OPEC総会始まる 減産が焦点11月27日 19時21分
OPEC=石油輸出国機構の総会が27日、オーストリアのウィーンで始まり、原油価格が大きく値下がりするなか、加盟国が減産に踏み切るのかどうかが焦点となっています。
OPECの総会は、本部のあるオーストリアのウィーンで、日本時間の午後7時前に始まりました。原油価格は、世界的な景気減速による需要の落ち込みや、アメリカのシェールオイルの生産拡大を背景に値下がり傾向が続いていて、このところは1バレル=70ドル台前半の水準と半年前と比べて30%余り下落し、およそ4年2か月ぶりの安値となっています。
このため、ベネズエラやリビアなどから原油価格の一段の下落を防ぐには減産が必要だという意見が出ている一方、OPEC最大の産油国のサウジアラビアなどは、短期的な価格変動で減産は必要ないとしていて、総会では1日当たり3000万バレルとしている加盟国の生産量の目標を引き下げるかどうかが焦点となります。
今回、OPECが減産に踏み切れば、いわゆるリーマンショックに端を発した世界的な景気悪化で需要が減少した2008年12月以来、6年ぶりとなります。
原油価格の下落は、日銀が先月、追加の金融緩和を決める要因の1つとなったほか、デフレへの懸念が強まるユーロ圏の物価をさらに押し下げたり、ロシア経済の悪化を招いたりもしていて、OPECがどのような判断を示すのか注目されます。
OPEC総会の焦点は
今回の総会では、原油価格の下落を受けて、OPECが6年ぶりの減産に踏み切るかどうかが焦点となっています。
OPECの盟主ともいわれる最大の産油国、サウジアラビアは減産は必要ないと主張しています。
その理由について、市場では、サウジアラビアが、油田を採掘するのに比べると生産コストの割高なアメリカのシェールオイルの開発を遅らせるため価格の下落を容認しているという見方が出ています。また、政治的に対立するイランをけん制するとともに、ウクライナ情勢で欧米と対立しシリアのアサド政権を支援してきたロシアに圧力をかけるため、減産に消極的な姿勢を示しているという指摘もあります。
さらにサウジアラビアは、仮に減産を決めても収入を得るために取り決めを上回る量の原油を生産する加盟国が出て、結局、原油価格の下落に歯止めがかからないことや、減産を守った国だけがシェアを落とすことになるのを懸念しているという見方もあります。
同じような理由から、財政に比較的、余裕があるアラブ首長国連邦やクウェートも生産量の据え置きを主張するとみられています。
一方、国の収入や産業構造が原油の輸出に大きく依存している南米ベネズエラは、原油価格の一段の下落を防ぐには減産が必要だと強く主張し、OPECで協調行動を取るべきだと訴えています。
リビアや南米エクアドルも減産を求めています。
一方、イラクやナイジェリアは、価格の安定よりも収入を確保することを優先して最近、原油の増産に転じていて加盟各国の足並みは大きく乱れています。
サウジアラビアの思惑は
ニューヨークにあるヘッジファンドを運営し、主に原油などの商品先物に投資するアラン・ハリー氏は、今回の総会ではOPECは減産を見送るだろうという見方を示しています。
その理由について、「鍵を握るサウジアラビアの原油1バレル当たりの生産コストは40ドルから50ドルだ。もし原油価格が今よりも値下がりしても、サウジアラビアは利益を確保できるので、減産しようとは思わないだろう」と述べました。
また、ハリー氏は「サウジアラビアは大量に生産している原油を売りたい。アメリカに安く売ればシェールオイルの開発が遅れて生産量の減少につながるし、ロシアやベネズエラなどの生産者に打撃を与えることもできる。サウジアラビアは原油市場を独占したいと考えているのだ」と述べて、サウジアラビアがほかの産油国を減産に追い込むために原油価格の下落を容認しているという見方を示しました。