衆院選の報道について、自民党がテレビ局に、〈公平中立〉〈公正〉を求める…[続きを読む]
地球の温暖化をめぐる世界の取り組みが、真剣味を増している。ところが残念…
地球の温暖化をめぐる世界の取り組みが、真剣味を増している。ところが残念なことに、主要国の一つである日本が立ち遅れている。
国連気候変動枠組み条約の締約国会議(COP20)が12月1日からペルーで始まる。国際責務をどう果たすか、日本は目標を掲げる努力を急ぐべきだ。
日本はいまも原発事故を抱えている。そのため温暖化対策をめぐっても、発電に占める原発の比率が見通せない問題が論議のネックとされてきた。
だが、原発問題に結論が出なくとも目標を定める道はあるはずだ。再生可能エネルギーや省エネなど幅広い方策を重ねることで、温室効果ガスの削減幅を設けることはできる。
このまま日本が停滞を続ければ、世界の足を引っ張る存在ともなりかねない。政府は積極的に議論を進めるべきである。
気候変動に関する政府間パネルは今月、7年ぶりに公表した報告書で「温暖化は疑う余地がない」「人為起源のガスが原因だった可能性が極めて大きい」との科学的な確信を示した。
報告書は産業革命以後の温暖化を2度未満に抑える重要性を説く。それには2050年に世界の温室効果ガス排出量を2010年比でほぼ半減し、2100年までには自然吸収量と釣り合わせる必要があるという。
欧州を始め、多くの国が報告書を真剣に受け止めている。
2大排出国の米中の動きが象徴的だ。今月の首脳会談で、米国は二酸化炭素排出量を25年に05年比26~28%減らすと発表。中国も30年ごろに排出量を減少に転じることなどを表明した。
欧州連合(EU)はすでに30年に1990年比40%減、ロシアも同25~30%減を表明した。
それぞれ目標の妥当性や実現性に疑問も残るが、議論の土台を示した態度は評価できる。
ひるがえって世界5位の排出国である日本はどうか。20年以降の目標は来年3月が提出のめどなのに、まだ動きはない。
日本には省エネ先進国のイメージがあるが、今はGDP当たりのガス排出量で英独仏などと変わらない。もはや「優等生」でもない以上、欧米から大きく見劣りする目標は出せない。
日本の原発停止によって増えた二酸化炭素の排出量は、国内全体の約1割でしかない。残り約9割の排出対策を語れない理由にはならない。
例えば、温水供給や冷暖房などの熱関連では太陽熱や燃料電池に大きな可能性がある。輸送の効率化も有効だろう。議論すべきことは原発だけではない。
朝日新聞デジタルをフォローする
PR比べてお得!