台湾:統一地方選で与党国民党が大敗 首相辞任

毎日新聞 2014年11月29日 21時36分(最終更新 11月29日 23時29分)

台北市長選で1票を投じる台湾の馬英九総統=2014年11月29日、AP
台北市長選で1票を投じる台湾の馬英九総統=2014年11月29日、AP

 【台北・鈴木玲子】台湾の次期総統選の前哨戦となる統一地方選が29日、投開票された。最大の焦点となった6直轄市長選では、与党・国民党が政権のお膝元である有力地盤の北部・台北市と桃園市、中部の要である台中市でポストを失うなど大敗を喫した。野党・民進党は台中市などの市長選で勝利したほか、台北市長選では民進党に近い野党系の無所属新人、柯文哲氏(55)が国民党新人の連勝文氏(44)を大差で破って初当選した。全体でも22県市長選で、国民党は選挙前の15から6に大幅減となり、民進党は6から13に倍増した。民進党は2016年の総統選での8年ぶりの政権奪還に向けて弾みをつけた。

 馬英九総統は29日夜、敗北を認めて謝罪し、「立ち止まらずに改革していく。落ち込んでいる時間はない」と党の団結を呼びかけた。また、江宜樺・行政院長(首相)は敗北の責任をとって辞任を発表。馬総統も承認した。与党の大敗は格差社会の広がりや住宅価格高騰、食品の安全性への不安など馬政権に対する有権者の不満の表れでもある。

 これまで北部は国民党、南部は民進党勢力が強かったが、この与野党の勢力図が大きく塗り替わった。野党勢力の北上に、国民党内から馬総統に対する責任追及の声が上がり、馬総統の党内求心力が低下する恐れがある。

 馬政権は次期総統選に向け、早急な態勢立て直しを迫られることになるが、党内には昨秋の馬総統と王金平立法院長(国会議長)の対立による後遺症が残っており、馬総統の後継候補争いを巡って党内対立が激しさを増す可能性がある。

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