百田尚樹氏の『殉愛』(幻冬舎)をめぐる各種の騒動について、先日の記事で扱った。論点の一つとして話題になったのが、やしきたかじん氏のメモとして公開されたものだ。本当に本人が書いたのかという疑問が提起され、憶測が飛び交った。
ネット上では、各種の検証画像が出回った。当該のメモに記されている字は、妻・さくら氏の字に似ているのではないかと指摘する人々もいる。また、たかじん氏の弟子の打越元久氏は、たかじん氏の直筆の文章の画像を相次いでアップロード。これらを比較し、問題のメモの筆跡には疑問があると述べている。
たかじん氏の作詞を担当した及川眠子氏も、この件に言及。「たかじんってあんな字を書いたっけ?」と疑問を呈した。その他、自身は素人であると断った上で、出回っている各種の画像を細かく分析した人物もいる。一方、このような検証に対し、百田氏は「素人が筆跡鑑定で大騒ぎして、アホらしすぎて話にならない」と否定的な意見を表明した。
そこで、当サイトでは問題のメモを筆跡鑑定に出した。鑑定したのは、日本筆跡鑑定協会指定鑑定人である、藤田筆跡解析鑑定所の藤田晃一氏だ。たかじん氏の直筆なのか、本当はさくら氏が書いたものなのか、あるいはさらに別の人物が書いたものなのか。この三つの可能性について、鑑定を依頼した。
たかじん氏の直筆の文章を比較しても、字画形態が全く異なるかのように見えるものがある。これは、本人の精神状態などが影響しているのではないかと、藤田氏は考察。しかし、一見すると異なるかのようなそれらの字の間にも、共通点があることを指摘する。
そのことを確認した上で、さくら氏の直筆メモ、続いて疑惑のメモを検証。「あ」、「な」、「た」、「心」といった字に、たかじん氏の筆跡の特徴が大きく出ているという。これらを詳細に比較し、疑惑のメモはたかじん氏の直筆であるという結論に達した。
ただし、筆跡の問題は今回の騒動の一部である。名誉を傷つけられたとの理由で、たかじん氏の長女が、『殉愛』の出版差し止めと損害賠償を幻冬舎に求めている。
※本記事に掲載している内容は、藤田氏による筆跡異同診断書の一部を抜粋したもの。たかじん氏の直筆画像については、主に打越氏がアップロードした画像を使用した。
その他の証拠画像
高橋
全く納得いかない鑑定である