坂井浩和、佐藤実千秋
2014年11月28日09時45分
■お金のもめごと:2
姉と妹が裁判で争う。原因は認知症だった父の遺言だ。
首都圏に住む60代女性の父は、2010年に病気で亡くなった。約4千万円の遺産を受け取る相続人は、女性と姉の2人。法に従えば半分ずつ分けることになる。だが、すんなりとはいかなかった。
前年の09年、父は妻を亡くしてひとり暮らしに。要介護2で認知症の症状もあった。姉妹の仲は悪くなく、ともに親と別居だったが、家族の交流はあった。女性は介護の資格を持っており、父の介護生活も支えようと考えていた。
しかしある日、姉妹の確執を決定づける出来事が起こった。「姉が突然、父親を囲い込んだのです」
女性の説明をもとに経緯をたどってみる。09年夏、父がショートステイ先の病院から突然姿を消した。姉とは連絡がつかなかった。女性は病院にカルテ開示を請求、父が別の老人ホームに移ったことを知った。訪問すると、職員から「お姉さんからあなたと会わせないで、と言われている」と告げられた。
そして翌10年5月、再びホームを訪れた女性に職員が言った。「お父様は亡くなりました」。父は4月に亡くなっていた。それすら姉から伝えられなかった。
その後、女性は家庭裁判所から呼び出しを受けた。父の遺言書を相続人が確認するためという。父が遺言書を残していたことも知らなかったが、内容を見て言葉を失った。「すべての財産を長女に相続させる」
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朝日新聞社会部
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