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雑食クリエイターによるライフハックブログ。web・デザイン・海外・アウトドアなどを題材にした記事を書いていきます。

フリーランスのデザイナーが0から仕事をもらっていくための戦略をまとめてみる

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先日『1年でフリーのWebデザイナーになった僕が実行した8つのステップ』という記事を書いたところ、フリーランスデザイナー志望の方からクライアントからの仕事のもらい方や価格設定等についてご質問を頂いた。今回は、返答がてらフリーのデザイナーが仕事をもらっていくための戦略をまとめてみようと思う。

  • あくまでもここで書くのはぼくが実行したことと、実行すれば良かったのかもしれないという個人的なアイデアなのでご注意ください
  • また、ここではデザインスキル・プログラミングスキルがある程度あるものとして話を進めていきます

Webポートフォリオを作る

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ポートフォリオは知名度のないフリーランスが仕事をもらうための唯一の武器

個人で仕事を進めていくのであれば、ポートフォリオは必要不可欠だ。身元もよく分からないフリーランスの仕事の質を保証してくれるのはただ1つ「制作実績」だけだからだ。当たり前だがポートフォリオには自分が自信を持てる作品をなるべく多く載せることが重要になる。ある程度までポートフォリオが完成したら、仕事を請けつつ掲載作品数を増やしていけば良い。

 

ポートフォリオの作品を作る

ポートフォリオに載せる作品がなければ、まずは自分が作りたいものを作るべきだ。写真サイトでも良いし、Webメディアでも良い。グラフィックデザイナーなら名刺や企画書、フライヤー、DMなど。ぼくは趣味やお小遣い稼ぎのような形で作りたいものを作りまくっていたので、ポートフォリオに載せる作品を選ぶときには困らなかった。

はじめは友人、知人から格安(むしくは無料で)仕事をもらっても良いかもしれない。

 

技術があるならテンプレートを作ってみる

Webデザインスキルに自信があるのであれば、デザインテンプレートを作り、完成したものをポートフォリオに載せるという手もある。テンプレート制作はWebデザインの良い練習になるし、ポートフォリオ作品にもってこいだ。テンプレートのデモには自分の仕事の宣伝を載せても良い。また、HTMLでもWordPressでもTumblrでもクオリティの高いテンプレートを作れば『ThemeForest』や『TemplateSOLD』 などのサイトで販売できる。

 

クラウドワークスで仕事をもらう

今は便利なことにクラウドソーシングサービスで簡単にデザインの仕事が探せる。ぼくは「クラウドワークス」しか使ったことがないが思った以上に仕事が多く、スムーズに仕事が始められた。スキルがあまり無くても出来るような仕事もわりとあった印象がある。ただ、①Webサイトを作りたいクライアントが仲介会社に仕事をお願いし、②仲介会社がクラウドワークスのデザイナーに働かせるという構造になっていることもある(お金が仲介会社でガッポリとられてる)。

 

ポートフォリオサイト自体が何よりの作品

クライアントが一番わかりやすく実力を判断できるところなので、自分が作れる最高のwebサイトを作るべきだ(掲載する作品の質に自信があれば、シンプルにまとめるだけで構わないと思うが)。

イケてるポートフォリオは以下の記事によくまとまっていると思う。さらに見たければ「ポートフォリオ Webデザイン」や「cool web design」などでグーグル検索すれば多数ヒットする。

日本人クリエイターのハイセンスなポートフォリオサイト(主にフリーランス)まとめ - W3Q 

 

ポートフォリオ掲載の許可を事前に取る

注意したいのが、仕事を請ける際にきちんとWebポートフォリオへの「掲載許可」を取ること。大抵、初めは安い料金を要求されるので、交換条件として提示すると良い。ぼくは初めにこれをしていなくて後から苦労した。

 

Webポートフォリオをどうやって見てもらうか

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完成度の高いWebポートフォリオができたとしても、人に見てもらえなければ意味がない。数ページのWebポートフォリオを作っただけではSEOは弱いので、Googleからの検索流入は期待できない。ここではいくつかWebポートフォリオを見てもらうための方法を挙げてみる。

 

ブログ・Webメディアを運営する

オシャレなブログやWebマガジンを作り人を集めることができれば、プロフィールでポートフォリオサイトや仕事について触れたり、サイドバーにバナーを貼ったりするだけでも流入は見込める。WebポートフォリオのSEOを強化したいのであれば、Webポートフォリオと同じドメイン下でブログを運営すれば良い。有名な成功例を挙げるとWeb制作会社LIGのWebサイト。これはいわゆる企業のオウンドメディアだが、同じようなことは個人でもできるはず。更新内容はWebデザインの知識を一人だと更新が大変だが。更新内容は「Webデザインレシピ」のようなものもクライアントの信頼を得やすくて良いと思う。

※ちなみにこのブログはデザイン業務の宣伝のためには一切使っていない

 

やっぱりSNSは強い

もはや当然のことだが、ツイッターやfacebookはやっておいたほうが良い。ブログやWebメディアの読者を獲得するという意味もあるし、うまく使えば強力な武器になる。個人的にツイッターの使い方が本当にウマいなと思うのはWeb漫画家の「鴻池 剛 (@TsuyoshiWood)」さんのツイッターアカウント。なんともセンスのある数コママンガ画像を日々更新しており、フォロワー数は25万超え。ツイッターは良いコンテンツを見逃さない。自分の知識・技術を詰め込んだオリジナルコンテンツを1つの画像や文章にコンパクトにまとめられればそこから大量の流入が見込めるかもしれない。

