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■チキンビリヤニ@ドバイ

 中東の商都ドバイに赴任して半年あまり。様々な国籍、民族が同居する豊かな国際性に感心する一方、この土地のつかみどころのなさに苦労することがある。商店や役所でも、言葉を交わす相手の大半は欧州やアジアからの外国人労働者。「地元の顔」がなかなか見えないのだ。

 象徴的なのは料理だろう。欧米系のチェーン店やアジア料理の店は数あれど、地元料理はあまり見かけない。「中東料理」を掲げる店の多くは、レバノンやエジプトのメニューが中心だ。

 ただ、着実に「地元化」している料理ならある。国内の労働者人口で他を圧倒するインドとパキスタンの料理だ。ドバイに暮らす両国出身者は計約320万人。人口の約35%を占める。

 特に、同じイスラム教の国パキスタンからは、教義に則していることを意味する「ハラール」の食材が大量に輸入されている。タクシーに乗って「うまい店に連れて行って」と頼めば、行き先がパキスタン料理店になるのはごく自然なことである。

 パキスタン南部の大都市カラチ出身の家族が経営する「デスパルデス」はその代表例だ。ダウンタウンと呼ばれるドバイ中心部から車で10分ほど。ところどころ土漠が露出した開発途上のエリアにあって、店の前にはあるじ不在のタクシーが常時ずらりと並ぶ。