アクセスFSA 第128号(2014年2月)

アクセスFSA 第128号(2014年2月)

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写真1 写真2
“NISAの日”シンポジウム
〜考えよう!あなたのおカネと日本の未来〜
(東京)にて挨拶する岡田副大臣(2月13日)
“NISAの日”シンポジウム
〜考えよう!あなたのおカネと日本の未来〜
(東京)(2月13日)
写真3
第32回金融審議会総会・
第20回金融分科会合同会議にて
挨拶する岡田副大臣(2月24日)

トピックス

(1)“NISAの日”シンポジウムについて

平成26年1月からスタートしたNISA(少額投資非課税制度)については、既に口座開設件数が475万件、申込件数は550万件を超えるなど、国民の皆様から大きな関心が寄せられているところです。

金融庁は、より多くの方々に資産の運用やNISAの仕組みについて知っていただくため、2月13日を「NISAの日」とし、広報活動を強化していくこととしました。

本年は、関係団体とともに、2月13日に東京でシンポジウムを開催したほか、2月18日には名古屋、2月19日には大阪でもシンポジウムを開催しました。

東京でのシンポジウムには、岡田広内閣府副大臣(金融担当)も出席し、冒頭挨拶において、「家計の資産形成の支援」と「成長資金の供給拡大」の両立という、NISA導入の背景となった考え方を説明しました。また、ファイナンシャルプランナーや学生パネリストを交え、「将来のために、今、NISAをどう使うか」と題したパネルディスカッションも行いました。会場からも、NISAについて様々なご意見・ご質問が積極的に出されました。

金融庁としては、NISAを通じた投資家のすそ野の拡大に向けて、引き続き、様々な広報活動等を通じて、NISAの一層の普及促進に努めていきたいと考えています。

※ NISAについては、金融庁ウェブサイトのトップページから「NISA(少額投資非課税制度)が始まりました!」にアクセスして下さい。


(2)ミャンマー財務省との金融技術協力に関する覚書への署名

平成26年1月24日、金融庁は、ミャンマー財務省との間で、金融技術協力に関する覚書(以下、「本覚書」という。)に署名しました。本覚書は、ミャンマーの金融・資本市場など金融インフラの整備が日本とミャンマー両国、ひいては世界経済の発展の礎となるとの両国の認識の下、金融部門における包括的協力関係を推進するための枠組となるものです。本覚書に基づき、今後、金融庁とミャンマー財務省は、ミャンマーにおける金融・資本市場の発展やマイクロファイナンス、証券、保険分野の法規制枠組みの整備等を促進させるため、これらの分野における経験や専門知識を交換するなど、協力を推進していくこととなります。

本覚書への署名は、平成25年6月に訪日したミャンマー大統領府大臣との面談で日緬の包括的金融技術協力枠組の確立に合意し、その後12月に訪日したミャンマー財務副大臣と覚書締結に向けた協議を行ったことが経緯となっています。

また、本覚書は、金融庁がアジア金融当局と締結した金融技術協力に関する合意文書としては、インドネシア金融庁(平成25年10月29日)、モンゴル金融規制委員会(平成26年1月9日)に続き3本目の覚書になります。

本覚書に基づく具体的な協力内容については、今後ミャンマー側と継続的に協議を行い決定していく予定です。金融庁としては、ミャンマーにおける金融・資本市場の発展や、マイクロファイナンス・証券・保険分野の法規制の整備を支援する観点から、例えば、金融規制当局の態勢、証券取引法令等の整備、監督指針・検査マニュアルの作成、証券取引所の設立に係る取組、などについて、ミャンマー側の希望に沿う形で協力を行っていく考えです。本覚書では、協力のテーマとして、以下の例を記載しております。ただし、あくまでも例示で挙げているものであり、協力の内容はこれに限定されません。

  • 効果的な金融規制当局及び法制度の整備
  • 中長期的な発展のための金融・資本市場のあり方についての政策立案
  • 監督指針/検査マニュアル
  • 個人向け金融サービス
  • 中小企業向け金融サービス
  • 証券取引所
  • 決済システム
  • 信用保証制度
  • 様々な金融商品や金融手法
  • 災害対応
  • 損害保険料率

※ 詳しくは、「国際関係」の中の「国際関係情報(その他)」から「ミャンマー財務省との金融技術協力に関する覚書について」(平成26年1月27日)にアクセスして下さい。