 

個人経営の飲食店をターゲットに地道なアプローチ

個人経営の飲食店はインターネットやデザインで苦しんでることが多い。ぼくの知り合いのカフェオーナーは150万円もかけてWebサイト制作・更新の2年契約をしてしまった。そのサイトを見たがデザインはイマイチだったし、モバイル対応していない等ユーザービリティも悪かった。

個人営業の飲食店はデザインにこだわりたくてもお金がなくて諦めている場合も多い。もともとグラフィックデザインをやっていたぼくは、飲食店や美容室にWebサイトに加え「フライヤー」「メニュー」「ショップカード」などが全部セットの格安のパッケージを提案していた。飲食店へのアプローチは電話営業でも良いし、時代遅れのポスティングでも良いし、メールでもツイッターからでもブログのメッセージからでも良い。あと心は折れるが訪問営業もあり。「自分はデザインがやりたかったのに何してるんだ」と思ってしまうかもしれないが、はじめは辛抱するしかない。アプローチ方法は考えればどれだけでもある。

大切なのは数を打つこと。なんとかWebポートフォリオを訪問してもらうことが重要だ。ただあくまでもWebポートフォリオの質が高いことが前提。

 

営業先に困ったら

営業先に迷ったら他のフリーのWebデザイナーたちのポートフォリオを見てみよう。ポートフォリオを見てみれば、どの業界・どんな会社・どんなお店がクライアントになりやすいか判断できる。はじめは中小企業・ベンチャー企業・個人経営の店舗から仕事をもらいやすい。料金は安いが実績がないのであれば仕方がない。相手の目に留まりやすくするために、完結な売り文句を作ることも大事。

 

デザインコンテストに応募してみる

難易度は高いと思うが、練習を兼ねてコンテストに自分の作品を出してみるという手もある。一発当たれば経歴に書けるし、知名度も上がる。コンテストによってはWebポートフォリオのリンクを貼らせてもらえるかもしれない。ぼくは応募したことはないが…

クリエイターのためのコンテスト・コンペ情報 COMPEDIA 

 

価格について

制作会社などで働いた経験がなければはじめの制作料金はいくら提示すれば良いか迷う。高すぎてはせっかく頂けそうな仕事を逃してしまうし、安すぎては良いコマとしてなめられ手荒く扱われてしまう。ここでは料金の決め方と注意するポイントについて書いておく。

中小規模の制作会社の料金をベンチマークに

ぼくの場合は小さな制作会社約20社の料金の平均を取り、その30〜50%OFFの料金を提示していた。そもそもデザイン制作会社の料金は高すぎるから個人でやるなら50%でも十分。20社を選んだ基準は、公式ページのWORKS(制作実績)を見て「自分より低レベルもしくは同レベルのデザイン力であると想定できること」。何回か仕事をこなせば段々と料金の相場がわかってくる。

 

はじめに「その価格でどこまで制作するのか」を明確に決めておく

クライアントの言い分が制作過程でころころと変わっていくことはデザイナーなら誰しもが経験することだ。苦労して仕事を獲得した場合、少し気が引けるかもしれないが「どこまで制作して、どういうアウトプットを出したら仕事が完了するのか」や「ここまで以上には追加料金が必要」というようなことを明確に伝えておいたほうが良い(できればメールや紙面上など残る形で)。進めても進めても仕事が増えていくことのストレスは甚大だし、時間がかかれば次の仕事にも進めない。

 

その他

確定申告やクライアントからの料金の頂き方などについてはぼくはあまり詳しくないのでここでは省くことにする。そのあたりはググれば多数ヒットするかと思う。本でいうと「クリエイターのための独立ガイド」はフリーランス向けの書籍の中で、唯一読んでおいてよかった一冊だった(在庫がなく手に入りづらいようだが)。

  

フリーランスデザイナーは相当キツイ

Workspace
Workspace | Flickr

最後にフリーランスのデザイナーの仕事の辛さについて書いてみようと思う。

フリーランスは全ての責任を自分でとらなければならない。特に、どこまでも奥が深くて、どれだけ学んでも完璧にマスターすることができないプログラミングという領域ではなおさらだ。

行き詰まっても隣で相談に乗ってくれる人はいないし、納期に間に合うかというプレッシャーで心が休まらないし、ミスはないか、導入した後に正常に動いてくれるのかという不安が常に付きまとう。そして自分が徹夜して作り上げた自信満々の作品が、クライアントのよく分からない言い分で却下されたときの苦悩は半端ではない。

あまり経験もないのに「自由になりたいから」という軽い気持ちでフリーのWebデザイナーになることを考えている人は、その覚悟があるのか今一度考え直したほうが良いのかもしれない。自分流の自由なやり方が認められて、好きなように作れるようになるまでには相当な経験と実績が必要だ。

ちなみにぼく自身、個人請負のWebデザイン業を段々と減らしてきていて、近いうちにほぼ離脱しようと思っている。引き受けるとしても知人・友人の範囲に留めたい。どうやらぼくには、自分が作りたいと思うWebサービスやWebメディアを作りそれをマネタイズすることのほうが合っているようなので。