広がるマイナス金利、「びっくりする話ではない」と市場関係者
11月28日(ブルームバーグ):日本国債市場でマイナス金利での取引が2年物にまで広がっている。欧州市場の流れが波及した展開を、想定範囲内と市場関係者は受け止めている。
日本相互証券によると、新発2年物国債の346回債利回りはマイナス0.005%。19日のゼロ%の取引から約1週間で、ドイツやスイスなど欧州国債相場と同じマイナス圏に突入した。欧州中央銀行(ECB)は主要中銀で初となるマイナスの中銀預金金利を導入している。
SMBC日興証券の野地慎シニア金利ストラテジストは、ECBの量的緩和の思惑を背景に、短い年限の日本国債は海外勢の買いが大きくなっているとみる。「2年債利回りマイナスはびっくりする話ではない。海外勢は通貨スワップを使って安く資金を調達するため、結局、プラスの利回りで買っているイメージ」だと言う。
ドルと円の3カ月物変動金利(LIBOR)を交換するドル・円ベーシス・スワップ取引の2年物では現在、購入した日本国債からの受け取り利息を基に、3カ月物ドルLIBORに2桁台のベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を上乗せした運用収益を見込むことができる。
通常、購入価格が償還価格よりも高いか、購入時の利回りが表面利率よりも低いと、満期保有した場合に償還時に損失が発生するため、事前に償却する必要性が生じるなど、経理上の処理が煩雑になる。一方、海外投資家はベーシススワップの影響で円をマイナス金利で運用できるため一定の需要が見込まれている。岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは「マイナス金利で先行した欧州勢など海外から買い需要がある」と言う。
日本銀行が10月末の追加金融緩和で国債買い入れオペ増額を決定したことで、残存期間「1年超3年以下」の買い入れ額は月間で3兆3000億円程度となり、財務省による2年物国債の毎月の発行額2兆7000億円程度を上回っている。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊債券ストラテジストは、「そもそも2年国債がマイナスになったことは、短期国債のマイナス金利が続く中、ある意味自然なこと。場合によっては5年債もマイナスになる可能性はある」と指摘。 ただ、「一辺倒にマイナス金利が深まっていくというよりも、ゆっくりと進んでいくと考えられる」とみている。
財務省がこの日実施した表面利率0.1%の2年利付国債(347回債)の入札結果によると、最低落札価格は100円18銭と市場予想と一致。投資家需要の強弱を示す応札倍率は5.86倍と前回の4.80倍から上昇した。平均落札利回りは0.005%と前回に続いて過去最低を更新。最高落札利回りは0.009%と過去最低を記録した。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 崎浜秀磨 ksakihama@bloomberg.net
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更新日時: 2014/11/28 15:15 JST