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【スポーツ】

羽生、GPファイナル出場へ気力振り絞る 大会前公式練習で決意

2014年11月28日 紙面から

公式練習する羽生結弦=大阪なみはやドームで

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 28日に開幕するフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ最終戦・NHK杯の公式練習が27日、会場の大阪・なみはやドームで行われた。第3戦の中国杯の直前練習で頭部などを負傷した羽生結弦(19)=ANA=が、午後の公式練習で調整。ジャンプに不安を残したが、羽生は連覇の懸かる12月12〜14日に開催されるGPファイナル(バルセロナ)進出を熱望。手負いのプリンスが意地で表彰台を目指す。

◆一時は欠場検討

 本調子には程遠い。それは羽生も痛いほどに自覚している。それでも王者を出場へ駆り立てたのは、GPファイナルへの強い意志、そしてけがを押して出場した中国杯での演技だった。公式練習後の記者会見で、羽生が強い口調で言った。

 「ここにいるのは奇跡に近い。出場をやめようという思いもあった。でも、中国杯ではファイナルへ行きたいという自分の思いを、みんなが尊重してくれた。あの演技を無駄にしたくない」

 第3戦・中国杯のフリー直前練習で中国選手と衝突し、頭部や顎、太ももなどを負傷。それでも2位に入り、9日に車イスで帰国。全治2〜3週間の診断を受けた。「痛くて眠れないこともあった」と明かすが、羽生自身はより深刻な状況もあり得たと話す。

 「振り向いた瞬間だったから、顔を避けられたし、腕も出せた。スポーツは死と隣り合わせ。時間の差があったら、僕はここからいなくなっていたかもしれない」。最悪の事態さえあり得たからこそ、「当たり所が良かった」と受け止めた。

◆両足に違和感

 それでも、もちろんケガは癒えてはいない。「両足には違和感がある」と正直に明かす。一方で、「感覚的には普通の状態に近づいた。コーチとも相談して、滑れると判断した」。不安を打ち消すように強調した。

 この日は午前の公式練習を休み、午後のみの調整だった。フリーの「オペラ座の怪人」を流して滑走。冒頭から立て続けに2つのジャンプが回転不足。3つ目のジャンプは着氷が乱れた。羽生はいら立つようにリンク脇へ向かうと、ティッシュを手に取り鼻をかんだ。

 「もちろん万全ではないです。体力もしっかり落ちちゃってます」。4回転ジャンプは計10回以上跳んだが、成功は3回にとどまった。3回転が1回転になるなどの「抜けた」ジャンプも連発。40分の練習時間を唯一、目いっぱい使って調整したが、最後まで不安は残った。

◆演技難度下げる

 SPの羽生は最終の11番目の滑走。SP、フリーとも難度を下げる。「構成を落として申し訳ない」と頭を下げたが、表彰台に上がれば、GPファイナルへ自力でたどり着ける。「ファイナルに出るため、今の自分ができる最高の演技をしたい」。強行出場した中国杯。自身と周囲の思いを胸に、滑りきってみせる。(青山直樹)

  

 

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