OPEC生産枠維持決定、サウジアラビア押し切り
[ウィーン 27日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)は27日にウィーンで開いた総会で、日量3000万バレルとする現行の生産枠を維持することで合意し、原油価格下落に歯止めをかけるための減産は見送った。
生産枠はOPECの来年の需要予想を少なくとも100万バレル上回る水準。総会後に発表した声明には、加盟国は過剰な生産を控える必要があるとの記述はなく、来年6月の次回総会前に生産枠を再検討するための臨時会議に関する記述もなかった。
原油は世界的に供給過多となっているにもかかわらず、OPECがこれまでのように原油価格の保全に動かなかったことで、北海ブレント原油先物LCOc1は4年ぶり安値となる1バレル=71.25ドルまで下落。米原油先物CLc1は1バレル=67.75ドルと2010年5月以来の安値を更新した。
5時間に及んだ今回の会議では、ベネズエラやイランなどの財政力が弱いOPEC加盟国が求めていた減産をサウジアラビアを初めとする財政力のある湾岸諸国が押し切る形で生産枠据え置きが決定された。
ベネズエラとアルジェリアは最大で日量200万バレルの減産を決定するよう訴えていたが、湾岸諸国はこれまでも原油価格の下落を乗り切れる用意があることを明白に表明。会議後、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は「重要な決定だった」と満足げに述べた。
PIRAエネルギー・グループの最高経営責任者(CEO)、ギャリー・ロス氏は、サウジアラビアがイランやロシアのほか、米国のシェールガス生産者を支援することになる減産を望む理由はないと指摘。「市場に原油価格を決定させ、市場で新たな均衡点が見出されれば、価格は上昇に向かうとサウジアラビアは考えたと思われる」と述べた。
ただ同氏は、「OPECはもはや市場を操ることはできなくなったため、新たな局面に入った」と指摘。「今後は原油価格は市場で決定され、価格は明らかに下落する」と述べた。
OPECは現在、世界の原油の約3分の1を供給している。
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