政治資金報告 飲食や贈答品支出5億円超11月28日 18時41分
28日、総務省が公表した国会議員が関係する政治団体の去年の政治資金収支報告書についてNHKが調べたところ、飲食費や贈答品などへの支出は合わせておよそ5億4000万円に上ったことが分かりました。
中にはいわゆる高級クラブへの多額の支出などもあり、専門家は「一般の国民の感覚とずれた支出は慎むべきだ」と指摘しています。
NHKでは、総務省が公表した去年の政治資金収支報告書のうち、今月21日の解散時点の衆議院議員を含む388人の国会議員が関係する558の政治団体について政治資金の使いみちを調べました。▽このうちホテルやレストランでの飲食を伴う会合など飲食費の支出は、244団体で合わせて4億2000万円余りに上りました。中には銀座や赤坂、六本木の高級クラブを頻繁に利用したり、飲食費だけで年間1000万円以上を支出したりしている団体もありました。
▽また贈答品などへの支出は138団体で、合わせて7200万円余りに上り、デパートの商品のほか議員の地元の特産品や農産物などを購入していました。
▽さらに交際費や渉外費などの名目での花代や香典、祝い金の支出は、157団体で4000万円余りに上りました。
こうした飲食費や贈答品などの支出は、合わせておよそ5億4000万円に上り、政治活動費の8%になります。
政治資金について詳しい日本大学の岩井奉信教授は「永田町の古い慣習が、今なお残っていることをうかがわせる内容だ。政治に対する不信感を持たれないためにも一般の国民の感覚とずれた支出は慎むべきで、政界全体で使いみちの在り方についてガイドラインを作るなど対応を検討すべきだ」と指摘しています。
バレンタインのお返しも?
政治資金の支出の中には政治活動に必要なものなのかどうか線引きがあいまいなケースもみられます。今回、政治資金の使いみちを調べた国会議員が関係する558の政治団体のうち、4割以上の団体が、飲食を伴う会合など飲食費を支出していて、都心のホテルや高級レストランのほか銀座、六本木などの高級クラブも利用していました。赤坂のあるクラブでは、3つの政治団体が37回にわたって合わせて225万円を使っていました。ある政治団体の収支報告書には安全保障や医療などさまざまなテーマについて研修会を開いたと記されていますが、会場はすし屋やしゃぶしゃぶの店などでした。
また、一部の政治団体の収支報告書にはいわゆるキャバクラやカラオケ店、ダーツバーが支出先として記載されています。
中には女性のショーを売りにした店や水着の女性が接客する居酒屋で会合を開いたと記載している団体もありました。
これらの議員の事務所では「議員本人は行っていない」と話しています。
一方で、取材をした国会議員の中には「政治活動と言えるかあいまいな部分もあるので、飲食を伴う会合には政治資金を使わないようにしている」と話す人もいました。政治資金で購入した品物も多岐にわたります。
シイタケやサバ、長芋など議員の地元の特産品や農産物を買うケース。
高級な卵を販売している養鶏場への支出もありました。
チョコレートやお菓子を買っていた団体も複数ありました。
収支報告書の日付は、いずれも3月14日のホワイトデー。
バレンタインのお返しだったのでしょうか。
ほかにも政治資金から議員の出身大学のOB会や相撲部屋の後援会に支出をしたと記載している団体もありました。
政治資金規正法では国会議員が関係する政治団体は弁護士や税理士などの監査を受けることが義務づけられています。
しかし、政治活動の自由を確保するためとして使いみちについてはチェックする仕組みにはなっていません。
総務省の政治資金適正化委員会が作成した資料では、「監査は、政治資金の使途の妥当性を評価するものではありません」と記されています。
また、後援会の幹部や献金を行った支援者など関係者が監査を行っているケースもありました。
会計監査に詳しい青山学院大学大学院の八田進二教授は「監査人が政治団体の関係者だと監査の中立性や独立性がなくなり、監査人としては不適格だ。政治資金の監査制度は、おざなりなもので監査人が何となく収支報告書を見てみたというレベルであって一般の企業の監査とはかけ離れている」と話しています。