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ホームコラム対艦ミサイルに関する読売の誤報
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対艦ミサイルに関する読売の誤報

JGSDF_Type88_SSM_20121014-01u
執筆者: 小川 和久 , 2014年11月28日
読売新聞2014年11月25日付朝刊3面

「これはちょっと違うだろう」と呟かざるをえない新聞記事が目に飛び込んできました。

11月25日付け読売新聞朝刊3面の「スキャナー」という特集記事ですが、見出しからして挑発的というか鬼の首でも取ったような印象です。

〈陸海空自 連携まだ途上 演習は試行錯誤/根深い対抗意識〉

小見出しにも、〈課題山積〉〈高い垣根〉とあります。

そして、前文は次のようになっています。

日本周辺の安全保障環境の悪化に対応するため、陸海空3自衛隊を一体的に運用する「統合機動防衛力」構想が示されてから、来月で1年となる。離島の防衛力向上に不可欠となる3自衛隊の連携強化だが、システムや装備、組織間の意識の隔たりなど、克服すべき課題は、なお山積する。(後略)

記事には「3自衛隊の連携強化が必要な分野」として、次の項目の表も掲載されています。

  • 海自艦や空自機による陸自部隊の輸送、
  • 武器や弾薬・食料の輸送、
  • 現場部隊間の通信機能、
  • 離島奪還作戦、
  • 無人偵察機などによる情報収集、
  • サイバー防衛

しかし、11月12、13の両日、大分県・日出生台演習場と熊本市の西部方面総監部で離島奪還を中心とする実動演習を陸上幕僚監部の防衛部長とともに視察してきた立場でいえば、記事の次の部分なども首をかしげざるをえないのです。

もっとも演習中、課題はそこかしこに現れた。例えば対艦ミサイル。接近する敵艦を攻撃する離島防衛の切り札だが、百数十キロの射程を持ちながら外洋の艦艇を攻撃できない。陸自が地上レーダーしか持っていないためで海自機が上空から確認した情報を自動共有するシステム構築は緒に就いたばかりだ(後略)

たしかに、「海自機が上空から確認した情報を自動共有するシステム構築は緒に就いたばかり」ではあります。

しかし、「百数十キロの射程を持ちながら外洋の艦艇を攻撃できない」という部分は完全な誤報です。自動化されていない場合でも、海自機、空自機の情報をもとに対艦ミサイルによる敵艦の攻撃は可能なのです。

例えば88式地対艦ミサイルの場合、まず捜索・標定レーダー装置JTPS-P15が海岸線に進出し、捜索・探知・識別した目標の位置情報と識別情報がレーダー中継装置を経由して指揮統制装置に送られます。指揮統制装置により中間誘導地点とそこに至る経路などを計算後、処理結果と発射指令は射撃管制装置を経由して発射機・ミサイル本体に送られます。

ミサイルは慣性航法装置(INS)によって中間誘導が行われ、目標をレーダーで探知できる距離になるとアクティブ・レーダー・ホーミングで終末誘導する仕組みです。これに必要とされる位置情報や識別情報は自動化されていなくても、海上自衛隊のP3C哨戒機が目標の大まかな緯度・経度や座標を連絡するだけで、発射できるのです。この機能は1988年の制式化以来、備わっているのです。新型の12式地対艦ミサイルでは、ここにGPS機能などが加わり、精度が高められています。

それとならんでひどいのは、「根深い対抗意識」という記述です。何十年も前の陸海空の縄張り争いに関するステレオタイプの記事を読まされているような後味の悪さです。

限られた防衛予算を奪い合うライバル関係にもあり、『最後に国土を守るのは我々』と陸自幹部が胸を張れば、海自や空自の幹部も『領空や領海で侵攻を食い止めれば、陸自は減らしていい』と言い放つような根深い対抗意識ものぞく(後略)

私の年代の海自や空自の上層部には、そんなことを言う将軍・提督がいなかったわけではありません。

私の知人の海将の場合、「陸自なんていらない」というので、「キミの護衛艦隊は陸自が基地周辺を守っていなければ、十人ほどの特殊部隊に攻撃されただけで行動不能になるじゃないか」と具体的に指摘したら、それだけで黙ってしまったほどですから、子供の喧嘩のような話です。読売の記事が、そんな程度の低い人々に取材した結果でなければよいと願うばかりです。

11月中旬の離島奪還演習と同時進行で行われた日米共同統合演習でも、共同基地警備訓練として陸上自衛隊は佐世保をはじめとする米軍基地と海自、空自基地の防衛を担っていました。陸自の演習にも、海自、空自の連絡幹部と空自のミサイル部隊が参加していまし>た。不慣れな部分こそあれ、連携はスムーズでした。

誤報を含む上記の読売新聞の記事は、よく解釈すれば「国民の危機感を煽ろうとして贔屓の引き倒し」になっていますし、悪くとれば「課題解決に怠慢だった結果、自衛隊のレベルは高くない」と非難しているのと同じです。

この記事は当然、防衛省内でもちょっとした話題になっていましたので、読売新聞がどのように訂正を出すのか、注目したいと思います。

* 編集注 この記事は、会員制メールマガジン『NEWSを疑え!』第351号(2014年11月27日号)より了承を得て一部転載しました。

(初稿:2014年11月28日 15:48)

タグ: 読売

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小川 和久

執筆者について
小川 和久

静岡県立大学特任教授、国際変動研究所理事長。

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