GPIFは日本株増を強化も、アベノミクス成功なら-清水氏 (1)
11月27日(ブルームバーグ):年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )の清水時彦調査室長は、安倍晋三首相が構造改革の断行などで本格的な経済活性化に成功する見通しが強まれば、国内株式の運用方法について、買い増しの強化や乖離(かいり)許容幅の中での保有比率上昇を容認する可能性があるとの見方を示した。
清水氏は26日のインタビューで、アベノミクスには構造改革や日本自体が変わるのではないかとの市場の期待があることを「きちんと理解、留意しておかなくてはならない」と発言。逆張りが有効な「ボックス相場における投資行動とは別のコミットの仕方が出てくる。特に日本株をどう見るのか、フォーカスしていくべき点だ」と語った。
GPIFによる過去最大の資産構成見直しは先月末に公表したばかりだが、今後も「少なくとも1年に1回はきちんと検証する必要がある」と言い、さらなる資産構成の見直しも必要に応じ、あり得ると説明。経済・金融情勢や市場に大きな影響を及ぼしかねない出来事があれば、1年という目安にこだわらず、随時検証する方針も示した。
TOPIX は第2次安倍内閣の発足につながった前回の衆院解散からの2年余りで倍近くに上昇している。日本銀行の黒田東彦総裁が大規模な追加金融緩和を打ち出し、GPIFが資産構成の見直しを発表した先月末以降は上昇相場に弾みが付き、25日に2008年6月以来の高値を更新した。それでも日経平均株価 は1989年末に付けた最高値3万8957円44銭の半値未満だ。
政府・日銀が経済活性化とインフレ上昇を目指す中、GPIFは将来の金利上昇で評価損が生じる恐れのある国内債券偏重の見直しやリスク資産の拡大による収益向上の一環として、内外の株式と債券が半分ずつで、国内資産が6割・外貨建て資産が4割という分散型の資産構成に変えた。国内株比率の上限は従来の18%から34%に高めた。
機動的な運用も視野に清水氏は、巨額の資産入れ替えには時間がかかるが、内外株式・債券の保有比率は「基本的には目標値に近づけていく。乖離許容幅には入れないといけない」と言明。目標値で運用した場合の収益が自己評価の基準になると説明した。
ただ、塩崎恭久厚生労働相から認可を受けた今回の資産構成見直しには、確度が高い見通しに限るが、乖離許容幅の範囲内での「機動的な運用という新たなコンテキストが出てきた」とも指摘。目標値とは異なる資産構成でより高い収益を同じリスクで、同じ収益をより低いリスクで取れる場合には、機動的な運用が「可能性としては視野に入ってくる」と話した。
清水氏は、機動的な運用の実施には「体制の整備が必要だ」と言い、専門的知識や経験が豊富な人材の拡充などが前提であることを示唆した。あらかじめ定めた資産構成を意図的に変えた場合の運用成績が上回る確率が低いとの知見についても「きちんと研究しないといけない」と語った。
関連ニュースと情報:GPIF:国内債が初の50%割れ、日本株は8年ぶり高比率GPIF:初代CIOに水野弘道氏、英コラー・キャピタルの幹部【クレジット市場】黒田バズーカの持続性に疑念、国債市場は枯渇危機GPIFと黒田日銀はアベノミクスと投資家の味方、株高円安を演出
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net;東京 北中杏奈 akitanaka@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 崎浜秀磨, 山中英典,青木勝
更新日時: 2014/11/27 11:03 JST