(3)公正な市場の確立に向けて〜「市場の番人」としての今後の取組み〜

証券取引等監視委員会(以下、「証券監視委」という。)は、平成25年12月に発足した第8期新体制の下での今後3年間の活動方針として、平成26年1月21日に「公正な市場の確立に向けて〜『市場の番人』としての今後の取組み〜」を公表しました。

証券監視委は、これまで「市場の公正性・透明性の確保」、「投資者の保護」を目指して市場監視に取り組んできました。その使命自体に変更はありませんが、市場の動向等に即して、従来からの取組みを深化・拡充する一方、新たな取組みにチャレンジすることを通じて、実効性のある効率的な市場監視に努めていきます。こうした証券監視委の取組みは、我が国市場の発展や国際競争力の向上にも資するものと考えています。

活動方針の主な内容は、以下のとおりです。

  • <基本的な考え方>

    金融商品取引法の累次の改正、ITの活用等による金融商品・取引のイノベーションの進展、さらには海外との間のクロスボーダー取引の拡大等、我が国市場はダイナミックに変化しています。証券監視委は、こうした市場の動向を常に注視し、感度を一層高めた情報収集・分析を行い、対応を要する問題にタイムリーに取り組んでいきます。

    • (1)機動性・戦略性の高い市場監視

    • (2)市場のグローバル化に対応した監視力の強化

    • (3)市場規律の強化に向けた取組み

  • <重点施策>

    市場監視の各手段を戦略的に活用しながら、特に以下のような点に重点をおいて、実効性のある効率的な市場監視を行っていきます。

    • (1)情報力に支えられた機動的な市場監視

    • (2)重大・悪質な不公正取引や虚偽記載等への厳正な対応

    • (3)ディスクロージャー違反に対する迅速・効率的な開示検査の実施

    • (4)不公正取引等に対する課徴金制度の活用

    • (5)検査対象先の特性に応じた効率的かつ実効性ある証券検査の実施

    • (6)詐欺的な営業を行う悪質業者等への対応

    • (7)情報発信の充実

    • (8)自主規制機関等との連携

※ 活動方針は、証券監視委ウェブサイトの「新着情報」からPDF「第8期証券取引等監視委員会の活動方針(公正な市場の確立に向けて)」(平成26年1月21日)新しいウィンドウで開きますにアクセスして下さい。


(4)平成25年度 地域密着型金融に関する会議(シンポジウム)の開催について

財務局及び沖縄総合事務局においては、平成17年度以降、地域密着型金融の取組みに関する知見・ノウハウの共有化等を目的に、地域密着型金融に関する会議(シンポジウム)を開催しています。平成25年度の日程は、以下のとおりです。

北海道財務局 (日程:平成26年3月14日 場所:札幌市)
東北財務局 (日程:平成26年3月7日 場所:仙台市)
関東財務局 (日程:平成26年2月26日 場所:東京都渋谷区)
北陸財務局 (日程:平成26年2月28日 場所:金沢市)
東海財務局 (日程:平成26年3月18日 場所:名古屋市)
近畿財務局 (日程:平成26年3月17日 場所:大阪市)
中国財務局 (日程:平成26年3月6日 場所:広島市)
四国財務局 (日程:平成26年2月25日 場所:高松市)
福岡財務支局 (日程:平成26年3月18日 場所:福岡市)
九州財務局 (日程:平成26年3月6日 場所:熊本市)
沖縄総合事務局 (日程:平成26年3月13日 場所:那覇市)

平成25年度のシンポジウムにおいては、平成24年度と同様、広域での知見・ノウハウの共有化やシンポジウムの充実を図る観点から、一部の地域金融機関の経営者の方々に「地域密着型金融の推進のサポ−ト役」として、主要営業地域外の財務局等が開催するシンポジウムにご参加いただき、自行(金庫・組合)における取組み等についてご紹介いただくとともに、パネルディスカッションにもご参加いただく予定です。

また、金融機関による中小企業に対するトップライン改善支援に係る基調報告として、当庁で実施した調査事業「我が国金融機関による、中小企業の経営改善支援・事業再生支援等に関する調査」の概要についての講演を実施する予定です。

なお、シンポジウムの開催結果の概要については、金融庁ウェブサイトに随時掲載する予定です。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「平成25年度 地域密着型金融に関する会議(シンポジウム)の開催について」(平成26年1月29日)にアクセスして下さい。


