米グーグルが26日、欧州で集中砲火の的になった。1つはプライバシー保護の監視当局が、「忘れられる権利」を全世界に適用するよう求めたこと。もう1つは、ドイツの大臣らがグーグルを「公平な検索エンジン」にするための法制化に動いたことだ。
こうした動きでこの1週間はグーグルにとって激動の週となる。グーグルの企業分割を求める欧州議会の決議案に対して、米連邦議会は既に激しく反発している。この決議案に法的拘束力はないが、27日にも可決される見通しだ。
グーグルを襲ったこの決議案の事の発端は、ドイツの4人の大臣が欧州委員会に送った書簡だ。大臣らは、欧州委が「経済的なパワーが競争にさらされる」よう、インターネット検索エンジンを規制する広範な法制化を検討するよう求めている。11ページにおよぶこの書簡の筆頭署名者は、ドイツの経済・エネルギー相のジグマル・ガブリエル氏だ。書簡は、独占的立場の乱用を防ぐため、より厳しい独占禁止法の執行、もしくは新たな立法によって「検索エンジンの中立性」を導入する必要性があるかもしれないと訴えている。
これとは別に、欧州のプライバシー監視当局は、欧州が定めたネット上で「忘れられる権利」に関する判断へのグーグルの対応を批判した。繊細な個人情報を含むリンクを、グーグルは全世界の検索エンジンから削除すべきだと要求している。
欧州連合(EU)28カ国の代表者からなるプライバシー保護当局は、個人の名前で検索された繊細な検索結果の削除を求める権利を与える裁判所の裁決に、グーグルが十分に対応していないと主張した。
グーグルはこの裁決にしぶしぶながら従い、フランスやドイツ、英国などの欧州のドメインから何千というリンクを削除した。だが、新たなEUのガイドラインは、「Google.com」などの米国のサイトを含む、欧州外のサイトも削除の対象にするよう要請している。
■法的措置を受ける可能性も
プライバシー監視当局の審議を主導したフランスのデータ保護機関の責任者は、グーグルがこのガイドラインに従わない場合は法的措置を受ける可能性があると指摘した。「グーグルが順守しない場合、制裁措置が待っている」という。
この措置は、独占禁止法の捜査や、個人情報や著作権のある内容を自由に取り扱うことを制限するような組織改革など、グーグルが欧州事業で直面する数ある攻撃の一つにすぎない。メディアや通信事業におけるドイツ企業の優位性を守ろうとする思惑から、グーグルが政治的な理由によって標的にされているという懸念が米国政府では高まっている。
By Jeevan Vasagar, Murad Ahmed and Alex Barker
(2014年11月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
(c) The Financial Times Limited 2014. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
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