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himaginaryの日記

2014-11-27

年度と暦年の違い

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一昨日、本石町日記さんが以下の日経ったーさんのツイートリツイートされた後、

以下のツイートをされた。


日銀見通しは15年度、OECD見通しは15年暦年の予測値なので、もちろんこの単純比較には問題がある。例えば、年度と暦年の見通しを共に出している日経センターの予測値は、以下のようになっている(消費税率を17年4月に10%に引き上げる場合)。

2015暦年0.8%
2015年度1.3%

2015暦年はOECDと同じで、2015年度は日銀より0.2%ポイント低いに過ぎない。同一予測機関の予測の数字でも、暦年と年度では成長率にこれだけ差が出るわけだ。


この差がどのように生じているかを見てみよう。日経センターは四半期ごとの伸び率の予測値も出しているので、それで14年10-12月期以降の実質GDPを伸ばすと以下のようになる*1

実質GDP前期比
14/1-3535034.41.6
4-6525001.9-1.9
7-9522830.1-0.4
10-12526751.30.75
15/1-3529911.80.6
4-6530971.70.2
7-9532564.60.3
10-12533629.70.2
16/1-3534697.00.2

この時、14年のGDPは527404.4、14年度のGDPは526123.8で、14年度のGDPの方が14年より0.24%低い。

一方、15年のGDPは531769.4、15年度のGDPは532965.7で、15年度のGDPの方が15年より0.22%高い。

つまり、15年度成長率と15年成長率を比較した場合、前者の方がそれぞれ0.2%強だけ分母が低く分子が高いため、成長率に0.5%ポイントの差が生じたわけだ。


序でにもう一社ニッセイ基礎研究所の予測値についても同様の表を作ってみよう。

実質GDP前期比
14/1-3535034.41.6
4-6525001.9-1.9
7-9522830.1-0.4
10-12527535.60.9
15/1-3530700.80.6
4-6531762.20.2
7-9533889.20.4
10-12535490.90.3
16/1-3537097.40.3

上表から、日経センターについて行ったのと同様に、ニッセイ基礎研の15年と15年度の成長率の分子分母を比較すると次のようになる。

分母:14年のGDPは527600.5、14年度のGDPは526517.1で、14年度のGDPの方が14年より0.21%低い。

分子:15年のGDPは532960.8、15年度のGDPは534559.9で、15年度のGDPの方が15年より0.30%高い。


ニッセイ基礎研の15年度の成長率予測は1.5%で、日銀と同じである。暦年の予測値は発表していないが、上表から計算すると、15年は1.0%成長となり、OECDより0.2%ポイント高い。つまり、15年/年度の成長率予測については、日経センターがOECD、ニッセイ基礎研が日銀に近いと考えて良さそうだ。そうすると、日銀OECDの成長率予測の差は概ね0.2%ポイントと考えられ、「15年度、日銀1.5%。OECD、その半分程度。」という表現はかなりミスリーディングであることが分かる。

*1:14年7-9月期以前は実質GDP、前期比ともに実績値。日経センターが公表している伸び率は小数点以下1桁で、14年10-12月期の前期比の予測値は0.8%だが、ここでは15年度=0.8%、15年=1.3%の成長率を再現するため、0.75%と置いた(単純に14年10-12月期を0.8%と置くと15年度=0.9%になってしまう)。

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