東京都の舛添要一知事が代表を務める2つの政治団体が平成25年、舛添氏のファミリー企業「舛添政治経済研究所」に対し、事務所賃借料や家賃として計531万円を支出していたことが28日、総務省が公開した政治資金収支報告書で分かった。

 2団体の事務所やファミリー企業はいずれも舛添氏の自宅内にあり、政党交付金を含む政治資金が結果的に舛添氏個人に還流していた格好だ。

 家賃支出は少なくとも舛添氏が新党改革の代表に就任した22年から続き、すでに解散した団体も含め4年間で2千万円以上の家賃が支払われている。舛添氏は取材に「公認会計士を入れて、きちんと税務処理をしており、何の問題もない」と述べた。

 2団体は、舛添氏が代表の政党支部「新党改革比例区第四支部」と資金管理団体「グローバルネットワーク研究会」。収支報告書によると、25年は2団体あわせて531万円(月44万2500円)を家賃としてファミリー企業に支出。また、23年6月までは「舛添要一後援会」(解散)も月13万1千円を家賃負担しており、22年1月からの4年間に支払われた家賃総額は3団体で2047万7千円に及ぶ。

 登記簿や舛添氏の説明によると、舛添氏の自宅は東京都世田谷区代田にあり地上3階地下1階。このうち1階と地下の計約110平方メートルを政治団体とファミリー企業が事務所に使っている。ファミリー企業の代表は舛添氏の妻で、舛添氏と家族が全株を保有。自宅の土地・建物は25年2月以降、舛添氏の所有となっており、ファミリー企業を通じて舛添氏が家賃収入を受け取っているという。

 政治資金に詳しい神戸学院大法科大学院の上脇博之教授(憲法学)は「政治資金の原資の大半が税金である以上、使い道には慎重であるべきで、自らの懐に入る仕組みは道義的に問題がある。自宅の一部を事務所として無償提供する議員もおり、そちらのほうが良識的だ」と指摘している。