秘密保護法:「福島再び」広がる懸念 来月10日施行
毎日新聞 2014年11月28日 10時51分(最終更新 11月28日 10時58分)
政府の原発事故への後手の対応もあり、福島の自治体首長や住民の多くは秘密保護法に不信感を抱く。県議会は昨年10月、法案に慎重な対応を求める政府への意見書を全会一致で採択。衆院が同11月に福島市で開いた法案を巡る公聴会でも、意見を述べた5人全員が懸念を表明した。
その一人、浪江町の馬場有(たもつ)町長は「秘密保護ではなく情報公開が原則だ」と訴えた。少し前の講演でも「(SPEEDIなどの情報を)隠しに隠された。正確な値が分からず、パニックになるから公表しなかった、と言われたが、それより人命が大事。(秘密保護法の)対象になる、ならない以前の問題だ」と疑問を表明していた。
だが、法案は公聴会の翌日、衆院特別委で強行採決され、参院では1週間のスピード審議で成立した。
◇
一方、国の情報開示を定める情報公開法は01年に施行されたが、不備が指摘されている。民主党政権は11年に改正法案を提出。行政の裁量で非開示にできる範囲の縮小▽開示手数料の原則無料化▽請求から開示までの期間を、実質3週間に短縮−−などを盛り込んだが、廃案となった。
原発事故や「原発有事」で、秘密保護法により安全にかかわる情報が隠される可能性について、南相馬市の桜井市長は「懸念はある。そういうことがあっては困る」と警戒感をあらわにしている。【高橋隆輔、青島顕】