【連載】
北陸新幹線長野~金沢間開業にともない、石川県内の並行在来線を引き継ぐ会社は「IRいしかわ鉄道」だ。その名前の意味については、当連載第277回で紹介した通り。日本国内で会社名に英文字を表記する鉄道会社は珍しく、他にIGRいわて銀河鉄道があるくらい。いわば英文字入り鉄道会社名の"先輩"にあたる。
IGRいわて銀河鉄道は、旧東北本線の盛岡~目時(青森県との県境付近)間を運営する鉄道会社だ。この路線は2002年、東北新幹線が盛岡駅から八戸駅まで延伸したとき、JR東日本から経営分離された。目時駅から北側、青森県内を運行する路線は青い森鉄道に移管された。
IRいしかわ鉄道の「IR」は「Ishikawa Railway」の略だ。ならばIGRいわて銀河鉄道の「IGR」も「Iwate Ginga Railway」の略だろう……、と思ったら大間違い。「IGR」の「G」は、ローマ字の「Ginga」の略ではなく、英語で銀河を表す「Galaxy」の略である。ローマ字の頭文字を並べたわけではなかった。
もっとも、「IGR」をローマ字で表記するなら「Iwate Ginga Tetsudo」となり、略して「IGT」になってしまう。IGRは「Iwate Galaxy Railway」で納得である。
IGRいわて銀河鉄道は「英文字入り鉄道会社名の元祖」といえそうだが、そもそもなぜ、「IGR」という英文字を併記しているのだろうか? その理由はなんと、法人登記の都合だった。
鉄道趣味誌「鉄道ジャーナル」2002年10月号によると、当初は「いわて銀河鉄道」とする予定だった。しかし、盛岡市内に同じ名前の会社がすでに法人登記されていた。同じ名前は使えないから、会社名の先頭に略称の「IGR」を付けたという。ただし、正式社名は英文字ではなく、「アイジーアールいわて銀河鉄道」である。
ちなみに、法人登記ではなく商標で「いわて銀河鉄道」を検索すると、先に登記したはずの「いわて銀河鉄道」は見当たらず、「IGRいわて銀河鉄道」が2件の商標を登録していた。先に法人登記した「いわて銀河鉄道」の実態は不明となっている。
今回は「IGR」のほうに注目したけれど、「銀河鉄道」のほうはもちろん、岩手県出身の童話作家・宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』が由来となっている。余談だが、「銀河鉄道株式会社」は別にあり、東京都東村山市で路線バスや貸切バスを運行する会社だ。こちらも興味深いけれど、当連載は「鉄道トリビア」だから、名前だけの紹介にとどめておきたい。
※写真は本文とは関係ありません。
| 【連載】鉄道トリビア 第157回 『銀河鉄道の夜』に登場する列車は蒸気機関車の牽引ではない [2012/6/30] |
|
| 【連載】鉄道トリビア 第277回 「IRいしかわ鉄道」「あいの風とやま鉄道」社名に隠された意味 [2014/11/1] |
|
| 東北6県のJR線と10社の路線3日間乗り放題「東北ローカル線パス」今秋も発売 [2014/10/8] |
|
| JR東日本、八戸線用気動車18両を公募調達 - 国内外から企業の参加を求める [2014/11/28] |
| 【連載】鉄道トリビア 第281回 IGRいわて銀河鉄道の「G」は「Ginga」ではなく…… [08:00 11/29] |
| 小田急電鉄、無料無線LANサービス「odakyu Free Wi-Fi」12月から提供開始! [07:00 11/29] |
| JR尼崎駅の増設橋上駅舎が供用開始 - 駅ナカ店舗8店舗の商業ゾーンもOPEN! [06:30 11/29] |
| 茨城県ひたちなか市に、ファミマとTSUTAYAの複合店舗がオープン [21:49 11/28] |
| 東京都渋谷区で「清川あさみ個展」 - ファッションの本質を考える [21:32 11/28] |
特別企画
一覧人気記事
一覧イチオシ記事
新着記事
|
ALSOK、炎上や風評、情報の流出を監視する「ネット情報監視サービス」 [13:08 11/29] エンタープライズ |
|
置き食品サービス「オフィスおかん」、オイシックスのVegeelを提供開始 [13:06 11/29] エンタープライズ |
|
フォーカル、メタル素材でオシャレなiPhone/iPad対応充電スタンド発売 [12:33 11/29] 携帯 |
|
スペック、西陣織を使ってひとつずつ手作りされたiPadカバー発売 [12:32 11/29] 携帯 |
|
J1残留決めた甲府、元日本代表MF水野晃樹と井澤惇が契約満了 [12:15 11/29] ライフ |