阿部峻介
2014年11月29日01時14分
大阪府警の警察官から暴行を受けて重傷を負ったとして、かつて路上生活をしていた男性(57)が府警を所管する大阪府に260万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が28日、大阪地裁であった。古谷(ふるや)恭一郎裁判長は「違法な暴行だった」と指摘。男性を現行犯逮捕したとする手続き書には虚偽の内容が含まれ、訴訟でうそを言ったとも認定し、大阪府に136万円を支払うよう命じた。
判決によると、男性は2010年11月16日夜、空のアルミ缶を詰め込んだ袋を自転車の荷台に載せ、大阪府高槻市内を走行。バイクに乗った高槻署の男性巡査部長と男性巡査から止まるように声をかけられたが、走り続けた。その後、巡査部長らのバイクから幅寄せされ、バランスを崩して転倒。抗議をするために近づいた男性は巡査部長から道路上に投げ飛ばされるなどし、肋骨(ろっこつ)やひざの骨が折れる重傷を負った。
巡査部長らは「公務執行妨害の現行犯として逮捕するためだった」と主張したが、判決は「男性がとった行動は公務執行妨害にあたるものではなかった」と指摘。男性の負傷状況を鑑定した専門家の意見などを踏まえ、「投げ飛ばすなどした行為は男性の自由を制限し、けがをさせる違法な暴行だった」と判断した。
判決は、現行犯逮捕の直後に作られなければならない手続き書にも言及。当初「平成22年12月11日」と書かれていた逮捕日が「11月16日」に訂正されており、逮捕直後に作られたものではないことがうかがわれると指摘した。また、巡査部長は警察署から病院に行った男性に同行していなかったのに、手続き書には「病院で別の警察官に引き渡した」と記していたとし、内容は虚偽と認定した。
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朝日新聞社会部
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