農林水産省は28日、スーパーの店頭などで品切れが起きているバターの品薄感をなくすため、乳業メーカーの団体に増産を求める要請書を出した。バターはクリスマスケーキなどに必要で、年末に向けてさらに需要が高まる見通しのため、異例の対応に踏み切った。
農水省は今年、国内の生産量の約2割に相当する1万3000トンの業務用バターの緊急輸入を決めた。担当者は「来年3月までに必要なバターの量は確保できているはず」と説明する。
西川公也農相は28日の閣議後の記者会見で「メーカーは生クリームを作るのが一番収益性が高い。家庭用のバターに生産を振り向けていない」と述べ、対応を促した。昨年の猛暑や酪農家の離農でバターのもとになる生乳の生産量が減っていることもバターの品薄につながっている。
また農相は来年度のコメの生産量を抑えて米価を上げるために、生産調整(減反)に協力する農家に田んぼ10アール当たり5000円の補助金を配る考えを表明した。民主党政権は10アール当たり1万5000円を配っていたが、当時野党だった自民党は「ばらまきだ」と批判。今年から7500円に削り、浮いた財源を水田の整備費などに充てた。
政府・与党は2018年から減反をやめる方針を決めているが、ここにきての補助金の増額に「衆院選前に農政改革の揺り戻しが起きている」との指摘がでている。
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