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【社会】

衆院選 原発問えないの? 茨城5区に編入の東海村

2014年11月28日 07時01分

東海第二原発(手前)と日立製作所(上方の細長い建物)。原発は争点になるのか=27日、茨城県東海村で本社ヘリ「まなづる」から

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 首都圏で唯一、原発がある茨城県東海村。「一票の不平等」是正のための区割り変更で、来月十四日投開票の衆院選から、茨城5区に変わる。同じ選挙区内には原発メーカーでもある日立製作所のお膝元、日立市があり、原発関連の工場も多い。そんな環境で出馬を予定する前職二人は、原発の将来を積極的に語ろうとしない。原発の今後を懸念する東海村民は、身近で重要な問題が選挙戦の争点から漏れてしまわないか、懸念している。 (林容史)

 「黙っていれば、知らないうちに再稼働されてしまう。でも、誰に投票すればいいのか…」

 日本原子力発電(原電)東海第二原発から二キロ足らずの東海村内に住む主婦(43)は迷っている。以前は原発が危ないとは一度も思わなかったが、東京電力福島第一原発事故後、もし東海第二で事故が起これば、自分も家族も生きていられるか分からないと考え、再稼働に反対している。

 原発事故翌年の二〇一二年衆院選で、東海村は茨城4区だった。当時の民主候補は積極的に脱原発を訴え、出陣式では、脱原発をめざす首長会議世話人の村上達也前東海村長が演説して支持を表明した。

 今回、東海村が編入された茨城5区で民主が公認する前職の大畠章宏さん(67)は、日立製作所出身。東海第二原発の建設に技術者として携わった。同社労組の全面支援を受け九期目を目指す。

 東海第二原発は今月、運転開始から三十六年がたつが、四十年の「寿命」は厳格に守ると明言する。原子力規制委員会が安全性を確認した原発の再稼働は認める考えだ。東海第二原発の今後を争点にすべきかは「感情的なものでいえば(争点に)なるのかもしれない」と語る一方、「原発のあり方は、原子力規制委が検討して方向性を出すことが正解だと思う」と、歯切れが悪い。

 前回、比例で復活した自民前職の石川昭政さん(42)は、原子力規制委の審査を通った原発は再稼働するという、国の基本政策に沿って判断すべきだとの立場。「消費税増税先送りを決断した安倍首相の信を問う選挙」と、原発は争点にはしない考えだ。

 原発ゼロを訴える共産新人の福田明さん(58)は、「原発政策は県民にとって非常に大きな争点。そこを避けて通るのはフェアではない」と批判を強める。

 投票先に迷う前出の主婦は「政治家を選ぶ一人一人に責任がある」と考え、公開討論会の議論などに耳を傾けて判断するつもりだ。

 二十代から反原発の集会などに参加してきたという村内の主婦(73)も、「候補者が、脱原発の立場をはっきりさせてくれれば投票しやすい。少しでも思いが実現しそうな候補者に投票する」と割り切る。

 また今回の衆院選は、任期満了に伴う茨城県議選とのダブル選となる。

 県議選に向けて、東海第二原発の再稼働中止を掲げる政治団体が設立された。東海村の選挙区にも県議候補を擁立している。団体幹部は「経済対策中心の国政選挙の争点と一緒にされて、原発問題が埋もれてしまう」と危機感を募らせている。

(東京新聞)

 

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