尼崎脱線:4階まで階段状に保存…現場整備、JR最終案
毎日新聞 2014年11月29日 15時01分(最終更新 11月29日 17時23分)
兵庫県尼崎市で2005年4月に発生したJR福知山線脱線事故で、電車が衝突したマンションについてJR西日本は29日、一部を保存する最終案を被害者側に示した。9階建て建物(高さ約27メートル)の1〜4階(同約13メートル)を階段状に残す。来年春までに整備計画を決め、15年度から3年程度の工期を見込んでいる。事故発生10年を控え、現場のあり方に道筋を付けた。
◇発生10年の来年度着工
同県伊丹市で開いた被害者説明会で示した。1階部分を全て残し、上階に行くに従って保存部分を小さくして階段状にする。建物をアーチ状の屋根で覆い、線路側には壁を設ける。電車の乗客からの視線を遮る一方、運転士の視界には入るようにして事故現場を意識させるためだ。屋根に自然光が入る窓を設けたり、壁の一部を透明ガラスにしたりして、開放的な空間になるよう努める。
線路の反対側の敷地には、祈りをモチーフとした薄いグレーの慰霊碑を設ける。さらに両脇には、事故の概要を説明する碑と、遺族が望む犠牲者の氏名を刻んだ碑も置く。概要を説明する碑には、「極めて重大な事故を起こしたことを心からおわびし、このような事故を二度と発生させず安全な鉄道を築いていくことを誓う」と記す。
JR西は事故後、マンションの建物や周辺の土地を取得し、現場のあり方について12年から被害者にアンケートを繰り返した。被害者らの意見に「全部保存」から「全部撤去」まで幅があり、昨年11月に1、2階を中心に一部保存する4案を提示、今年7月には1案に絞り込んだ。
遺族の意見を整理したところ、意見を寄せた90組のうち8割近くが大筋で賛同し、1割強も容認した。残りの1割強は「今回案と異なる意見」で、全部保存や全部撤去を望んでいた。最終案は、こうした遺族の意向を一部取り入れてまとめた。
負傷者と遺族を対象にした説明会は、30日も開催する。【木村健二、生野由佳、大森治幸】