3人に1人が非正規雇用、韓国政府が「労働改革」に意欲

非正規雇用者607万人、劣悪な待遇や解雇問題で葛藤深刻

 26日昼、ソウルのプレスセンター前にある高さ25メートルの大型電光掲示板の上に、赤いベストを着た30代の男性2人が危なっかしい様子で立っていた。今年7月にケーブルテレビ局C&Mの下請け会社から解雇された男性(35)と希望連帯労働組合の組合員(38)で、15日にわたりこうして「高空」に立てこもっている。

 2人の足元には「非正規雇用者109人の一斉解雇! C&Mと大株主のMBKは責任を取れ」と書かれた垂れ幕が翻っており、電光掲示板の下には下請け会社でケーブルテレビの設置・修理を行う非正規雇用者約700人(警察推定)が集まっていた。これら労働者は、7月にC&Mの下請け会社が変わり、下請けに勤めていた労働者109人が一斉に解雇されたことに反発し、142日にわたり復職と雇用・生存権の保障を訴えている。

 韓国社会で非正規雇用問題をめぐる葛藤が深刻になっている。病院や銀行に勤める非正規雇用者が正規雇用への転換を求め街頭でデモを行ったほか、学校で働く非正規雇用者がストライキを行い、生徒が給食を食べられない事態も発生した。

 統計庁によると、非正規雇用者数は今年8月現在607万人と、600万人を上回る。賃金労働者の3人に1人(32.4%)が非正規雇用ということになる。非正規雇用は1990年代後半のアジア通貨危機以降に急増し、最近では景気の悪化や正規雇用との格差が広がる「労働市場の二重構造」問題も重なり、大きな労働問題になっていると指摘される。

 チェ・ギョンファン経済副首相兼企画財政部(省に相当)長官は同日、記者団との政策セミナーで「正規雇用者に対する過保護が深刻だ」とし、正規雇用者と非正規雇用者に対する保護がバランスを成すよう、労働市場を改革する必要があると述べた。正規雇用者の労働条件に対する保護を多少緩和し、企業が正規雇用を増やせるようにする意向を示したものと受け止められる。

 韓国労働研究院のイ・ジャンウォン研究委員は、非正規雇用問題を解決するには正規雇用のあり方も見直すべきだと指摘。「まずは下請け会社の労働者を簡単に解雇したり、差別したりする現状をなくすべきだ」と助言した。

李陳錫(イ・ジンソク)記者
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