(5)「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等(期間:平成25年10月1日〜同年12月31日)

金融サービス利用者相談室(以下、「相談室」という。)に寄せられた利用者からの相談件数や主な相談事例等のポイント等については、四半期毎に公表しています。平成25年10月1日から同年12月31日までの間における相談等の受付状況及び特徴等は、以下のとおりです。

  • 1.平成25年10月1日から同年12月31日までの間(以下、「今期」という。)に、10,225件の相談等が寄せられています。1日当たりの受付件数は平均168件となっており、平成25年7月1日から同年9月30日までの間(以下、「前期」という。)の実績150件に比べてやや増加しています。

  • 2.分野別の受付件数としては、預金・融資等に関する相談等の受付件数3,469件(構成比34%)、投資商品等に関する相談等の受付件数2,849件(同28%)、保険商品等に関する相談等の受付件数2,718件(同26%)、貸金等に関する相談等の受付件数781件(同8%)、金融行政一般・その他に対する意見・要望等の受付件数408件(同4%)となっています。

  • 3.分野別の特徴等について

    • (1)預金・融資等については、行政に対する要望等に関する相談等が増加したことから、前期に比べて、増加しています。

    • (2)保険商品等については、一般的な照会・質問に関する相談等が増加したことから、前期に比べて、やや増加しております。

    • (3)投資商品等については、前期に比べて、ほぼ同水準となっています。

    • (4)貸金等については、業者の態勢・各種事務手続に関する相談等が増加したことから、前期に比べて、やや増加しています。

  • 4.なお、利用者の皆様から寄せられた相談等は、利用者全体の保護や利便性向上の観点から検査・監督上の参考として活用しています。

    今期に受け付けた情報提供のうち、以下のものなどについて、金融機関に対する検査における検証や監督におけるヒアリング等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用しています。

    • (1)預金取扱金融機関によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢に関するもの

    • (2)預金取扱金融機関における不適切な顧客対応に関するもの

    • (3)預金取扱金融機関の融資業務における担保の取扱いに関するもの

    • (4)いわゆる貸し渋り・貸し剥がしや貸出条件変更に関するもの

    • (5)預金取扱金融機関の個人情報の取扱いに関するもの

    • (6)保険会社の保険金等の支払いに関するもの

    • (7)保険募集人等の不適正な行為(重要事項の不十分な説明、手続に関する不適切な案内・対応、不告知の教唆、無断契約、名義借り、保険料の立替等)に関するもの

    • (8)貸金業者による法令違反のおそれのある行為に関するもの

    • (9)貸金業者による顧客への不適切な説明に関するもの

    • (10)システム障害に関するもの

    • (11)無登録営業に関するもの

    • (12)金融商品取引業者の不適正な行為(ホームページを閉鎖し電話にでない等、口座開設拒否、高齢者に対する不適正な勧誘、預け入れ株式の株数不一致)に関するもの

    • (13)金融商品取引業者によるリスク性商品等の販売時における顧客への説明態勢に関するもの

    • (14)いわゆる集団投資スキームを利用した法令違反のおそれのある行為に関するもの

    前期における情報の活用状況は、以下のとおりです。

    • 監督において行った208金融機関等に対するヒアリング等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。
    • 金融庁が着手した12金融機関の検査等に際して、相談室に寄せられた情報を参考としています。
  • 5.利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

    寄せられた相談等のうち利用者の皆様に注意喚起する必要がある事例等について、以下のとおり「利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」として公表していますので、ご参照ください。

    • (1)預金・融資等に関する相談事例及びアドバイス等

      「免許の確認、預金保険制度に関する相談等>
      「本人確認に関する相談等」>
      「盗難・偽造キャッシュカードに関する相談等」>
      「振り込め詐欺救済制度に関する相談等」>
      「特約付定期預金等に関する相談等」>
      「融資に関する相談等」

    • (2)保険商品等に関する相談事例及びアドバイス等

      「保険内容の顧客説明に関する相談等」
      「告知義務に関する相談等」
      「保険契約に関する相談等」
      「保険金の支払いに関する相談など」
      「少額短期保険業者に関する相談等」
      「保険契約者の保護に関する相談等」

