高浜・大飯原発再稼働差し止め 地裁が却下
福井県にある関西電力・大飯原発と高浜原発の4基について滋賀県の住民らが再稼働の差し止めを求めた仮処分申請で大津地裁は申請を「却下」した。27日午後、大津地裁で行われた原発をめぐる注目の判断。およそ180人もの住民が大飯原発3、4号機と高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分を申請していた。福島第一原発の事故後、原発の再稼働差し止めを求める動きは全国で相次いでいる。関西電力の大飯原発3、4号機を巡っては、ことし5月、大阪地裁が住民らが再稼働の差し止めを求めた仮処分について住民側の申し立てを却下。一方で福井地裁では「想定があまりに楽観的すぎる」と関電に運転の差し止めを命じる判決を言い渡すなど司法判断が分かれていた。そしてきょう、弁護団長・井戸謙一弁護士は「いずれも却下する」と述べた。大津地裁が下した判断は、申請の「却下」。きょうの裁判で住民らは、地震や津波などで原発に重大事故が起きた場合、甚大な被害が起きると指摘し、「福島第一原発事故の原因についても十分に検証がなされていない」と訴えていたが、それに対する言及はされなかった。却下の理由について大津地裁は「住民の避難計画などが策定されておらず、原子力規制委員会が早急に、新規制基準に適合して再稼働を容認するとは到底考えられない」などとしていて、裁判所として現時点で再稼働を差し止めを判断する必要性がないとした。原告の住民は「残念ですね。司法としての判断をしなかったというか逃げたというか」と話した。一方で、住民側の弁護士が評価に値すると話したのは、「住民の避難計画が策定されていない現状では判断が出せる状態にない」という却下理由の一文。弁護団長・井戸謙一弁護士は「裁判所の判断では(規制委員会が)とてもその適合判断が出せる状態ではないと裁判所が言っているんです。このことは規制委員会は強く厳粛に受け止めるべきだと思います」と述べた。関西電力は、「裁判所から妥当な判断をいただいたものと考えています」とコメントしている。現在、4基の原発は再稼働に向けた安全審査が行われていて、高浜原発3・4号機については原子力規制委員会が事実上の合格証となる審査書案を春にも作成にする見通しだ。(11/27 18:23)
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