人材派遣会社「パソナ」にまた新たな“利権の構図”が生まれそうだ。きっかけは、防衛省が予備自衛官を雇用する企業の優遇制度の導入を決めたことだ。
予備自衛官とは、ふだんは別の仕事に就き、有事の際に後方任務を担当する自衛隊OBを指す。防衛省は、この予備自衛官を雇った企業が発注工事などの入札に参加した場合、他の業者よりも「評価点数」を加点し、落札しやすくするという。予備自衛官が定員の7割にも満たないための苦肉の増員策というが、合法的な“官製談合”みたいなものだ。
だが、この制度導入でオイシイ思いをするのは入札業者だけじゃない。自衛隊OBの再就職先を“斡旋”する人材派遣会社もウハウハなのだ。
「電気や機械などの設備業務、大型車両運転、航空機操縦……と、自衛隊員が取得できる技術は多様です。その上、入札優遇となれば、予備自衛官を雇う企業は増えるでしょう。LCC(格安航空会社)のパイロットに再就職する自衛隊OBは予備自衛官が義務付けられている、との話も聞きました。引く手あまたの自衛隊OBを専門に扱う人材派遣業者が出現する可能性は高いでしょう」(軍事ジャーナリストの神浦元彰氏)