恐らくこの裁判を客観的に見てらっしゃる方の最大の疑問は
「お前は完全にアマチュア作家じゃないのか?」という部分でしょう。
私はアマチュアです。
本格的に絵の練習を始めてからわずか半年ほどで泉から動物本の制作を持ちかけられたのですから。
例え話にはあまり意味はありませんが、
親方が相撲部屋にスカウトした少年を第三者が「そいつに才能はない」と言っても意味がありません。
その親方が才能を認めて、彼を田舎から部屋に連れて来た時点で親方には色んな責任が発生します。
新幹線代も渡さずに部屋から放り出すことなど許されないのです。
少年が泣き寝入りせず、親方を訴えれば、2度と相撲界とは関われないでしょう。
話を元に戻します。
私がファンとして泉にプレゼントしていた「イズゴロウ王国」は一部を除き、このブログにも掲載しています。
左のメニューからご覧いただけます。
これを読んだ泉は「早くプロデビューして。サイン会に行くから」
「泉の回りもみんなタカさんの漫画のファン」「ブラマヨさんに見せてもいい?」といった評価をしていました。
その流れで私に「動物本を作って売ること」を持ちかけてきたのです。
そもそも泉の立場を考えれば、動物達の本を出したいと思った時点で、金の力でプロを雇うのが当然でしょう。
泉自身も動物の絵が描けます。チャリティーとは言え、販売もしています。
森泉は自分の動物の絵を売ったことがある「プロ作家」なのです。動物本だって自分で作ればいいだけなのです。
そういう状況下で泉は私を「動物本制作・販売の共同プロジェクトのベストパートナー」として指名したのです。
どんなプロでも最初はアマチュアです。そこから誰か立場のある人に認められるきっかけがあってプロになるのです。
「著名人からの誘いで始まった7ヶ月間の本作り」は動かしようのない事実です。
恐らく皆さんは「プロ漫画家=鳥山明さんや小畑健さんの画力」をイメージするのでしょうが、プロの世界は彼らだけではありません。
「ねこだらけ」の横山キムチさんや、初期の古谷実さんなど、色んな絵の方が最前線で活躍されています。
私と泉が動物本の制作においてイメージしていたのは「毛むくのプンク」という本でした。
こういう写真と4コマ漫画の本です。
http://www.mr-universe.jp/site/works/pg73.html
さらに泉からは『「犬山セバスチャンのいちにち」という本を貰ったがタカさんの漫画の方が面白い』と言われました。
両者の会話の中に出てきた本として、この2冊を裁判所に証拠提出いたしました。
第三者や私達の評価はともかく、2冊とも「出版されているプロの本」です。
「作家能力なんて客観的な評価は無理だろうけど、著名人の森泉が私を作家として認めたことが重要。
とりあえずこの2冊のプロ作家と比べて、自分が劣っているとは思わない。」という主張をしました。
「イズゴロウ王国」は泉自身が読んで面白い内容にしています。
彼女と周囲の人にしか良く分からないネタも含まれています。
単に笑いを増やすだけなら泉も植松さんのような濃いキャラにすればいいだけですが、
ファンとしてプレゼントしていた作品なので、泉は無邪気で可愛い感じのキャラに抑えています。
こういう状況になったために泉に見せることは出来ませんでしたが、「裏・イズゴロウ王国」という物も描いていました。
笑いを追及し、全員を濃いキャラにしたものです。
動物本においても、「この犬は可愛い感じで」「この犬はギャグ要員でバカキャラに」などと考えていました。
そのために泉自身からの情報提供が重要だったわけです。
泉が読んで「この子はこんなにバカじゃない!」と思ったら問題だからです。
ある程度、彼女が認識している動物達の個性を反映させる必要があったのです。
泉は「早く会って打ち合わせをしよう。出版社に話を持っていこう」という態度でしたが、
私は「制作を進めるのが先。見せる内容が無ければ出版社も困るだろ。とにかく情報提供を迅速にしろ。」と言い続けていました。
私は最初の情報提供で3ヶ月待たされても、その後もちょっとした質問で何日も待たされても、
耐えながら本作りを進めてきましたが、最終的に彼女は一方的に連絡を絶ちました。
裁判において泉は、連絡を絶った理由について「本作りが楽しくなくなった。わずらわしくなった」と主張しています。
そういう態度が「信義誠実の原則」に反するのです。
動物本はノート1冊分程度とは言え、4コマ漫画やアイデアが残りました。
動物には肖像権もパブリシティ権もありません。今後、泉の動物達を本にすることは私の自由です。
ただし、泉との共同プロジェクトではなくなった以上、自費出版してもまったく売れないでしょうし、
判決内容によっては、そんなことをする気力も印刷費も無くなるかもしれませんが。
私は普通にオリジナル漫画でデビューすることを目指して日々頑張っていました。
そこへ泉から突然、「近道」に誘われ、泉の掘った落とし穴に落とされ、7ヶ月を奪われました。
それに対して絶対に泣き寝入りしないと決めたことにより、さらに1年半を失いました。
泣き寝入りではなく、戦うことを選んだことにより私は、数多くの漫画雑誌の表紙を飾り、
漫画原作のドラマや映画に多数出演する女優を山ほど抱える日本最大の芸能事務所の敵となりました。
私は1つも悪いことをした記憶がありません。
「誘われた動物本作りを頑張れば大きな利益が得られる。あの人も喜ばせられる。」
そう思いながら毎日アイデアを練った記憶しかありません。
なのに、ただのアマチュア漫画家がいつの間にか、漫画と関わる全ての業界に敬遠される立場になっていました。
その責任が誰にあるかは私が自分で判断し、全責任を取らせるための行動を取るだけです。