アクセス先はネットで公開されており、いくつも巡ってみると、作り込まれた世界の美しさに息をのむことも少なくない。それらにはMOD環境が組み入れられているので、チームに分かれて対戦したり、大規模なオンラインRPG(ロールプレイング・ゲーム)を楽しんだりすることができる環境を実現しているものもある。この環境があれば大抵のゲームを作ってしまえるのではないだろうかという期待さえ抱かせる。
■「セカンドライフ」と差異、ゲーム性を深く追求
ユーザーが仮想世界を簡単に構築できるという意味では、2005年頃にブームになった「セカンドライフ」と似ている面がある。ただセカンドライフでは、ユーザーが自由に作れるアイテムに自由度を持たせたために、データサイズが大きくなってしまった。そのため、ある世界にアクセスしても表示されるまでに何分も待たされることが頻繁に起きてしまい不便に感じられた。
Minecraftは、まるでファミコンのような簡素な画像にすることで、データ量を極限まで小さくしている。サーバーのマップで何キロにもなるような広い空間でも、そのマップが表示される時間は10秒程度で済む。画像の表現を制約する半面、ゲーム性などを深く追求することができ、広い空間も扱える利点を生み出している。
このゲームはまだベータ版で頻繁にアップデートが繰り返されており、どんどんゲームの中身が追加されている。開発者のマーカス・ペルソン氏は公式サイトで「2、3のアイデアを保ち続け、長い時間をかけて作るような新しいゲームの開発方法を探ってきた。そして、Minecraftにたどり着いた」と書いている。ゲームはもっと複雑なものにする開発計画もあるとしており、「マッピングとMODをできる限りサポートすることが鍵」という。最終的には、ソースコードをパブリックドメインとして公開することも約束している。
こうしたオープンな姿勢が人気を集めていることは間違いない。新しいユーザー参加型モデルのゲームとして、最終的な姿がどうなるのか注目したい。
新清士(しん・きよし)
1970年生まれ。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲーム会社で営業、企画職を経験後、ゲーム産業を中心としたジャーナリストに。国際ゲーム開発者協会日本(igda日本)代表、立命館大学映像学部非常勤講師、日本デジタルゲーム学会(digrajapan)理事なども務める。
ゲーム、ファミコン、Minecraft、任天堂、ユーチューブ
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