    • (3)投資商品等に関する相談事例及びアドバイス等

      「金融商品の購入に関する相談等」
      「投資信託の購入に関する相談等」
      「外国為替証拠金取引に関する相談等」
      「未公開株式の取引に関する相談等」
      「自社発行未公開株に関する相談等」
      「ファンドに関する相談等」
      「金融商品取引業者(旧証券取引法上の証券会社)との取引に関する相談等」
      「金融商品取引業の登録に関する相談等」
      「株券の電子化に関する相談等」
      「投資者保護制度に関する相談等」
      「社債に関する相談等」

    • (4)貸金等に関する相談事例及びアドバイス等

      「違法な金融業者からの借入れに関する相談等」
      「強引な取立てに関する相談等」
      「取引履歴の開示に関する相談等」 「返済条件の変更に関する相談等」
      「金利引下げに関する相談等」
      「総量規制に関する相談等」
      「都道府県登録業者に関する相談等」
      「完済後の書面交付に関する相談等」

金融庁及び証券取引等監視委員会では、金融庁や証券取引等監視委員会又はこれらを連想させる組織を騙った業者等の情報収集をしています。もし、そのような業者から連絡等があった場合には、

  • 金融庁金融サービス利用者相談室
    0570−016811(ナビダイヤル)、IP 電話・PHSからは03−5251−6811
  • 証券取引等監視委員会の情報受付窓口
    03−3581−9909

に情報提供をお願いいたします。

その他、金融庁ウェブサイト(「一般のみなさんへ」)では、金融サービスを利用する皆様にご注意いただきたい情報を掲載しています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「広報報道」の中の「報道発表資料」から「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等(期間:平成25年10月1日〜同年12月31日)(平成26年1月31日)にアクセスして下さい。


(6)国際コンファレンス「金融システムの安定化、規制と金融包摂」について

金融庁金融研究センターでは、アジア、欧米、国際機関から研究者、当局者、実務家などを招き、望ましい金融規制・監督のあり方等について、国際コンファレンスを年度中に2回程度開催しています。

平成25年度の2回目は、「金融システムの安定化、規制と金融包摂」をテーマとして、アジア開発銀行と国際通貨基金との共催により、平成26年1月27日に開催いたしました。本コンファレンスでは、金融システムの安定だけではなく、金融業における競争の促進のための金融監督のあり方や、アジアにおける中小企業金融・金融包摂の課題について、金融監督機関および民間銀行の代表者、学者等を招聘し、報告とパネル・ディスカッション等を行いました。本コンファレンスには、国内外の研究者、政府関係者、金融機関、在京各国大使館関係者など、300名強の参加者を得ました。

冒頭の開会挨拶で、岡田広内閣府副大臣(金融担当)は、内外からの参加者を歓迎した上で、現在の日本にとって最大の課題はデフレから脱却し、経済を再生することであり、そのためには金融機能の強化を通じて経済活動を金融面から支えることが重要だと述べました。また、アジアの一員として、金融システムのインフラや金融行政の運営手法などに関する知見や情報の共有を通じてアジア各国との連携を強化し、共同でアジアの金融・資本市場を発展させて参りたいと述べました。

その後、4つのセッションに分かれて報告や議論が行われました。

セッション1:金融システムの安定化と金融産業の競争

セッション1(議長:オッドパー・ブレック国際通貨基金アジア太平洋地域事務所所長)では、金融システムの安定と金融業における競争の促進に焦点を当てて、議論を行いました。

世界金融危機後の金融規制改革において、これまで金融システムの安定に重点がおかれてきましたが、今後は金融の安定だけでなく、金融業における競争や金融へのアクセスを促すためにどのような規制が望ましいのかについて、まず、国際機関である国際通貨基金と学識者から報告がなされました。

その後、アジア地域の国際機関であるアジア開発銀行研究所、規制当局である金融庁と、民間の金融機関によって、それぞれの立場からこれからの規制のあり方について見解が示されました。報告では、これまで行われてきた金融規制改革の評価と課題が示され、技術革新や競争は金融アクセスや効率性を向上させるが、その利益を確実に得るためには潜在する新しいリスクに対応するために金融機関の規制および監督の強化の必要性が強調されました。特に、格付け機関やシャドーバンキング、監督体制などの点でさらなる取組みが必要であるとの指摘がなされました。また、国際金融の制約条件として挙げられる「不整合な三角形」(為替レートの安定・完全な資本移動・自律的な金融政策の3つの政策目標を全て達成することはできないとする経済理論)になぞらえて、金融の安定化・グローバリゼーション・効率性が同時に達成できないとする「新たな不整合な三角形」が示されました。これに対して、競争と金融の安定化の両立については、競争政策の水準よりも金融規制・監督が効率的に機能しているかどうかが重要であるとの意見が述べられました。

