香港:道路占拠2カ月 デモ、色濃い手詰まり感
毎日新聞 2014年11月27日 21時59分(最終更新 11月27日 23時16分)
◇政府と対話拒否、参加者減少
【香港・隅俊之】香港の次期行政長官選挙制度に反対する民主派の道路占拠は、香港島中心部の金鐘(アドミラリティ)で最初に占拠が始まってから28日で2カ月が過ぎる。九竜半島の繁華街・旺角(モンコック)での強制排除が26日に完了したことでデモ隊の拠点は2カ所になった。香港政府が圧力を強める中、デモ隊は反発を強めるものの突破口はなく、手詰まり感が色濃くなっている。
「彼らは戦略がなかったんでしょ。道路に座り込んで文句を言うだけでは何も得られない」。強制排除で通行が再開された旺角の幹線道路「ネイザンロード」。出勤途中の会社員、袁凱迎さん(27)は冷たく切り捨てた。
旺角では26日夜、強制排除された学生らが「買い物に来た」などと叫びながら脇道に再び集結。27日朝にかけて数百人が警官隊と衝突し、幹線道路をふさぐ動きも起きた。朝までに21人が逮捕され、25、26両日の逮捕者も計159人に上った。
旺角に戻った学生の一人は「旺角の奪還を目指す」と話す。運動の中心である学生団体「学連」も、旺角の強硬派とは距離があったが、26日の強制排除で幹部が逮捕されるなど警察当局の強硬手段に反発。「政府が正義にもとる対応をとるなら、次の行動をとる」と警告した。
ただ、学生側に妙案があるわけではない。香港政府は中国側が決めた選挙制度の撤回を明確に拒否。学生側は「それでは話し合いはできない」として対話を打ち切ってしまった。香港テレビ記者は「実際には対話以外に方法はない。それを拒否して政府に圧力をかけるなら、再び何万人ものデモ隊を集めるしかない」と話す。
だが、現場には疲労感が漂う。政府庁舎が目の前にある金鐘は、かつては数千人が連日連夜、道路を占拠していた。だが、今は道路に無数のテントが敷き詰められているものの、泊まり込みで占拠を続ける人は数少ない。夜の集会も数十人しか集まらない時もある。もう一つの占拠エリアである繁華街・銅鑼湾(コーズウェイベイ)は27日午前、5人のデモ参加者しかいなかった。