文楽振興策:大阪市と協会 補助金分超えるイベント開催へ

毎日新聞 2014年11月28日 05時30分

 大阪市が文楽協会に対する新たな振興策として、来年度から、同協会と市を中心に実行委員会を作り、ミニ公演などのイベント開催を検討していることが分かった。市は来年度から、協会への現行の補助金を全廃するが、その代替策として、イベントを通して文楽への関心を高め、協会の収入増につなげたい考え。協会側も受け入れる方針で、担当部局は2013年度の補助金約2700万円を上回る3000万円程度の予算化を目指す。

 関係者によると、市が実行委に対し、分担金として3000万円程度を負担する案が検討されている。イベントは、本来の公演より時間を短くして解説もつけたミニ公演のほか、技芸員による座談会などを予定。年4回、国立文楽劇場(大阪市)である各本公演の前に、大阪市中央公会堂(北区)などでの開催を想定している。補助金ではなく、イベントを通じて文楽の振興に協力する案という。

 イベントが3000万円で開かれた場合、文楽協会に入るのは、技芸員への報酬とマネジメント手数料計数百万円程度になる見通し。文楽協会の三田進一事務局長は「補助金廃止に対する市としての実質的な代替策だと考えている。ただ、イベントを開いても、協会の収入になるのはわずかで、金銭的には全く穴埋めにはならず、経済的に厳しい状況は変わらない」と話す。

 文楽協会への補助金を巡っては、長年約5200万円だったが、橋下徹市長の方針で見直され、13年度から入場者数の実績に応じて変動する仕組みに変わった。13年度は約2700万円、今年度は約2900万円が見込まれている。市は来年度から、別の文化団体と同じように、事業ごとの申請による最高400万円の補助金の支給に切り替える方針。協会は「芸の継承が大切な伝統芸能のため、事業ごとの申請は難しい」との意向を示している。【松井聡】

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