そのほか、新たな規制が金融機関のコストを増加させる点や、新興市場に対しても一律にグローバルな規制を適用することの中小企業への影響や、金融機関の環境を変えてしまう可能性も考慮しなければならないという指摘がありました。

基調講演:日本の地域金融の現状・課題とその方向性

金融行政の視点から日本における地域金融の現状、課題と今後の方向性について、小野尚金融庁監督局参事官が講演しました。

現状として、銀行・信用金庫・信用組合に共通して、貸出金が減少する一方で預金残高が増加した結果、預貸率が減少している点、貸出等の本来の業務による利益分が減少傾向にあることが指摘されました。その上で、少子高齢化や各県・各地域を超えた金融機関の活動、国境を越えた企業活動の拡大に対応するため、地域経済における金融機能の向上や、国民のニーズにあった金融サービスの提供が課題であると述べました。

今後については、企業を育てるという金融機関の本来の原点に立ち返り、成長産業への信用供与のみならず、これまで以上に経営改善や事業再生の支援に取り組んでいく重要性を論じました。また、そのために地域経済活性化支援機構等を活用した専門的な人材の育成等の必要性と、金融機関の先進的な取組みを集めた事例集の作成といった官の取組みを紹介しました。

セッション2:中小企業金融

セッション2(議長:スハエディ インドネシア銀行東インドネシア地区担当上級部長)では、アジア各国に共通した課題である中小企業金融をテーマとして取り上げました。

アジアにおいて中小企業は経済や雇用の面で重要な役割を担い、その活動にとって金融が欠かせない要素であることが説明された上で、日本を含むアジアにおける中小企業金融の現状と課題が報告されました。報告では、中小企業金融は未だ十分に活性化しておらず、そのためには信用情報を蓄積し活用することと、リスク性のある資金供給を促すことが課題として挙げられました。これに対して、学識者や日本とタイの金融当局から、情報と金融活動についての分析や各国の取組みが紹介されました。このなかで、銀行の規模に比べてその銀行の支店長の権限が大きいと、財務諸表では見えない、定量化できない情報(ソフトな情報)を融資判断に使う傾向にあるという実証分析が紹介されました。

また、日本における「中小企業信用リスク情報データベース」や、タイにおける担保法の立法や中小企業に関する信用情報センターの創設といった取組みが情報の非対称性を軽減し、スムーズな資金調達を促すことになるとの説明がありました。

セッション3:金融包摂と金融教育

セッション3(議長:タリサ・ワタケナート 元タイ中央銀行総裁)では、金融へのアクセスにおける重要な側面として、金融包摂と金融教育の2つをテーマとして取り上げ、学識者や当局者、国際機関から、日本を含むアジアにおける現状と取組みが報告されました。

報告では、金融教育によって金融や金融システムに関する理解を広めることで金融へのアクセスが増加し、金融能力が向上し、このことが金融仲介機能や金融の安定化につながり、経済発展に資すると述べられました。日本の取組みとして、「最低限身に付けるべき金融リテラシー(4分野・15項目)」を策定し、年齢に応じた段階的な金融教育が行われていることが紹介されました。また、金融の安定化と金融包摂の関係について、金融包摂は銀行の資産の多様化や預金基盤の安定性をもたらす一方で、銀行資産の質を低下させる可能性やマイクロ金融に特化した金融機関に新しいリスクが生じるという分析結果が示されました。

こうした議論に続き、スリランカにおける金融教育として貯金を薦めるプログラムが商業銀行によって行われている事例や、金融包摂のためには実際に金融サービスにアクセスできる環境が必要であることが説明されました。また、金融教育を効果的に進めるためには、関係機関による連携が欠かせないとの指摘がありました。

セッション4:パネル・ディスカッション:アジアの経済成長へ向けた金融システム

セッション4(議長:河合正弘 アジア開発銀行研究所所長兼CEO)では、セッション1〜3の議論を踏まえた上で、アジアの経済成長を支える金融システムを実現するためにどういった取組みや枠組みが重要なのか、パネル・ディスカッションにおいて包括的な議論が交わされました。

