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 自民党が在京のテレビキー局各社に対し、衆院選の報道にあたって、「公平中立、公正の確保」を求める文書を送っていたことがわかった。街頭インタビューなどでも一方的な意見に偏ることのないよう求めるなど、4項目の具体例を挙げている。識者からは報道の萎縮を懸念する声も上がっている。

 文書は萩生田光一・筆頭副幹事長と、福井照・報道局長の連名で20日付。過去の例として、「あるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、それを事実として認めて誇り、大きな社会問題となった事例も現実にあった」と指摘。そのうえで、出演者の発言回数や時間などは公平を期す▽ゲスト出演者などの選定についても公平中立、公正を期す▽テーマについて特定政党出演者への意見の集中などがないようにする▽街頭インタビュー、資料映像などでも一方的な意見に偏らない――などを「お願い」する内容だ。

 在京民放5局は27日、朝日新聞の取材に対し、自民党からこの文書を受け取ったことを明らかにした。そのうえで、これまでも選挙の際には自民党だけでなく複数の党から公正中立を求める文書が来たこともあるなどとして、「これまで同様、公正中立な報道に努める」(TBS)などとコメントした。NHKは「文書が来ているかどうかを含めてお答えしない」とした。

 テレビ東京の高橋雄一社長は27日の定例会見で、「こうした要請はこれまでの選挙でもいろんな党から来ている」と話し、「構えたり、萎縮したりすることはないか」との問いに、「全然ないですよ」と答えた。一方でキー局の報道幹部は「これまでとの比較は難しいが、過去の『偏向報道』を持ち出すなど圧力も感じる」と話した。