金取り出した水車跡が“出土” 道路計画遅らせ保存へ、鹿児島・南九州市
鹿児島県教育委員会は14日、同県南九州市知覧町郡(こおり)の地域高規格道路建設予定地から、明治末期から昭和初期に稼働した金山の水車と精錬所の跡が見つかったと発表した。当時の面影が随所に残るなど“出土”状態は良好で、県は道路の工事計画を変更して現地保存する。
県教委によると、現地には1904~35年ごろ、赤石(あけし)鉱山で採掘した鉱石から金銀を取り出す民間の精錬所があった。見つかったのは砕石場の跡で、近くを流れる麓川の水で水車を動かして鉱石を砕き、金が多い部分を取り出していた。水車跡は一部岩盤を削っており、縦8メートル、横1・8メートル、深さ3メートル。川の水を止める堰(せき)や導水路、貯鉱場も残っていた。
計画が変更されるのは「知覧道路」(5・7キロ)で、鹿児島市と同県枕崎市を結ぶ「南薩縦貫道」(約40キロ)の一部。橋脚の建設位置を予定より約30メートルずらすため、工期が1年ほど遅れ、縦貫道の全通は2016年度中にずれ込む見込み。
鹿児島大の大木公彦名誉教授(地質学)は「地形を巧みに利用した当時の人々の知恵と技術に驚く。同様の施設は日本にほとんど残っておらず、貴重な発見」とする。22日午前10時半と午後1時半から現地説明会がある。
=2014/11/15付 西日本新聞朝刊=