投げの結果は小中学生ともに過去最低となり、男子小学生のソフトボール投げの平均はこの5年で2.5メートル縮まって、22.9メートル、女子中学生のハンドボール投げは0.7メートル縮まって12.8メートルでした。
調査結果を分析した筑波大学の西嶋尚彦教授は「持久力は運動習慣の成果が出やすく、学校での取り組みが広がり運動量が増えている結果だ。ボール投げについては放課後に校庭や体育館を開放し子どもたちがボールを投げて遊べる環境にするとともに、投げる動作に特化した指導をすることで伸ばしていくことができると思う」と話しています。

全国1位の常連は福井県

調査の結果を都道府県別に見ますと、8つの種目の合計点が小中学生の男女ともに最も高かったのが福井県です。
小学生は調査開始以降、毎回、全国1位となっています。
なかでも、持久力を測る種目で高い結果が出ています。
決められた時間内に20メートルを何回走りきれるかで持久力を測る「20メートルシャトルラン」は小学生男子の平均が65.14回、女子は53.93回と、いずれも全国平均より13回以上多くなっています。

福井県の秘密は「運動の習慣化」

背景には、「運動の習慣化」があると県教育委員会は分析しています。
福井県ではおよそ50年前から独自の体力調査を行っているほか平成4年からはすべての小中学校で年度初めに「体力つくり推進計画書」を作成し実施結果を県教委に報告しています。
今回の調査の一環として行われたアンケートで「体育の授業以外に運動時間を確保する取り組みを行っている」と答えた小学校の割合は全国平均を10ポイントほど上回る93.5%に上りました。
その一つは、多くの学校で休憩時間を活用して取り組んでいるマラソンです。
越前市の武生東小学校では週に2回、マラソンをしています。
自分のペースで走れるだけ走り、体を動かすことの気持ちよさを子どもたちに実感させるほか、マラソンを楽しく続けるための工夫もしています。
走った距離に応じて升目を塗りつぶすことで成果が一目で分かるカードや、クラス全員の走った距離を足し合わせ、北海道を出発点に南へどこまで走ったかを記していく日本地図です。
ことし4月から先月までに4年1組・40人が走った距離は合わせて1782キロ。
北海道から山口県辺りまで届く計算で、地図を見た子どもたちからは歓声が上がっていました。

握力向上へ「グー・パー体操」

さらに、子どもたちが苦手としている「握力」についても取り組みを進めています。
県教委が考案した「グー・パー体操」です。
平成23年度から県内すべての小中学校で取り入れています。
腕を体の前や横に伸ばし、音楽に合わせておよそ3分間、手の指を握ったり開いたりします。
敦賀市の沓見小学校では、朝の会が始まる前、全校児童が一斉に「グー・パー体操」をしています。単純な動きですが、3分間続けるのは楽ではありません。
最初は楽しそうにやっていた子どもたちも、終盤には苦しそうに顔をゆがめながら取り組んでいました。
「グー・パー体操」が導入されてことしで4年目となり、調査が始まった平成20年度に全国で10位だった小学生男子の握力の結果は今回、4位に、中学生女子は19位から3位に順位を上げ、県教委は確実に成果が出ていると分析しています。
福井県教育委員会の三田村彰企画幹は「平成30年に福井国体を控えており、今後も授業や部活動も含めた地道な取り組みを続けていきたい」と話しています。

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