(cache) 診察せず投薬、架空処方せんも 平取町国保病院:苫小牧民報社

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診察せず投薬、架空処方せんも 平取町国保病院

(2009年 12/9)

 平取町国保病院(谷信一院長)で、診察をしないで患者に投薬していたことが明らかになった。投与日数に制限のある薬を、患者の求めに応じて、未来の日付を記した処方せんを別に発行して投与。処方せんに記した架空の日に、診察も行ったように見せ掛ける会計操作も行っていた。健康保険法違反の可能性がある。谷院長は「違法と分かっていた」と事実関係を認めている。

 不適切な形で投与していた薬は、外来患者の1回の受診で最大30日分しか出せない睡眠薬など。平取町国保病院は、長期投与を患者が希望した場合、制限いっぱいの30日分の処方せんと、それを超える日数分の処方せんを別に作成し、一緒に渡していた。2枚目の未来の日付を医師らが記し、薬局が処方していた。

 薬剤投与は原則、患者の健康状態をチェックするため、同時に診察を伴わなければならない。このため、患者は、会計窓口で正規の薬剤料と診療料のほか、架空日付の処方せんの薬代と再診料も一緒に支払う形を取っていた。

 病院は、処方せんに記した当日に、患者が受診しないことを分かっていながら、前もって不適切な再診料を徴収していたことになる。

 架空日付の処方せんの薬代と再診料は、「預かり金」と称して金庫や封筒などに一時保管し、処方せんに記した日付に入金した形にして診療報酬を請求していた。この処方せんを、院内の職員は隠語で「未来処方せん」と呼んでいた。

 病院は、未来処方せんの作成を、投与された薬が無くなっても、すぐに来院できない患者の求めに応じて行っていた、と説明している。「月に数人程度はそうした取り扱いをしていた」とも。

 谷院長によると、少なくても5年前から続けていた。「遠方の患者を送迎するバスの運行上、薬が切れてもすぐに来院できないケースなどの際、未来処方せんを出していた」と話し、医師らや薬局、医事の各部門がかかわっていた。院長はさらに、「違法と分かっていたが、慣習的に続けてしまった。患者の求めを断れなかった」とし、「患者のためという考えだったが、違法行為が内部で問題になり、今年夏でやめた」とも話している。

 平取町が運営主体の同病院は内科、外科の診療科目を持ち、ベッド数は71床。

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