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トヨタ、円安でも輸出減 アベノミクス誤算

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 二年前の安倍政権の発足以降、トヨタ自動車の自動車輸出台数が減っている。二〇一四年一〜十月は前年同期と比べて7・2%減となり、一四年の通年(一〜十二月)で前年実績の約百九十万台を下回る公算が大きい。一三年の輸出台数も前年比2・4%減だった。安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、円安誘導によって輸出を増やして景気を底上げする経済の好循環を目指したが、製造業がいったん生産を海外に移すと国内に戻すのは難しく、円安は期待通りの成果を挙げていない。

 トヨタは国内生産三百万台死守を掲げるが、需要のある国や地域で造る戦略を同時に進めている。まとまった台数で販売できる小型車などが現地生産に適し、今年三月までに輸出向けカローラを海外生産に切り替えている。

 トヨタが二十七日に発表した十月の生産販売実績でも、輸出が前年同月比3・8%減の十五万七千台と落ち込んだ一方で、海外生産は3・3%増の約五十三万台と単月としての過去最高を更新した。

 円安に進むと、輸出企業は海外での販売価格を引き下げて価格面で優位に立つことができ、輸出数量の増加につながると期待されてきた。しかし、リーマン・ショック後の円高を機に海外生産の比率が高まり、現在の円安でも輸出は増えていない。

 国内生産に占める輸出割合はトヨタが五割を超すのに対し、海外生産を進めるホンダは3%台と極端に低い。三井物産戦略研究所の西野浩介氏は「生産の現地化の流れは今後も続き、円安下で輸出が増えるとは考えにくい」と話している。

 

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