電力会社への脅威
再生可能エネルギーのコストが低下するということは、電力供給会社にとっての潜在的な災難となる。これらの会社は、1日のうちで電力の需要が大きい、つまり電気料金が高い時間帯に多くの金を儲けている。太陽光発電は、たとえ少量であっても、それらピークの時間帯の卸売価格を下げるため、特に破壊的になりかねない。
太陽光発電は急速に伸びているが、現在のところアメリカの発電量は1パーセントにも満たないため、同国においては、そうした悪影響は大規模には見られない。しかし、異なる電力源の割合の変化に伴い、破綻を怖れる電力会社のなかには、ソーラーパネルを促進する諸規則を攻撃しはじめているところもある。一方、逆の路線をとり、自らソーラー市場に飛び込んでいる電力会社も見られる。
これら電力会社のすぐうしろからは、急成長中の新興企業が追い上げてくる。彼らはウォール街の銀行が調達する資金をバックに屋根に何万というパネルを設置し、頭金なしでそれを住宅所有者にリースしている。ホットな場所はカリフォルニア州で、2020年までに33パーセントの再生可能エネルギーを目指しており、目標達成の可能性は次第に高まっているようだ。
ソーラーパネルが電力の7パーセントを、風力タービンが約10パーセントを供給しているドイツでは、かつてもっとも収益性が高かった1日の時間帯における電力卸売価格が値崩れした。ドイツの大手電力会社であるRWEの最高経営責任者ピーター・テリウムは今春、年間38億ドルの損失を発表した際に、「当社は再生可能エネルギーの市場への参入が遅かった、というよりも、おそらく遅すぎたのかもしれない」と認めている。
ドイツの大手電力会社は、自分たちを差し置いてこの革命を進めることは許されるべきではないと警告、というよりはむしろ嘆願している。外部の専門家たちも、そうした主張には一理あるとしている。
再生可能エネルギーの弱点は、供給が断続的であるという点だ。そのためドイツの電力会社は、エネルギーを補完するために従来型の発電所を急いで稼働させたり止めたりしなければならなかった。こうした発電所の運営方法では必ずしも収益性を生まないので、電力会社は施設閉鎖の圧力をかけている。アナリストのなかには、これらの施設は国にとってバックアップとして必要だと指摘する者もいる。
この状況は、政府が向こう10年間のうちにドイツの原子力発電所を撤廃すると発表したことで、さらに複雑になっている。これは、2011年に日本のフクシマで起きた災害のあとにピークに達した長年の戦いの結果だ。この計画が進み低排出ガス電力源の閉鎖に伴って、ドイツの名だたる温暖化ガス削減推進の成功は失速の兆しを見せている。
実際、「エネルギーヴェンデ(energiewende=エネルギー大転換)」の問題が、ここ2年間であまりにも急速に増大してきたため、現在、ドイツ政府は移行のペースを減速しようとしている。副環境相のヨッヘン・フラスバルト長官は、「もう少し時間が必要だ」と述べている。
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