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最終更新:2014年11月28日(金) 19時27分

「はやぶさ2」、天候不良で30日の打ち上げ延期

 今月30日に予定されていた小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げが延期されました。延期の理由は天候不良です。

 JAXAの種子島宇宙センター。午後2時から行われた会見は、本来であれば、小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げ準備が順調に進んでいると発表される予定でした。しかし・・・。

 「小惑星探査機『はやぶさ2』と(H2A)26号機の打ち上げを12月1日以降に延期することに決定した」(JAXAの会見)

 予定されていた30日の打ち上げが天候不良のため、延期されることになったのです。多くの見物客を受け入れる予定だった種子島の人々も落胆の色を隠せません。

 「町挙げて楽しみにしていたが、私もショックな状態」(南種子町 梶原弘徳 町長)

 町の旅館では・・・
 「複雑ですよね。(12月)1日から違う予約が入っているので、それをどうしようかと考えている」(旅館の関係者)

 打ち上げを実施するためには、数多くの気象条件を満たさなければなりません。今回の延期の理由は、「氷結層」を含む雲の存在でした。

 「氷結層は氷を結ぶところ。そこでは、ひょうがこすれて雷が起こりやすい。(ロケットの)電子機器に雷が落ちると誤作動を起こす可能性が高まる」(森田正光 気象予報士)

 種子島周辺の週間天気予報では来週火曜日以降に天候が回復するとみられています。科学ジャーナリストは今回の延期について、次のように指摘します。

 「ロケットがすでに発射台にのってしまったとか、燃料をすでに入れてしまったという時点で延期になると、余計な手間がかかるので面倒。今回の場合は、まだ組立棟の中にあって燃料が入っていないので、比較的対処がしやすいケース」(毎日新聞デジタル報道センター 編集委員 元村有希子さん)

 2011年1月にも落雷の可能性が出てきたため、ロケットの打ち上げが延期、2日後に打ち上げられました。

 一方で、「はやぶさ2」の打ち上げ計画は世界的にも類を見ない高度な計算を必要とします。延期が長期にわたると、打ち上げ計画そのものの見直しを迫られる可能性があるといいます。

 「(来月)1日以降9日までの間であれば、いろんな微調整によって、きちんと小惑星にたどり着くことが分かっています。9日を逃してしまうと次の良い条件の打ち上げは2024年。10年後になってしまう。事実上ミッションが不可能になるとも言われていた」(毎日新聞デジタル報道センター 編集委員 元村有希子さん)

 11年前に打ち上げられた初代「はやぶさ」は、数多くのトラブルに見舞われました。月よりも、はるかに遠い小惑星イトカワから砂を回収し、地球に戻るという世界初の試みでした。

 しかし、想像を超えるトラブルが発生。その危機を創意工夫で乗り切り、奇跡の帰還を果たしたのです。傷つきながら撮影した地球の姿。その後、まばゆい光を放ち、大気圏で燃え尽きていく姿は多くの人に感動を与え、はやぶさブームの発端となりました。

 30日午後1時24分48秒に打ち上げられる予定だった「はやぶさ2」。「はやぶさ2」の目的地は地球からおよそ3億キロ離れた小惑星1999JU3に到達し、石や砂を採取して地球に持ち帰ることです。

 「地球がどんな物質から生まれたのか、生物の原材料が分かるかもしれないというので非常に期待しています」(JAXAはやぶさ2 吉川 真 ミッションマネージャー)

 2018年に直径およそ900メートルの1999JU3に到着。ここには地球の生命や海のもとにもなる有機物や水があると考えられています。およそ1年半かけて探査した後、2020年に往復で、およそ52億キロという旅を終え地球へ帰還するという計画です。JAXAによりますと、打ち上げの再開は来月1日以降になる予定だといいます。(28日17:50)

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