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【政権の是非を問う】
=普天間移設= 安倍首相に打つ手はあるのか? 奇妙な保革共闘が政権揺るがす地雷に… 「沖縄の民意」盾に埋め立て承認撤回も
唐突な方針転換だった。
「明日になれば分かる」
政府高官は21日夕、こうつぶやいた。この朝、首相官邸での閣議後、安倍晋三首相と江渡聡徳防衛相は2人きりで会った。おそらくこの高官は会談の中身を伝え聞いたのだろう。
翌22日朝、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先となる名護市辺野古で異変が起きた。
移設に向けた海上調査への妨害を排除するための海上保安庁のゴムボートを係留する浮桟橋は撤去され、ボートも陸揚げされた。
8月に始まった海上調査は台風などの影響で9月に中断したが、11月19日に浮桟橋を再設置し、近く調査再開の予定だった。それが、わずか3日で再び中断に追い込まれた。
普天間飛行場の県外移設を掲げて政権交代した民主党は迷走したあげく野党に陥落。平成24年12月にその後を受け継いだ首相は、沖縄県の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事の信頼を得て、昨年12月に辺野古の埋め立て承認を取りつけた。これで移設計画は最大の難関を越え、来秋の埋め立て着工も見えてきた。
にもかかわらず、首相が海上調査を再中断したのは、沖縄で吹き荒れる逆風の強さを知ったからだ。調査を再開すれば県民の反発を招き、衆院選に悪影響を及ぼしかねない。この2年間、辺野古移設に向け、着々とコマを進めてきた首相にとって、これが初めての譲歩となった。
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20日、那覇市にある自民党前衆院議員の国場幸之助(こくば・こうのすけ)氏の事務所で選対・後援会幹部約20人は一様に険しい表情で弁当をつついた。ある幹部はこう漏らした。