まず初めに、ムリヤマン・D・ハダド インドネシア金融庁理事長より、「中小企業の限りなき可能性」と題して、雇用や経済発展の主要な原動力となる中小企業と、その中小企業の役割を最大限に引き出す金融機能について、中央銀行から独立して間もないインドネシア金融庁の視点からの講演がありました。また、タイ、スリランカの当局者から、金融機能の安定化を図りながら経済発展を実現するには、資本市場を育成することにより投資や金融仲介を機能させることの必要性が述べられました。

この他、アジア通貨危機の経験がアジアの地域的な取組みを促し、それが地域の金融システムの安定に寄与している点や、日本がチェンマイ・イニシアティブを通じて二国間通貨スワップを拡充し、アジアの金融面のセーフティーネットに貢献している点の説明がありました。また、2008年からの金融危機以降、英米欧を中心に進められる国際的な金融規制改革に対して、危機の影響が限定的であったアジアの国々がどう対応するか、また、国内の金融規制とどうバランスをとっていくか点が課題であるという指摘もありました。

※ 詳しくは、金融研究センターウェブサイト新しいウィンドウで開きます上に近日掲載予定の発表資料及び「コンファレンス結果概要」等をご参照ください。


(7)平成25年金融商品取引法等の一部改正(1年以内施行)に伴う関係政令の整備に関する政令案に対するパブリックコメントの結果等について

金融庁では、平成25年金融商品取引法等の一部改正(1年以内施行)に伴う関係政令の整備等に関する政令案について、金融商品取引法施行令等改正案は平成25年10月28日から12月4日にかけて、銀行法施行令改正案は平成25年11月8日から12月9日にかけて広く意見の募集を行い、それらの結果等を平成26年1月24日に公表しました。

本件の政令は、平成26年1月21日に閣議決定され、平成26年1月24日に公布され、また、平成26年4月1日から施行されることとなっています。

本件の政令の主な改正内容は、以下のとおりです。

○金融商品取引法施行令の一部改正

  • 1.情報伝達・取引推奨行為を行った者に対する課徴金額の計算に必要な項目の規定

    金融商品取引法改正により、情報伝達・取引推奨行為を行った者を課徴金の対象とすることとしたことに伴い、仲介関連業務・募集業務以外に関して、情報伝達・取引推奨行為が行われた場合の課徴金額の計算において、「利得相当額」を算出するのに必要な、「特定有価証券等の売付け等」・「特定有価証券等の買付け等」等の内容を定めました。

  • 2.犯則調査の範囲拡大

    情報伝達・取引推奨規制違反等を犯則調査の対象とすることとしました。

  • 3.インサイダー取引規制の対象となる、投資法人の発行する投資証券の規定等

    金融商品取引法改正により投資法人である上場会社等の発行する投資証券等の取引をインサイダー取引規制の対象としたことに伴い、

    • 不動産投資法人が発行する投資証券等をインサイダー取引規制の対象とすることとしました。
    • (1)投資法人である上場会社等の業務等に関する重要事項で、金融商品取引法で定める事項に準ずる事項、(2)投資法人である上場会社等又はその資産運用会社による公表措置、(3)特定関係法人の範囲、(4)適用除外に関する所要の措置等について定めることとしました。

    また、公開買付者等関係者による投資証券等の取引をインサイダー取引規制の対象とするため、規制対象となる有価証券に投資証券等を追加するとともに、適用除外に関する所要の措置等について定めることとしました。

○銀行法施行令の一部改正

  • 1.銀行に対する資産の国内保有命令の対象となる資産の種類を追加

    銀行に対する資産の国内保有命令の対象となる資産に、日本銀行に対する預け金を追加することとしました。

  • 2.外国銀行支店の資産の国内保有義務の新設

    銀行法改正により、外国銀行支店に対して、資本金に対応する資産の国内保有を義務付けたことに伴い、国内に保有すべき資産の種類を定めるとともに、常時、国内において保有していなければならない資本金に対応する資産の額を、20億円と定めることとしました。

○保険業法施行令の一部改正

保険会社が運用実績連動型保険契約の保険契約者に対する運用報告書に記載すべき事項を「電磁的方法」により提供する場合に、当該事項の提供の相手方(保険契約者)の承諾を得る為の手続等を定めることとしました。


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