原発再稼働差し止め:3年超える仮処分審理に「遅すぎる」
毎日新聞 2014年11月27日 21時23分
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)と高浜原発3、4号機(同県高浜町)=いずれも停止中=を巡り、滋賀、大阪、京都3府県の住民計178人が関電を相手取って再稼働の差し止めを求めた仮処分申請で、大津地裁(山本善彦裁判長)は27日、早急に再稼働が容認されるとは考えにくいとして、申請を却下する決定を出した。
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3年以上という仮処分としては異例の長期審理の末、申し立てを却下されたことに、住民側代表の辻義則さん(67)は決定後の記者会見で「遅すぎる決定だ」と憤慨。「早急に再稼働が容認されるとは考えにくい」という決定理由について「両原発は近く再稼働の前提となる原子炉設置変更許可が認められると見込まれており、社会の一般的な認識に反する」と批判した。
一方で、決定は住民の避難計画の策定作業などが進まなければ「再稼働はあり得ない」と指摘するなど、評価できる点も見いだせた。辻さんは「再稼働にまい進する政府・電力会社の姿勢に対する不信と批判を述べた」と言及。金沢地裁の裁判長として北陸電力志賀原発2号機の運転差し止めを命じる判決を出した住民側代理人の井戸謙一弁護士(60)は「常識的に考えれば、こんな状態で再稼働は容認できないという裁判所のメッセージだ」と述べた。【田中将隆、村松洋】