生保:基礎利益、円安効果で8社増益 9月中間決算
毎日新聞 2014年11月28日 21時13分
生命保険主要13社の2014年9月中間決算が28日出そろった。市場金利の低下を受け、比較的利回りの良い貯蓄性商品の販売が好調だったことなどから、売上高に相当する保険料等収入は9社が前年同期より増加。本業のもうけを示す基礎利益は、円安の影響で外国債券の運用益を円換算した金額が膨らむなどして、8社が増益となった。
日銀の大規模な金融緩和の影響で低金利が続いているため、銀行預金より利回りの良い貯蓄性商品の人気が上昇。保険料を一括払いするタイプの死亡保険(一時払い終身保険)のほか、個人年金商品の契約増が保険料等収入を押し上げた。太陽生命保険、大同生命保険を傘下に持つT&Dホールディングスは前年同期比22.5%増と最も伸びた。
国内の低金利を受け、生保各社は集めた保険料の投資先を比較的高利回りの米国債など外国債券へシフトさせている。8社の基礎利益が増えたのは、上半期の対ドル円相場が前年同期より平均4円以上も円安となった結果、外債の運用益が膨んだ効果が大きい。
契約者に約束した利回りを運用実績が下回る「逆ざや」も、国内生保9社のうち住友、三井、朝日の3社で残っているものの、住友は15年3月期に「順ざや」への転換を見込んでいる。ただ、生保の投資先の中心は国債などの国内債券のため、低金利は経営の重荷になる。三井生命の吉村俊哉常務は28日の記者会見で「低金利が長く続くと、逆ざやの解消には相当程度の時間を要する」と述べた。【朝日弘行】